1 / 1
第1話 お嬢様、問題しかありませんが!?護衛の仕事はドレスを着ること!?
「嫌よっ! 絶対に行くわ! 友達はみんな行くのよ?! キャシーにアリア、リリーだって! 誰が何と言おうと構わないわっ、絶対に行くのっ!」
今日は月に一度スチュアート邸にて開催されている舞踏会の日で、年頃のルイーザもそういった社交の場が気になる年頃だ。
友人たちもこぞって集まるともなれば、これは行くしかないだろう。
「お嬢様、今夜は旦那様も奥様もいらっしゃりませんので、お一人では無理ですよ……。
本日は無茶を仰らないでくださいまし」
メイド長のマリアがオロオロした様子でルイーザをなだめていた。
「じゃあ、アイビーを護衛として連れて行くわ! それならば問題ないでしょ?」
「「お嬢様っ! 問題しかありませんがっ?」」
マリアとアイビーがハモった。
アイビーはルイーザと年齢が同じだ。しかも男ながらにハッキリ言ってルイーザよりも華奢な、もの凄い美少女タイプだ。
とてもじゃないが、ルイーザを守れる逞しい男ではない。
だがこうなってはルイーザは収まらない。
「はぁ……ルイーザ様がくれぐれも無茶をなさらないように。あの方は本当に何をやらかすか……ブツブツ」
結局アイビーには拒否権はなく、あっさりと同行することになってしまった。
「今日のパーティーはエリーゼ・スチュアート様の意向で、女性だけの舞踏会なのよ! 素敵じゃない?!」
「あら、早く仰ってくださいまし。女性だけだなんて、どれだけホッとすることか……。ねえ、アイビー」
「いや、あの、ほんと問題しかないんですけど。男の僕入れないじゃないですか。あ、でも女性だけなら僕いなくても心配もない……ブツブツ」
「ブツブツ言ってる場合じゃないのよ! 急いでメイクしてあげて! あなた小柄だからドレスは私の昨年着てた物で良いわ。
あ、これはあなたにあげる!
ずっとアイビーに似合うと思っていたの!
深い夜の色をした宝石よ……中にキラキラと星が見えるでしょ?
このドレスにもとても良く似合うわ!
そうだわ! この機会にアイビーにも何着かドレスを用意しておきましょう!
私も新しい物を新調する頃ですし。ホホホッ」
「(ホホホッ……じゃねーよ。何でドレスなんだ?? ほんと僕どうすんだよ! こんなドレス着せられて! ほんとに護衛なんてできんの? 邪魔者以外の何者でもなくない?)
お嬢様、考えを改めて……僕がいてもただの足手纏いで、危険な目にあったらどうすれば良いのか……」
「あ〜うるさい! 行くわよ、ほらっっ!」
アイビーはルイーザに半ば引きずられるようにして馬車へ押し込まれた。
窓から見た空はルイーザからもらったペンダントと同じ色をしていた。
──────
馬車から降り立ち二人は舞踏会の行われている広間へ案内された。
そこはアイビーの目にする世界とは別世界だ。優雅に美しいドレスを着て舞う女性たち。どこか幻想的だ。
「エリーゼ様素敵……私あの方の大ファンなのよ! 今夜絶対にお近づきになってみせるわ!」
「(えっ? どーりで同じ年頃の男子には目もくれないと思っていた。ってか女性が好きなのか?……いや、そこまで踏み込むのはよそう……)」
「アイビーは好きにしてて良いわよ。ほら。可愛い子いっぱいいるじゃない。ガールフレンドでも作れば?」
「えぇ? ルイーザ様! 無責任な! 僕今女なんですよ! ガールフレンドなんてできるわけないでしょう? 身分も偽っているのに、どうして友達なんて……あ! ルイーザ様! 待って!」
アイビーは途方に暮れて壁の花になっていた。
フロアでは10代の幼い少女から若い娘まで皆が思い思いに踊っていた。
──────
「ねえ、一人で何しているの?」
ともだちにシェアしよう!

