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第10話(最終話) いただきます

 雨の中、一つの傘に二人で入って、たどり着いたのは、大人のホテル。 「亮くん、僕の恋人になってくれない?」 「はい、喜んで!!」  亮の言葉に、牧野は飛びついて喜んだ。 「良かった。嫌われちゃうかと思って怖かったんだよ」 「き、嫌いません!俺こそ、嫌われたかと……」 「なんで?」  亮は泣きながら笑い、笑いながら泣いていた。 「亮くんどの部屋がいい?僕はどの部屋も知ってるからどれでもいいよ」 「???」  亮は牧野の言っていることがよく分からなかったが、慣れないホテルのエントランスで、なるべく普通の部屋のパネルに触れた。  ベッドしかない部屋に入って、亮は空手の試合前のようにゆっくり息を吐く。  緊張を解く方法として身に染み付いているのだ。 「お風呂、一緒に入る?」 「えっ?!」 「あははっ、いいじゃん。もう一緒に入ってるし、今度は体洗いっこしようよ」 「えっ、やっ……それは……」  亮がドギマギしてると、牧野はクスリと笑って浴室へ行った。 「入りたくなったら来てくれていいからね~」  それだけ言って、パタリと浴室は閉められた。  亮はベッドへ腰掛ける。  そういうホテルだから、目のつくところに避妊具とローションがあった。  体が熱くなるのを感じるが、しっかりと場所を確認しておく。  この後、どこにあるかなんて探している余裕はないかもしれないから。  牧野が入った浴室から、シャワーの音が聞こえ、温泉でも聞いた水音を思い出し、微かに見た牧野の肌を思い出す。 「ふぅ~~~」  呼吸に集中しないと、暴発しそうだった。  何がとは言えないが、色々なところから色々と出てきそうなくらい、体が緊張している。 「亮くん」 「はいっ!!」  空手の試合で名前を呼ばれたら、大きな声で返事をする。  牧野の体がビクッと跳ねた。  亮の声が大きすぎたのだ。 「びっくりした~。もう、亮くん全然入ってきてくれないんだもん。でもいっか、一回終わったら、今度は一緒に入ろうね」 「いっかい……?」 「うん。ね、亮くんも入ってきて?」    亮はまた大きな返事をすると、浴室に駆けて行った。 「牧野さん……」 「緊張しなくていいよ。ゆっくりやろう?」 「はい…………」  ベッドに座る牧野の肩に手を置いて、ゆっくりと唇を合わせた。  スルリと舌が入ってきて、牧野の腕が亮の首に回る。 「んっ……ぁ……」  舌を絡め、牧野の口の中にも入り込むと、吐息が漏れた。  興奮する……。  口を離せば、トロリとした顔をしている牧野に、亮の下半身が反応した。  牧野を押し倒すと、ふわふわの髪が柔らかくシーツに広がった。  バスローブの隙間から手を入れれば、亮がずっと触れたかった小さな突起が指に引っかかった。 「あっ……」  牧野から漏れる吐息に、羞恥の声が混じり、亮の腰が揺れる。  バスローブの紐を解いて全身を見れば、牧野は下着を履いていない。  微かに上向くそれが愛おしい。 「亮くん?」  トロンと少し眠そうな、恥ずかしそうな顔をする牧野に笑いかけて、亮は胸の突起を口に咥えた。  吸い付いて、舌でペロペロと舐め続けると、牧野から堪らない嬌声が上がって、細い体が亮の下で身を捩る。 「んんっ……あっ……りょ……くん……」 「牧野さん、気持ちいいですか?」 「うん……いいよぉ……」  プクリと腫れ上がった突起に満足をして、亮が舌なめずりをすると、牧野が体を起こし、亮にキスをしてきた。  牧野のキスはとろけるように気持ちが良い。  キスをしながら牧野の後頭部に手を回して、ふわふわの髪の感触を楽しんでいると、牧野が亮のバスローブを脱がして肌に触れてきた。 「はぁ……亮くんの身体、筋肉、格好良いね……」 「そう、ですか……?」 「うん。ね、今度は僕がする」 「え?」  横になってと言われ、何をされるのかと楽しみに仰向けになると、牧野が胸に擦り付いてきた。  ふわふわと髪が擦れてくすぐったくも気持ちが良い。 「亮くん、パンツ履いてるんだ」 「あ……落ち着かなくて……」 「そう、でも、もうきつそうだよ?」 「へへっ……牧野さん、エッチだから……」 「そうなの?脱がせてもいい?」 「はい…………」  パンツを脱がせた牧野が、完全に勃ち上がってる亮を見て、ニコリと口角を上げた。 「可愛い…………」 「そう、ですか……?」 「舐めたいな」 「え、」 「いただきます」  子供のような抑揚をつけて、牧野は亮自身を咥え込んだ。  そして、あっという間に亮の快感を引き出して、気付けばイかされていた。 「あっ?え……はぁ……はぁ……」  瞬きの間もあっただろうか、亮は自分の体に起きたことが信じられず、ただ快感の余韻だけを感じて放心していた。 「一瞬だったね。感じやすいんだ」  牧野がそう言ったかもしれない。  そして、次に感じたのは、トロリとした感触。  それが、後孔の周囲から塗り広げられ、中心に、牧野の指が押し入ってきた。 「んっ!あぁっ!」 「大丈夫だよ。ゆっくり息をして、力を抜いていてね」 「?」  ゆっくり息をするとは、深呼吸だろうか。  亮は、緊張をほぐす呼吸を繰り返した。 「上手~」  ググッと押し入ってくる感覚があって、息を止めそうになるが、呼吸に集中すると、牧野が褒めてくれた。  嬉しくて、笑顔を返したら、牧野の指が体の中の何かに触れた。 「あふぁっ……!」 「亮くん、感じやすいね。ここ、気持ちいい?」 「あっ……あっ……あぁっ……」  トントンとされる指の動きに合わせて、勝手に声が漏れ、牧野が嬉しそうに笑っている。  動く指を強く締め付ければ、より快感が強くなって、身を捩った。  多分、多分指じゃ足りない…… 「ま、きのさん……」  もどかしさを伝えるが、どうして欲しいかは分からない。  もっと、何か太いもので……。  自分の体に溜まる熱がなんなのかは分からない。  でも、初めて感じるところを擦り上げて欲しくて、亮は身を捩った。 「わかった。亮くんはおねだりが上手だね。可愛い……」  チュッと額にキスをされ、牧野が自分自身を擦り上げる。  さっき見た時とは随分大きさが違う。 「どう、すれば……」  上がる息の間に、問えば、牧野が笑ってくれた。  その笑顔にホッとしたら、体の中に割り込んでくる感覚があって、思わず背中を逸らしてしまう。 「亮くん」 「くるし……ま、きのさん……」 「大丈夫、すぐに良くなるよ」  牧野の声に縋るように亮は牧野の腕を掴む。  牧野は安心してと優しい視線を向けて、腰を動かした。  グリッと良いところに当たってから、何度もグリグリと擦られ、亮は喘いだ。  迫り上がってくる快感が堪らず首をそらせば、喉元にキスをされる。 「可愛い……亮くん……」 「ぁんっ、まきのさ……」  勝手に流れてくる涙を牧野に舐め取られ、止まらない快感の波に、亮は牧野にしがみついた。 「きもち……いい……あぁっ……」 「僕も……」  牧野自身を奥で感じた時、亮の視界が白く弾けて、全身が震え牧野の熱を感じた。 「はぁ……はぁ……っ……」 「まきの、さ……」 「きもち良かったね……」 「はい………………」  亮は、自分の腹の上で息切れしながら笑う牧野を抱きしめながら、今起こったことを反芻していた。  気持ち良かった。  身体中が痺れるほど感じた。  気持ち良かった。  牧野が優しかった。  そして、気持ちが良かった。  でも、何か違う気もする…………。 「牧野さん、気持ち良かったですか?」 「うん。亮くん最高だよ」 「良かったです……」  牧野が満足そうに笑っている。  なら、いいだろう。 ー 完 ー

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