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第7話

 優はナナコに恋愛感情など欠片も持っていない。だから放課後も休日も練習と言って、彼女とデートをするのは必要最低限にしたのだ。  すべては最初から――ナナコが優に告白をしたときから始まったゲームだった。  優と結城、同じ狂気の心を持つ二人の秘密のゲーム。  こんなことを続けていれば、いつかすべてが露見する日がやってくるだろう。  けれども二人は、そんなことは少しも恐れてはいない。  世間が優と結城を糾弾する前に、二人はともに旅立つから。 「それよりも優、いい加減『先生』と呼ぶのはやめてくれよ。もう三年生なんだし。卒業したら教師でも生徒でもなくなるんだから」  遠くに結城のマンションが見えてきた。一年生の頃からの二人の秘密の愛の巣。 「……健人さん」 「おまえに呼ばれると、すごくソソラれるな」 「やだなー、もう。なんだか恥ずかしいよー」  はにかんで微笑む優は天使のようだった。  誰も気づかない、知らない、結城以外は。優のキラキラ輝く大きな瞳の奥に狂気の光が隠されていることに。  今はまだ、誰も気づいていない……。 「ああっ……」  四つん這いにさせた優の背後から結城は覆いかぶさり、挿入した雄を思い切り突き上げた。 優は悲鳴に近い善がり声をあげ、淫らに体をくねらせる。  結城は優の透き通るような白い肌にキスを落とし、自分のものだという印を幾つも彼に刻んでいく。 「もう……だめ……。先生……、イク……」 「まだ、だめだ。優……」  結城は優の勃起の根元をきつく指で握った。 「やだ……先生……や……あっ……」 「先生じゃないだろ? 優?」 「あ……、健人さん……、お願い……イカセて……」  それでも結城はまだ優にイクことを許さず、更にえぐるように彼の中をかき回した。 「あっ……ああ……やっ……」  イキたいのに、イカセてもらえなくて、優がすすり泣きを始める。  結城は彼のうなじに口づけを落とし、そこにも所有の印を刻んでから耳元へ熱く囁いた。 「かわいいよ……優……愛してる……」 「あ……オレも健人さんが好き……大好き……誰よりも愛してる……」  息も絶え絶えになりながら、優もまた結城への愛の言葉を紡いでくれる。  誰よりも愛おしくて大切なオレの天使……。  優の体が絶頂を求めて、激しく震え出す。  結城は優の中の一番感じるところを何度も突き上げながら、彼の勃起の根元を握っていた指を解いた。 「あっ……ああ……ああっ……」  せき止められていた愛液が勢いよくほとばしり、優の中が絡みつくように結城の雄を締め付けてくる。 「……っ……」  あまりの締め付けのきつさに、結城もまた優の体の奥深くで精液を放った。  達した二人はベッドへと体を沈み込ませた。結城の下で、優が激しい呼吸をしながら、快楽の余韻に浸っている。  結城は彼を強く抱きしめながら思った。  オレには見えるよ、優。おまえの背中にある真っ白な翼が。  例え誰を手にかけようが、いや、手にかけるごとに、その翼はよりまばゆく輝き、おまえは綺麗になる。  おまえと二人でならどこまで堕ちても、オレはきっと幸せだよ、優。  ……愛してる……。

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