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47.意味深な言葉
北條さんの視線が意味深な気がして、首を傾げてしまいそうになる。
俺に言いたいことが? なんだろう?
今は仕事中だってことを忘れてしまいそうだ。
いくら心が広い紳士だからといって、あまり失礼な態度をとってしまうのはよくないよな。
「やっぱり惜しいな」
「え?」
つい変な声を出してしまったけど、惜しいってどういう意味だろう?
北条さんの話の先が気になってしまって、北條さんと目線を合わせた。
「意味深な言い方をしてしまったからな。気にしてしまったかな? しかし……すまないがこの場で何がと言うことはできない。だが、惜しいという気持ちは本当だ」
「何か事情がおありなんですね。何にせよ、惜しんでくださるというのは悪い意味ではありませんから嬉しいです」
俺はピンとこないけれど、きっと大切なことなんだろうな。
微笑んで返すと、北條さんは少し考え込んでからスーツの内ポケットから手帳と万年筆を取り出してスラスラと何かを書き始める。
何かを書き終えるとページを破り取ってカウンターの上へと置き、スッと俺の前へと押し出した。
「これは……」
「後で見てくれ。営業中に手を煩 わせるわけにはいかないからな。それを見てどうするかは、永瀬君の判断に委ねるよ」
「分かりました。店を閉めてから確認させていただきますね」
「よろしく頼む。その時が楽しみだ」
北條さんはとても満足そうな表情を浮かべながら、店での一時を楽しんでくれているみたいだった。
プラコレを気に入ってくれたのなら、嬉しいんだけどな。
でも、今は再開発問題も気になるから店がどうなるかも不安だ。
北條さんもそうだけど、これからも色々な人に来てもらいたいって思ってるから目の前の問題が解決に導けたらいいんだけど……。まだ不安はぬぐいきれない。
「今日も有意義な時間を過ごすことができたよ。ありがとう」
「こちらこそ、貴重な意見をありがとうございます。これからも良い店になるように励んでいきますのでぜひまたお越しください」
「……そうだな。ぜひまた寄らせてもらうよ」
最後まで素敵な笑顔な北条さん。俺もお話するのが楽しかったな。
忘れないようにと頂いたメモをシャツの胸ポケットへ忍ばせていると、北條さんが立ち上がったのと同時に俺へ少し顔を寄せてくる。
「私がメモを渡したことは、私と永瀬くんの二人の秘密にしておいてくれると嬉しい」
「秘密に? それは構いませんが……もしかして、北条さんご自身の個人的な内容が書かれていたりとか?」
ぼかして伝えたけど、もしかしたら連絡先を教えてくれたかもしれないって。そんな予想をしてしまった。
俺が言いかけると、北條さんの人差し指が俺の唇に触れるか触れないかの位置にピタリと止まる。
少し驚いて口元へ視線を落とすと、北條さんが少し楽しそうに笑っているのが見えた。
「ふふ。内緒だ。君は見ていて飽きないよ」
「あ……またのご来店をお待ちしております」
何とかいつもの台詞が紡ぎだせたけど、緊張して固まってたから失礼な態度だと思われてないかな?
お辞儀をして北條さんの背中を見送ってから誤魔化すように店内を見回すと、別のテーブルで接客していたとっきーと目が合った。
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