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26.調べものを終わらせよう
今日は一日中雨が降っていた。
恵みの雨なんていうけど、じめじめしているのは苦手だ。
客足も天気のせいか少し鈍い感じで、のんびりとした時間が多い。
こういう日にまったり過ごしてもらうのもレトロ喫茶ならではだから、売り上げを考えなければ良い時間だったとは思う。
売り上げもあまり伸びなかったし、速やかに片付けをして撤収の流れになった。
「今日はヒマだったよなー。で、明日は定休日だっけ?」
「うん。だから、みんなもゆっくり休んで。とっきーも今晩飲みに行けるよ。誘われてるって言ってなかったっけ?」
「行くつもりだったけど。蒼樹 は?」
「俺はちょっとやることあるから。みんな先に帰って」
とっきーは俺のこと気にしてるみたいだったけど、俺は一人でゆっくりと確認したいことがあるからな。
家へ帰ると忘れそうだし、今のうちにやっちゃった方が気が楽だ。
「了解。じゃあ、ふーみんも行くぞ」
「え、なんで俺。確かにサークルの人たちと飲むって聞きましたけど、今はサークルも抜けてますし」
「いいから。遠慮すんな。じゃあ、俺らは先行くわ。お疲れー」
とっきーは嫌そうにしている史弥 君を引っ張って行っちゃった。
かわいそうに……とっきーは強引なところがあるからな。
二人の背中を見送ったんだけど、隣にげんちゃんがいることに気づく。
「あれ? げんちゃんは帰らないの?」
「俺も蒼樹が残るならやりたいことがある。できれば蒼樹の意見が聞きたい」
「それは構わないけど……俺、少し調べものをするからカウンターにいるよ。コーヒー器具の値段を見ておきたくて」
「分かった。準備ができたらそっちに行く」
げんちゃんは後でと言い残して、バックルームの方へ行ってしまった。
げんちゃんもキッチンで何か作るつもりなのかもしれない。
背中を視線で追ってから、俺もやるべきことをしようとカタログを何冊かカウンターの上へ置き、パラパラとめくり始めた。
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しばらくはお互い自分のやるべきことをしていたんだけど、店の壁掛け時計を確認すると一時間くらい経っていたみたいだ。
俺も一通り確認できたとカタログを閉じたところで、タイミングを合わせたようにげんちゃんがカウンターの前にやってきた。
「季節のデザートを作った。特に捻りもないが、グレープフルーツのショートケーキだ」
「ピンクグレープフルーツと普通のグレープフルーツなんだ?」
「あぁ。見た目もいいと思ってな」
「可愛いと思う。スポンジ生地でもタルト生地でも美味しそう」
比較的シンプルだけど、シンプルな見た目は年齢関係なく頼んでくれるから安心だよな。
俺はお湯を沸かし直してからげんちゃんにも俺が飲んでいた紅茶を勧めて出して、いつものようにカウンター席に向かい合わせの状態で座ってもらった。
「それじゃあ、いただきます」
俺が黙々と食べる間、げんちゃんは少し緊張しているような表情で俺をじっと見つめてくる。
考え事してたから、甘いものがいつもよりおいしく感じる。
時間帯関係なく、甘いものをいくつでも食べられる女の子はすごいよな。
俺も嫌いじゃないけど、ケーキ食べ放題となるとそこまで量は食べられないと思う。
でも……げんちゃんの作ってくれるデザートは不思議といくらでも食べられる気がする。
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