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38.一難去ってまた一難
しっかりリフレッシュした後は、また平穏な日が続いた。
夏を越して秋になると店の運営にもだいぶ慣れて、安定した経営ができるようになってきた。
お客さんも少しずつ増えてきたし、女性客と近所の固定客でにぎわう日もできたりして、たまに人手が足りなくなる時もあるくらいだ。
休日は特に女性客が多く来るようになったから、これもとっきーの宣伝効果が実を結んだんだろうな。
「お待たせしました。プリンアラモードのお客様」
「ここに置いてください。あの……写真撮ってもいいですか?」
「食べ物の写真ですか? どうぞ」
「食べ物もそうなんですけど、店員さんも……」
「顔をネットに上げないと約束して頂けるのなら構わないですよ。さすがに恥ずかしいので。料理はむしろ宣伝して頂きたいので広めてください」
とっきーは最近特に女の子たちに人気あるよな。
写真を撮らせる代わりに、店の宣伝をしっかりお願いしてるからなぁ。
親しみやすい接客は、安心して見ていられるし心強いな。
って、本人にも後で伝えてあげないと。褒めるとやる気を出してくれるだろうし。
「やっぱり若い子はカッコイイ子がいいんだろうなぁ。モテモテじゃないか」
「人気あるんですよね、一路 君は。鈴木君も女性人気は高いですけど」
「そんなこと言って、蒼樹 君も人気あるだろう? 今日はカウンターも空いていたが、休日は女性でほぼ埋まっているものな」
「そうでしたっけ? 俺は皆さんとお話する時間が好きなので誰でもウェルカムなんですけどね」
近所の常連さんと笑いながらカウンターでしゃべっていると、入り口のベルが来店を知らせる。
あ、自治会長さんか。
なんだか難しい顔をしている気がするけど、どうしたんだろう?
「ああ、良かった。蒼樹君に聞いて欲しい話があるんだ」
「自治会長さん、どうしたんですか? 顔色があんまりよくないみたいですけど」
自治会長さんは具合が悪いわけではないんだと話しながら、カウンターの席へ座った途端に長いため息を吐いた。
会長さんがいつも頼んでくれるプラコレブレンドを作りながら、先に来ていた常連さんと顔を見合わせる。
「私も急な話で驚いているんだが……この商店街に再開発の話が来ているらしくてな」
「え、再開発?」
急な話過ぎて、俺までついていけない。
再開発って……そんな話は今まで一度も出てなかった。
確かにこの商店街は活発っていうほど流行っているわけでもないかもしれないけど、だからと言ってシャッター商店街まではいっていない。
「なんでまた急に?」
「さっぱり分からないんだがね、最近駅前をリニューアルしているのは知っているだろう?」
「はい、それは知ってます」
「そのリニューアルに関わっている会社がこの辺り一帯も綺麗にして、大きなショッピングモールにするっていうんだよ」
最近ショッピングモールが増えている気はするけど……まさか自分たちも都市の再開発に巻き込まれることになるとは。
綺麗にするっていう表現が気になるけど、まさか商店街をなくすつもりじゃないよな?
自治会長さんの表情を見ていると、なんだか不安になってきた。
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