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第6話
優と結城は同性同士だったが、お互いを強く愛した。
教師と生徒という禁断の関係でさえ、深く愛し合う二人には小さなことでしかなかったし、それに――。
――それに、二人は心の中に同じ狂気を持つ同志でもあった。
結城の端整な横顔を見つめ、優は呟いた。
「……あいつを事故に見せかけて殺したのも、一昨年の今頃だったね」
あいつ、とは優を暴行しようとした男子生徒。優と結城が初めてその手で殺めた人間だった。
そしてその行為により、二人の中で眠っていた狂気という名の化け物が目覚めてしまった。
「ああ。呆気ないくらい簡単だったな」
優のほうを見て、結城が微笑む。
「二人目は去年の夏。三人目は……」
優の瞳が妖しく光る。
「……三人目のターゲットは宮外ナナコになりそうだね」
「ああ。オレがちょっと誘ったら、すぐになびいたからな」
「オレに告っておきながら、それはだめだよね。おまけにナナコ、オレとも別れる気持ちないみたいだし」
クスクスと笑う優。
もしもナナコが、結城の誘惑をはねつければ、彼女はターゲットから外すつもりだった。
優と結城、どちらも手に入れようとして、結局彼女は自ら破滅の運命を引き寄せた。
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