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40.今は様子見

 とっきーとげんちゃんと視線を合わせる。  でも、再開発なんて……俺の力じゃどうしようもできないことだよな。   「蒼樹(あおい)、そんなに深刻な話なのか?」  俺がなかなか話を切り出せないでいたから、げんちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。   「俺も詳しい事情を知っている訳じゃないんだけど、もしかしたら店を続けられなくなるかもしれない」 「は? なんで?」  俺が声を絞り出すように言うと、驚いたとっきーが詰め寄ってくる。  顔が怖いし、言い方も怖いからわざとげんちゃんの方へ寄って腕をつかむ。 「げんちゃん、とっきーが俺のことを脅してくるんですけど」 「おい、鷺羽(ときは)。蒼樹を威嚇(いかく)してどうする。もっと優しい言い方はできないのか?」 「そういう玄暉(げんき)も俺をにらみつけるのやめろよ」  とっきーも一旦俺から体を離して、不服そうな表情で紅茶を飲み始めた。  二人のやり取りを見ていたら、少しほっとした気がする。  俺もいつまでも渋っているわけにはいかないよな。そもそも、俺が話があるって二人を引き留めたわけだし。  俺は決意するように深呼吸をしてから、二人の顔を見つめながら話を切り出した。 「自治会長さんが、商店街一帯の再開発の話を聞きつけたんだって。しかも、店を買わせてくれっていう提案をされた人がいるって言ってた」 「それって、地上げっていうヤツか? 高く買ってあげるから土地渡せみたいな」 「地上げ? それはガラの悪い連中がやるものだろう。いざとなったら俺が力づくでも店を守る」  とっきーの言うような危ない感じではなさそうだけど……げんちゃんは本当に力づくで解決出来ちゃいそうだよな。  気持ちは嬉しいけど、力で解決するのはマズイもんな。  俺もさっき驚いたばっかりで詳しい内容はさっぱりだから、今は何もできないのがもどかしい。  再開発のための地上げなのかも……正直何も分からない。  そうじゃないことを祈りたいけど、ドラマで見るような人たちが店の椅子を蹴り飛ばして……とか。  そんな想像はしたくない。   「その、買い上げるっていう値段が高いかどうかは知らないけど、再開発の話は噂じゃなくって真実ってことだよな。だって、実際に声をかけられた人がいるってことは、話自体が進んでいるってことだし」  俺が呟くと、とっきーもめずらしく神妙な顔で頷いている。   「だな。今は証拠もないし、相手の出方を待つしかないか。今のご時世、無理やり立ち退けだなんてできないはずだしな」  とっきーの言う通りだ。  噂が真実だとしても、開発会社の情報もない状態だ。  駅前の開発と一緒の会社だったら、駅前に行けば何か分かるかもしれない。  よく看板に書いてあるもんな。開発計画みたいなことが。  それか、自分たちのところにも何かアクションが来るまでおとなしくしているしかない?  でも……来られても断る以外の選択肢はありえない。 「とにかく、俺たちも用心するしかないよな。再開発をする企業が敵か味方か分からないけど、俺はこの場所でこのままのプラコレを大切にしたいから」 「俺も蒼樹の大切なものを守るだけだ」 「それは賛成。新しいショッピングモールもいいと思うけど、ここまで頑張ってきたのを無にされるのはありえないな」  二人とも力になってくれるみたいで良かった。  キレイで新しい施設も好きだけど、プラコレはやっぱりプラコレのままが一番だ。  だから、商店街の再開発は諦めて欲しい。  古き良きものを大切に伝えていくのも大事だよな。

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