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七 抱擁
一緒に入ることをかたくなに固辞され、込童は苦笑して邸内を案内する。込童の家のバスルームは寝室と続いており、広い。浴室内には猫足のバスタブをメインに観葉植物などが置かれ、トイレも一緒のタイプだ。
バスローブ姿で出て来た村上が何か物言いたげな顔なのを察して、込童は言った。
「使ってませんてば、本当に。付き合っていたのは学生時代の話で、あれらは全部、貴方が来るのを見越して用意しておいただけですよ、村上さん」
家を出る時に、バスルームには村上が使いそうなアイテムを置いておいた。
「ぼくはまんまと嵌められましたものね」
「言い方! 僕の手の中に落ちてきてくれたんでしょう?」
「覚悟はしてますけど……」
「だったら、もう黙って」
込童は立ったまま村上を抱きすくめてキスをする。
村上はされるがままに――やがて息をついた。
「はぁ……」
込童が声を掛ける。
「僕も浴びて来ましょうか?」
「我慢できるんですか?」
「いや」
込童は言って、ベッドへと村上を押し倒した。
「正直もう無理」
ベッドに沈み込みながら、村上のバスローブの襟を割る。
キスしながら乳首をまさぐられ、村上が身じろぎをした。
「気持ちいいです」
「ホント?」
「こんなゆっくり、されたこと無いので」
「久しぶりすぎてやり方が思い出せないんだ」
「ええ?」
「ふふ。冗談だよ」
言って、込童は、指先で実らせた村上の胸の先を口に含み啜り上げる。
唇を離せば、ぬらぬらと先端が唾液に濡れて光り、村上が名残惜しげに声を上げた。
「ぁぅ……っ❤︎」
「もっと気持ちよくなっていいんですよ」
込童はベッドサイドのローションを手にとり、ぬるぬると村上のアナルをなぞり上げる。
「ぁ……❤︎」
中指を立ててぬぷりと押し込めた。
しごかれたローションが溢れてシーツを濡らす。
込童は構わずに指を進め、アナルに根元まで埋め込んだ。ゆるゆると指を抜き差しし、頃合いを見計らって薬指も添えて押し込める。
「あ……っ❤︎、ん❤︎」
込童は二本の指をなまめかしく蠢かせ、内壁を攻めた。
「ン……っ❤︎、先生そこっ❤︎」
「好きなとこでしょう? 前立腺」
「や❤︎……だめです…ぁ…すごぃ❤︎…あぁっ❤︎❤︎」
「ええ? 駄目じゃ無いでしょう?」
くぷくぷといやらしい音を立てて、込童の指が村上の胎内を的確に弄りまわす。
「せん……せ、もう、本当に……❤︎」
切なげに腰を揺らしはじめた村上に、込童はそこでようやく自分のワイシャツに手を掛けた。仕事帰りだった込童はスラックスのベルトも引き抜き、前をくつろげる。
すでに勃ち上がった自身を引き出すと、村上の手を取って込童はそれを握らせた。
「しゃぶれる?」
村上は大人しく従うと、込童の陰茎に舌を這わせる。丹念に舐め上げて、それからおもむろに咥え込んだ。
「ふっ……」
込童が小さく息を吐く。
どれだけ仕込まれたのかわからないが、村上は喉奥まで咥え込んで、恍惚とした表情でしゃぶっている。
「いやらしい顔をして。村上さん、本当にすきなんですねセックス」
ぐいと喉奥に陰茎を突っ込んでやると、村上はむせこんで、異論を唱えた。
「ちが……っ」
口元を拭い、込童を見る。
「こんなに、優しく触れられたことなかったから……あなただから、ぼくは……」
「本当ですか?」
村上は顔を背け、言った。
「先生は強引ですけど、触れる手が優しいから好きです……でも、本気なのかなとか、遊びだろうな……とか思うと、捨てられた後のことが怖くて、ゆだねられない」
込童はぎゅうと、村上を後ろから抱きしめる。
「まだ付き合ってもないのに、そんなことを考えるんです?」
「先生、ぼくとつきあってくれるんですか?」
「そのつもりじゃなかったら、こんなに強引に出ると思います?」
「ワンナイトなのかなって」
「あっはは。僕それ興味ないです。でも、確かに今までの交際相手と、長く続いたことはないですね」
「飽きちゃうんでしょう?」
「だって、僕から好きですって言ったこと、今まで一度もないですから」
「え?」
「性欲はあるから、まあ、交際を申し込まれたら受ける訳です。でも僕が好きな訳ではないから向こうが嫌になったらそこでお仕舞いです」
「それって」
「僕が興味を持ったのは貴方が初めてです。こんな、絵に描いたみたいに嗜虐心をそそられる人、見たことがない」
「ええぇ……」
「うーん違うな。庇護心かなあ……」
「全然逆じゃないですか!」
「つまり貴方は、僕が珍しく気に入っていて、抱きたいってことですよ。言い寄ってくるのは、皆勝ち気で、自尊心の強い人間ばかりだったから……貴方のその弱々しい指先の仕草、なんなんですか。誘ってるんですか」
「ぁっ」
込童は村上の首筋にきつく吸いついてキスマークを残す。
「ちょ、痕になってませんかこれ、先生!」
「なってますね。マーキングですから」
「ぼくの仕事、営業ですよ?!」
「知ってます。相手がいることを営業先にちゃんとアピールしてきて下さいね。さあもう良いですか?」
「な、何が」
「村上さん、ひとつになりましょう?」
込童はそう言ってもう一度くちづけると、村上の足を抱え上げ、さんざん弄り倒したアナルへと自分の亀頭を押し当てた。
「ふふ、ローションでぬるぬるのおしりですね、すぐに入ってしまいますよこんな……」
「誰がしたんですか……ぁあっ❤︎❤︎❤︎」
ずぶんと分け入ってきた陰茎が、質量をともなって村上をつらぬく。
込童にゆすゆすと様子を伺うように身体をゆすぶられ、村上は思わず声が上げた。
「ぁ❤︎……あぁ……っ❤︎」
「気持ちいいですか?」
「んッ奥❤︎……だめ…す…ぁっ……❤︎」
「ぼくも凄く……いい……」
初めて聞く込童の余裕のない声に、村上は思わず目を開く。
込童が、上気しきった顔で自分を見ていた。
「ぁ……」
貪るような込童の視線に、村上は至福感が込み上げる。
――求められている。
村上が込童に手を伸ばすと、その手を込童は指を絡め合わせて握り返した。
「ふぁっ……あっ……ぁっ……❤︎」
腰を打ち付けられながら、村上は込童の手を握りしめる。一方の込童は、村上の良いところばかりを器用に突いて追い上げた。
「せんせ……ッ❤︎ ぁ……も……イク、イキます……❤︎」
そう言って村上はびくびくと身を震わせると、込童の手を振り払って彼に抱きついた。
「込童先生……」
耳元で名前を囁かれ、込童は、歯止めがきかなくなる。村上の良いように動いていた込童が、自分の本能に任せて激しく突き上げ始めた。
「ぁ……せんせ、もう、イッた❤︎……イッたから❤︎……だめ……❤︎もう無理❤︎……ひぁあっ!!」
「村上さん、ごめんなさい。優しく抱くはずだったんですが。貴方があんまり愛らしくて」
その声が届いているのかいないのか、村上はひたすら込童に突き上げられ翻弄される。
「ぁ❤︎ ぁ……あ❤︎ あぁぁぁッ❤︎」
「村上さん……ッ、出る、出ます……っ」
込童はひとしきり強く腰を打ち付けると、びゅるびゅると白濁液を村上の最奥へと注ぎ込んだ。
「は……ぁ……」
大きく息を吐いて、そのまま村上の上に倒れ込む。
村上は何やら譫言を呟いているようだ。
「村上さん」
「ん……」
声を掛ければ一瞬意識は浮上するもののすぐにまた眠ってしまう。
──意識レベル2、といったところかな。
込童はそう判断すると、久しぶりの疲労感に身をまかせて、村上の隣で眠りに落ちた。
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