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第4話 このスパダリ抜け目なし!永遠に一緒にワルツを踊ることになりました。 (完結)

それから3日が過ぎ、ある舞踏会でアイビーはアイビー嬢としてラドクリフの前に立った。 「やぁ……アイビー」 「っ……。ご機嫌よう。ラドクリフ様……」 「話があるんだ。一緒に外へ行こう?」 「……。僕にはありません。ごめんなさい。もうあなたとご一緒することはありません。 放っておいてください」 ラドクリフは会場で人目を憚らずにアイビーを引き寄せ、抱きしめて、囁いた。 「話を聞いてって言ってるでしょっ……外に行くよ」 周囲からは抱き合っている二人を見て小さく悲鳴のような歓声が上がっていた。 ラドクリフはアイビーを半ば引きずって中庭へ出た。 「いたっ、離してください! 僕には話はありません! 確かに僕もあなたを騙したような形になってしまいました。申し訳ないと思っています。 けれど最近はあなたが男のアイビーを勝手に女だと期待して、勝手に幻滅なさったんじゃないですか?! 僕ははっきりとお断りしましたよね? お友達にもなれないと…… 僕のことはもう放っておいてっ……」 泣きじゃくりながら訴えるアイビーをギュっと抱きしめて、頬を包み口付けをした。 「?! いつもキスでうやむやにするのはやめてくれます?! 何で僕の気持ちを……ひっく、ぐす、ルイーザ様も、ラドクリフ様も……みんな勝手だ。僕がやりたくて女装なんかしたんじゃない! ひくっひっ……あなたのせいで……あなたが勝手に僕を引っ掻き回したんじゃないか! みんな、ひっく……勝手だ……」 「ごめん……っ! 俺は君が男性だと気付いてからもそれがどういうことか、本当の意味でわかっていなかったんだ……!  先日、君の胸に手を這わせた時にそれが現実だと……アイビーが男だと突きつけられて、事実を抱えるのでいっぱいになってしまった。 けれど、どんなに考えても、君が男の子でも愛しているんだ。君以外考えられない……!  ねぇ、アイビー、愛しているんだ。」 アイビーはラドクリフに引き寄せられて、胸の中で震えた。ラドクリフは無我夢中でアイビーの唇を奪った。 ────── 「(……アイビー、きちんと決着をつけられるかしら。キッパリと関係を断ち、日常に戻るのよ!  ……っっっって、なぁんでまたキスしてるのかなぁ? あいつらなんなの? バカなの? アホなの?) アイビー! アイビーーーーっ!! あなたほんっとに何を……」 「心配をかけたね、ルイーザ。俺はもう間違えない。アイビーが男だろうと、女だろうとどっちでも構わない。 アイビーを心から愛している。 ここ数日、アイビーの男の部分に触れてみて考えたよ。 これからのこと、両親のこと、世継ぎのこと、公でのアイビーの立場、全てを解決しなくてはならない。でも結局アイビーを愛しているってことは変わらない。 問題は1つずつ片付けていくよ。アイビーが側にいてくれればね。 ねぇ、ルイーザ、わかってくれないか? アイビーを将来どんな手を使ってでもうちへ連れてくるんだ」 「あなた本当に勝手ね、人を馬鹿にしてるわ。今までの振った子たちにも真正面から向き合っていないでしょう。 勝手で冷たい酷い人だわ。 アイビーだけに突然熱を上げて、今は本気かもしれないけれど、あなたが飽きたらどうなるの? この子は男の子なのよ? その辺の遊びで付き合える女の子たちとは違うのよ?! 一度女として身分を確立してしまえば、この子は元に戻ることは叶わなくなるの…… そんな可哀想なことさせられない。 アイビーにはこのままスクールを卒業して、私の付き人として働きながら、私の屋敷で選んだ相応しいお嬢さんと結婚でもして可愛い子供を儲けるの。 そしてずっと幸せに生きていくの。 あなたには関係のない場所でね! わかったらアイビーをすぐに放しなさ……何をやっているのっ!」 ルイーザの話が終わるや否やラドクリフはアイビーの腰を抱えて、ルイーザに見せつけるようにして何度もキスをした。 「ごめんね。ルイーザ。 俺はもう何を聞いてもブレないよ。 アイビーは俺以外とは結婚しないし、子どもなんてできない。 なぜならば、俺たちは男同士だからどんなに愛しあっても実の子は生まれない。 のちのちアイビーに似た可愛い子を養子として探すつもりだよ。 アイビーには申し訳ないけれど、公の場所へ出る時だけは女性の格好をしてもらうよ。何せスチュアート家の公爵夫人の称号を与えられるわけだから。 あ、そうそう。卒業するまでアイビーは君の付き人としてマキャリスター家で働くといい。アイビーの卒業と同時に結婚するからね。 ルイーザの付き人には優秀な人物を推薦させてもらうよ。他に何か質問は? ……アイビーは絶対に俺と結婚する。それだけは譲らない」 ルイーザは何も言い返すことが出来なかった。ラドクリフがここまで考えていたとは。 「……わかったわ。今日のところはあなたの勝ちみたいね。今夜アイビーを帰す気はある?」 「ない。明日送っていく。代わりの付き人は必要か? アイビー以外にも慣れておいた方が良い」 不遜な笑顔で言い放つラドクリフにルイーザは無性に腹が立った。 「アイビーはまだ私のものよ! わかった?」 ルイーザは踵を返して舞踏会の行われている広間へ戻って行った。 ────── 「アイビー、行こう? 俺の部屋へ。もう待てないんだ。ねぇ? お願いだ。うんと言ってくれ」 「……っ、そんな、行けません。ルイーザ様とあなたの言う通り、あなたの未来も、僕の未来もかかっているんです。軽はずみに部屋へ何て行けるはずっ、わぁっ?! また、勝手に! こんなこと!(いやいやいや、勝手過ぎるだろ?この人って……)」 ラドクリフはジタバタするアイビーを抱え上げて、寝室へ連れて行った。 ────── ベッドへ降ろすと、ラドクリフはアイビーに覆い被さった。 「あぁ、アイビー、アイビー、許してくれ。今夜君を絶対僕のものにする。離さない……!」 「何で……こうなるんです…… 僕の目の前で、僕は誰のものなのか決められて……。 ルイーザ様が優し過ぎて忘れていた。僕は確かに反論なんて許されない身分です……。 それでも僕は男なんです。 貴方は僕に生き方を捻じ曲げろと仰っているのですよ? 流石に従えません……。お許しください。 貴方とは一緒にいるわけにはいかないんです」 「アイビー、これは命令でも何でもない。俺のお願いなんだ。ずっと一緒にいて欲しいっていうこと。 アイビーは自分が男だから今後俺とは一緒に居たくないの? アイビーの気持ちは? こうあるべきとか、身分とか男女とか取っ払ってよ。 俺のこと嫌いなの? 俺は初めて会って君の瞳を見た時から、君が大好きだよ。 ──男で良い。アイビーだったら男でいい。君だったら何でもいい。絶対幸せにするから俺を信じてみて」 「……っっ」 アイビーは肩を震わせて泣き出した。 ────── ラドクリフはアイビーの胸元を緩めて大きく開かせた。首筋を執拗に舐めて吸い上げた。 ──両胸に付いている小さな突起……明らかに女性ではないそれを左手で掴み上げ、口で吸い付いた。もうラドクリフに躊躇はない。 「ふっっ! ぁあ、やぁん……やめて……あぁっ」 「これだ……この小さな胸……あの時に押し倒して手を這わせてしまってから、もう一度触れたかった。愛しい……なんて可愛いんだ……」 アイビーは小さく喘ぎ声を漏らし始めていた。 ドレスのスカートの部分も全部脱がせ、裸にした。アイビーは顔を赤らめ、体を隠した。ラドクリフは両手首を一纏めにし、アイビーの頭上で縫い留めた。そして深く深くキスをした。 「ああん、はあ、はあ、あ……ふっくっ。ひゃゃゃあ!? やめてーー!」 アイビーが悲鳴をあげた。ラドクリフがアイビーの両足の間に入り、アイビー自身を口に含んで吸い上げ始めたのだ。 「はぁ、はぁ、ぁ、あぁ、ひゃぁあん、ぁあ、はぁはぁ……もうでちゃ……っ、許して……はぁ」 ラドクリフの口の中でアイビーのものは弾けた。 『ビュクッビュクッ……』 ラドクリフはそれを飲み下し、小さなオイルの瓶の蓋を開けた。 アイビーは大きく息をしながら、何も考えられずにその光景を眺めている。 ラドクリフはオイルを手にこぼすとアイビーの股に塗り始めた。 手始めに、先ほど精を放った果実から、双丘、次第に恥ずかしい穴にかけてゆっくりと指を這わせた。 アイビーはピクっ、ピクッと可愛く体を震わせ、喘いでいる。 そしてラドクリフの指がアイビーの秘所へ潜り込んだ。 『ぐぷり……』 アイビーの体はビクッと弾み、声をあげた。 「あああぁぁっ……何をっ! やめてぇ……!」 2本の指でぐちゃぐちゃに掻き回す。オイルを増やし、さらに卑猥な音を立ててアイビーの耳を犯した。 『ズチュズチュズチュ……』 アイビーは許しを乞うて啜り泣いた。 ラドクリフはアイビーから指を引き抜いた。尻の穴がヒクヒクと痙攣し、ラドクリフは堪えきれない。 「あぁ、アイビー、愛しいアイビー、君が欲しい。もう我慢が出来ない。君の中へ入るよ…… あぁ……アイビー……最高だ……」 『ずぷずぷずぷ……』 「ひゃあぁぁぁらめぇぇ……はぁんはあぁぁん……」 一気に奥まで突き入れられ、アイビーは衝撃で達してしまった。 その後もラドクリフは、緩急をつけてアイビーを犯していく。 アイビーを極限まで追い詰めては焦らす。 「あぁ、アイビー、愛してる、愛してるよ、アイビー……ね? 俺と結婚するって言って……じゃないとずっとこのままイかせてあげないよ……? ねえ、イきたいでしょ? もう我慢出来ないでしょ?」 「はあはあ、けっ……こしますか……らぁ! ラドクリフさまぁ、すきで……す……おねがぁぁぃ……もう許し……あ、あ、あぁあぁ……はぁ、イクッ……!!」 ────── 朝方まで、繰り返されたこの行為で、アイビーは気を失って、ラドクリフのベッドで深く眠りについた。 目を覚ますと深くため息を吐いた。 「(認めるしかない……かな。僕もラドクリフ様が好きみたい。でもエッチは思いっきり流されちゃったけど……。はあ、僕ってなんて意思が弱いんだ。ってかラドクリフ様の押しが強すぎるだろ?)」 「やぁ、起きたね。体は大丈夫? 無茶をさせてしまったね。ゆっくり食事をしよう。その後俺の両親に会って欲しいんだ」 アイビーは、サァッと血の気が引いた。 「無理無理無理無理!? 一体何を言い出すのですか?? 一体僕を何と紹介するおつもりですか?  本当はよその屋敷の使用人を連れ込んで泊めていることも可笑しいんです。 あなたはどれほど大事になるかわかってない! (〜っ!!なんでこんなに……。ほんっとに問題しかないんだけどぉ!!)」 「お言葉を返す様だが、昨日きちんと伝えたよね? 今日は女性として会っていただく。今後も、窮屈だろうが両親の前ではずっと。 大丈夫。両親と一緒に暮らすつもりはないから。君は基本的に自由だよ。 そして明日は田舎の君のご両親にも会いに行く。婚約のご挨拶にね」 「……っ」 アイビーもラドクリフを愛していると自覚した。……しかし…… こんな大事な、一生を左右することを同意なく進められるのはやはり抵抗がある。 「またラドクリフ様は僕の気持ちを無視なさるのですね。こんな勝手に……(この人、本当に酷い。事の重大さわかってんの? 僕本当に女にされそうなんですけどぉ!!)」 「勝手にってなぁに? じゃあどういう風に進めるのが正解?  君は女装して俺の前に現れたただの男。これ以上どう発展させるの?  君も俺のこと好きだよね? 俺の勘違いでなければ。 じゃあ一緒にいるにはこうするしか俺には思いつかない。 他に案があるなら言ってみせてよ」 ラドクリフはいつになく強い口調でアイビーに詰め寄った。 アイビーの瞳には大粒の涙が溢れ(あふれ)出た。言い返す言葉が見つからない。 ラドクリフは二人の為に最善を考えて行動している。けれど、気持ちがついていかない。 ……何より男の自分を選ぶことはラドクリフにとっての最善の道だとは到底思えない。 「アイビー、泣かないでよ……俺のアイビー……君を泣かせたい訳じゃないんだ。君を離したくないんだ。どんな手を使っても。多くの人を裏切っても」 「……僕も、多分、初めて言葉を交わした時からお慕いしてたんだと思います。ずっと言えなくてごめん……ひっく……ふっ……ごめんなさい……本当にお側に居たいです。ふっ……愛しています。だけど……そういうわけには……そんなに簡単では……」 「アイビー、俺のアイビー、大丈夫。全て上手く行く。俺たちは離れない。全て俺に任せるんだ」 ────── 「お父様、お母様、こちらはアイビー嬢。 私が結婚を申し込んだ方です。 アイビー、こちらが両親だよ。優しい人たちだから、緊張しないで良いからね」 「まあ、あなたから珍しくお話しなんて、何かしら? と思っていたのよ。 何て可愛らしいお嬢さん。アイビーと言うの? 花言葉は「永遠の愛」かしらね? 素敵なお名前だわ。 ぜひラドクリフをよろしくお願いするわ」 「はじめまして……。アイビー•コーエンと申します。よろしくお願いいたします(いやいやいや……緊張しかしないですって!!)」 「お父様、お母様、……アイビーは貴族ではないんだ。 今はお屋敷で側仕えとして働いている。 でもね、私は自分のスクール卒業と同時にこの家を継ぎ、いずれ公爵になる。 アイビーの卒業のタイミングで結婚して屋敷に迎え入れようと思ってるんだ。 もうあまり待ちたくない。アイビーは魅力的だからね、誰にも奪われたくない。 アイビーには公爵夫人の称号を与える。アイビーの一家に財力が無くても私が将来それをカバーする。私にはそれができる。 お父様、結婚の許可をください。アイビーとでなければ一生結婚はしません。」 ラドクリフは父に頭を下げて許しを乞うた。 「お前が結婚のことでそこまで言うとは思わなかったな。色恋などくだらないといった節があったようだから……。 ここまで夢中になれるお嬢さんが見つかって逆に安心したよ。許可しよう。 アイビー、ラドクリフをよろしく頼むよ」 「あ、あの、私ではまだまだ役不足だと思います……。でもラドクリフ様とスチュアート家の為に尽力いたします……!!  ラドクリフ様を大切にし、一生を共にしたいと思います。こんな私ですがお迎えくださること、感謝いたします。 どうか、よろしくお願いいたしますっ……!!(ひぃ……まさか上手くいってしまうなんて……ラドクリフ様、有言実行だな……)」 「あぁ、アイビー! よくぞ言ってくれた! 愛している!!」 ラドクリフは両親の前だと言うのに、熱く抱擁し、激しく口付けてきた。 「ダメっ! ラドクリフ様! ご両親の前でこんなっ! (ひぃぃぃっ!! もうやめてぇーーっ!!)」 「おお、ラドクリフ、こんなに激しい子だったとは……。アイビー、大変だろうが、よろしく頼むよ。 ははははは」 ────── ロンドンを離れ、馬車はアイビーの出身地である村へやってきた。 「お父様、お母様、ただいま戻りました。アイビーです」 「まあ、アイビー、突然どうしたの……? 何故女性の格好を? 一瞬わからなかったじゃない。ふふふっ。とても綺麗ね、あなた」 「コーエン夫人、こんにちは。私は公爵家のラドクリフ・スチュアートと申します。あぁ、アイビーにとてもよく似ていらっしゃる……美しい」 「あら、お世辞を。でもありがとうございます。ええと、アイビーのお仕えしているのは子爵家のお嬢様よね? こちらは……」 「申し遅れました、私はアイビーの婚約者です」 「何ですって?! 何をっ……」 「突然不躾に申し訳ございません。 コーエン様は今ご在宅で? 婚約のご挨拶に上がったのですが……」 「すぐに呼びますわ。スチュアート様、こちらでお待ちくださいませ」 「どうかラドクリフとお呼びください」 「……はい。ラドクリフ様」 ──────   「スチュアート様、これは一体どう言う……」 「どうかラドクリフとお呼びください」 「ラドクリフ様、うちのアイビーは男だということはご存知でしょうか? もしご存知でいらっしゃらなければ……」 「もちろん、重々承知です。アイビーの全てを愛しています。もちろん初めは女性だと思い恋に落ちました。けれど男性だとわかっても諦めきれなかった。 アイビーじゃないとダメなのです。離れることは出来ない。私からしつこく迫りました。アプローチして、追いかけて……やっとアイビーに思いが伝わったのです。 もう絶対に……離す訳にはいかない。 ただ……公爵家の人間として、アイビーが男だと言うことは問題になります。 そこで、公にはアイビーを女性として紹介したい。 私の婚約者、後の公爵夫人として。 申し訳ございませんが、私の両親には既に女性として紹介し、婚約を承諾させていただいています。 どうか、無茶な話しだとは思いますが、お認めくださいませんか?」 「……アイビー、お前はどうなんだ? お前には男として、普通に結婚をし、子どもを設け静かに暮らして行くという道があるんだぞ。 それを捨ててラドクリフ様と生きていけるのか? その方は男性だぞ?!  失礼を承知で言わせてもらうが、後継者の問題など出てきたなら側妻や妾なども娶られる。 男のお前の立場などなくなり、やがて追い出される。 お前はただの男なんだ。わかっているのか?! ラドクリフ様、あなた様とアイビーにとって最良の選択だとは到底思えない。 私はアイビーの親だ。アイビーが不幸になる。アイビー、賛成はできない。お前もラドクリフ様も男だ。この事実は大きすぎる。」 アイビーの目からはポタポタと涙が零れてきた。 十分に分かりすぎている事実を突きつけられる…… 「お父様……僕だってそんなこと最初からわかっています。何度もラドクリフ様にはお断りしました。けれど……僕もラドクリフ様を好きなんです。この方から目が離せないんです。大好きなんです!! ──本当は女性の格好をする前から……スクールでラドクリフ様を見つめるだけの存在の時から好きだったのでしょう。憧れでした。 まさか僕を、男の僕でも好きになってもらえるなんて……人生で最大の幸せです。 これからは僕がラドクリフ様を幸せにしていくんです。(やっぱり僕は最初からラドクリフ様が好きだったんだ。目が離せなかったのは好きだったからなんだ……。この気持ちは守り抜くっ!! ラドクリフ様に守られてばかりではダメだっ!!)」 「コーエン様、お言葉ですが、絶対に妾など取りません。 アイビーが卒業し、私も公爵として家業を継ぎ落ち着いたら養子をとります。信じてください。 ……もしも承諾いただけなくても事実上、既にアイビーは私の妻です。私と寝室も共にしておりますし、アイビーの仕え先にも結婚の申し入れは済んでおります。 周囲の皆も暗黙の了解ですし、社交界でも周知のこと。 賛成いただけないのは残念ですが、アイビーはお返し出来ません。 おいで、俺のアイビー」 そう言うとラドクリフはアイビーを引き寄せ激しくキスをしてみせた。 「ラ、ラドクリフ様、お願いです。こんなところで、あ、んっ……(?! お父様の前でやめてぇーー!!)」 アイビーの父親は怒りで震えた。 「男同士でこんなこと馬鹿げてる。ラドクリフ様、アイビー、後悔しても私は知らない。勝手にすると良い」 そう言うとアイビーの父は部屋を後にした。 「お父さんは頭が硬い部分もあるからね。今は混乱してるのよ。少しそっとしてあげて」 「お母様は平気なの?こんな話しを聞いて……」 「そりゃ、驚いたけど、ラドクリフ様もあなたも本気だから……。アイビー、幸せにならなきゃダメだよ。そして、あなたもラドクリフ様を幸せにしなくては。 ラドクリフ様、アイビーをよろしくお願いします。あの人のことは任せて。今興奮しているだけだから」 「ありがとう、お母様」 「ありがとうございます、コーエン夫人。落ち着いたら屋敷へお呼びいたします。ご主人といらっしゃってください。 もちろん、結婚式には絶対参加ですよ?」 ────── アイビーの父は窓からアイビー達の馬車を見送った。 「あなた……本当にあの子達を……アイビーを許さないつもりなの?」 「さあ……な。どこまで続くのか見守るしかあるまい。癪だが、絆は本物のようだから」 「結婚式にも招待されたわよ! 気が早いわね。ふふふ」 「そうだな……アイビーの幸せを願うよ……」 ────── 「アイビーのお父様、俺のことお認めくださらなかったね」 「……しょうがないです。男同士なんですから。……やっぱり僕たちは間違ってるんでしょう。やはり……」 「ちょっと待って、何を言おうとしてる? まさかまた別れるとか言うつもりじゃないだろうね?  良い加減にしないと男の格好の君に、みんなの前でプロポーズしてもいいんだよ?」 「そんな……ラドクリフ様。 聞きたいことがあるんですけど……。 一体なぜ僕のことが好きなんですか?  一目惚れって仰ってましだけど……もしかして顔ですか? 顔なら綺麗な人はたくさんいますけど……(自慢じゃ無いけど僕、顔だけは可愛いしな……じゃなくてっ!)」 「んー、初めは顔、その次にその控えめで可愛らしい性格、柔らかい笑顔、物腰、声、匂い、抱き心地、全部」 アイビーは予想以上の答えに顔を赤くして言った。  「僕、そんなことありません! そんな可愛らしいものじゃありません! ただの男です。 ひゃつ!」 「アイビーは俺のどこが好き?」 ラドクリフはアイビーの腰を引き寄せ、顔を近づけて言った。 「あ、あの、近いです……」 「早く答えないとキスするよ」 「か、かっこよくて、キスが上手で、いつも抱きしめて安心させてくれて、強引で、それでも優しくって、ドキドキさせられて、それから、それから、僕のことを好きだと言ってくれるところです!!」 ……結局キスされた。 ────── 今夜は久々の舞踏会だ。 ルイーザの付き人としてではなく、ラドクリフのパートナーとしてデビューする。 「アイビー、いつも綺麗だけど、今日の君は一段と美しいよ。お手をどうぞ、お嬢様」 ラドクリフとアイビーは優雅にワルツを踊ってみせた。あまりの美しさに周囲は色めき立った。 「念願のワルツだね。やっと二人で踊れた」 「はい、これから先もずっと貴方と一緒に踊りたい。(もう迷わない……僕の心は僕が決める。もう誰にも流されない!)」 アイビーの胸元には夜色のネックレスが揺れていた。光を反射して、まるで満面の星を称えたようだ。これからの二人の行く道を輝かせてくれるといい…… 「まあ、あのお二人、何て美しいの?! 宝石のようだわ」 「見惚れちゃうわねぇ。優雅なワルツ! ラドクリフ様、ついに愛しのアイビー嬢を手に入れられたのね。アイビー嬢は他のお嬢様方の羨望の的よ! これからお二人は大変ねえ!!」

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