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18.一日目の終わりに
閉店作業もほぼ終わった。
売り上げをチェックしたけど、平日だったわりには客数も伸びたし順調だったと思う。
「二人ともありがとう。大繁盛とはいかなかったけど、お客さんが来てくれて良かった」
「俺としてはもっと若い人たちに来て欲しいもんだけどな。SNSの宣伝効果はまあまあだし、休日に期待するか」
とっきーはお客さんで店がにぎわって欲しい派だったよな。
俺は二人に払うお給料の最低ラインさえクリアすればいいと思ってるんだけど、それだと店の経営はギリギリになっちゃうか。
もう少し集客率についても検討しないとダメかな。
「急に忙しくなりすぎると、料理が間に合わなくなりそうだ。俺もまだ慣れていないし」
「とっきー、難しいこと以外は全員で分担すれば大丈夫じゃないかな。って、のんびりしすぎかな」
俺が苦笑すると、とっきーは諦め半分の顔で両手をあげる。
「それも含めて蒼樹 だよな。別に大儲けしたいわけじゃないからいいけどさ」
カウンター席へ座っているとっきーとげんちゃんの前に、お疲れ様の意味を込めてマスカットティーを出した。
これはお気に入りの紅茶専門店で購入したものだ。
砂糖を入れなくても甘いマスカットの香りと味わいが楽しめる。
俺も癒しが欲しいなと思ったときによく飲んでいるフレーバーティーの一つだ。
「蒼樹はいつものんびりしてるよな。ホントに大丈夫か?」
「蒼樹の店だ。蒼樹の好きなようにするのが一番いい」
「ったく。玄暉 も少しは考えて欲しいもんだが……期待しても仕方ないか。でも、儲からなければ店を閉めないといけないんだぞ? リニューアル代だって多少かかってるし」
とっきーはぶつぶつ言っているけど、その通りだから何も言えない。
リニューアルの件だって、二人に甘えてのボランティアだからな。
今は特に妙案があるってわけじゃないし、とにかく店を開いてお客さんを待つしかない。
「俺も店が潰れるのは困るから、頑張って稼がないといけないな。とっきー、ツッコミはよろしく」
「蒼樹、無理するな。俺たちは大丈夫だから。給料なんて二の次だ」
「そうやって、すーぐ蒼樹を甘やかすんだよなぁ」
げんちゃんは優しく俺をサポートしてくれるし、とっきーはぼんやり考えている俺をきっちり支えてくれる。
俺も二人に答えられるように頑張らないとな。ともかく、今は三人で話し合いだ。
「常連さんは時々寄ってくれそうな感じだったし、新規のお客さんをどうやって取り込むかって感じだよな」
「玄暉の手作りデザートをサイトに載せて宣伝してるし、俺の知り合いにも拡散してもらってる。じわじわ効果が出るといいんだけどな」
「とっきーは元々フォロワーさんもたくさんいるって言ってたもんな。公式サイトも宣伝してもらってるし……ありがとな」
俺が笑いながらお礼を言うと、とっきーはたいしたことねぇよって言いながらカップを傾けてる。
もしかして、照れてるのか?
「鷺羽 は、色々策を巡らせるのが得意だ。宣伝活動をやらせるのに向いてる」
「玄暉……お前、それ褒めてないからな」
とっきーはげんちゃんにツッコミを入れてる。
遠慮せずにみんなでなんでも言い合える関係っていいよな。これが幼なじみの強みってやつかもしれない。
「二人とも、今日は一日お疲れ様でした。また明日からもよろしくな」
「ああ。蒼樹もゆっくり休むんだぞ」
「そうだな。蒼樹と一緒に店を盛り上げていかないとな」
三人で紅茶を飲みながら笑い合う。
一日目を無事に乗り越えたし、この調子で頑張らないとな。
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