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46.コーヒーゼリーのお味は?
コーヒーゼリーはシンプルなものだけど、ゼリー自体はゼリー用にブレンドしたコーヒーだから少しほろ苦くなっている。
げんちゃんが仕上げと最終チェックをしてから、俺の前にゼリーを出してくれた。
「ありがとう。じゃあ、持っていくね」
「よろしく頼む。蒼樹 、あまりあの北條という紳士に深入りするな。少し、心配だ」
「げんちゃんがそんなことを言うのは珍しいな。別にただ普通に話してるだけだから」
「それならいいが。蒼樹がずいぶん彼のことを気にしていたから気になっただけだ。鷺羽 ほど言うつもりはないが、蒼樹は誰からも好かれることを自覚した方がいい」
「げんちゃんにまで心配されちゃうなんて……俺は普通に接してるつもりなんだけど。というか、お客さんに好かれるならいいことなんじゃない?」
げんちゃんは俺に対してもっと何か言いたそうな顔をしていたけど、結局何も言わなかった。
とっきーだったら、確実に何か言ってきそうだよな。げんちゃんは何を言いたかったんだろう?
「げんちゃんを困らせるようなことはしないから大丈夫。安心して?」
「ああ。分かってる」
それだけ言うと、げんちゃんは作業に戻ってしまった。
俺もコーヒーゼリーをトレーに載せてカウンターへ戻る。
北條さんは、優雅にカップを傾けてコーヒーを楽しんでいるみたいだ。
こういう余裕のある仕草ってどういう生活を送ったら身に着くんだろう?
「お待たせ致しました。コーヒーゼリーです」
「ありがとう。シンプルで美味しそうだ」
カップを置くと、スプーンへ持ち替えてゼリーをすくって口へ運んでいく。
味わって食べてくれている姿を見るのは、マスターとしても嬉しい気持ちになる。
「ふむ。ほろ苦いコーヒーに生クリームの甘さとバニラのアイスがちょうどいいな。私はこの二つだけでも甘く頂けてしまういそうだ」
「ありがとうございます。どなたでも美味しく食べていただけるように工夫していますので、そう言っていただけると励みになります」
コーヒーだけじゃなくて食べ物も気に入ってもらえて良かった。
さすがげんちゃんだ。この感想も、後で伝えたら喜んでもらえそうだ。
「今日は色々味わうことができて得した気分だ」
「そんな、こちらこそ。デザートもお口にあったみたいで本当に良かったです」
穏やかな午後の日は、やっぱりコーヒーと甘いものなんだよな。
俺が個人的に好きな組み合わせっていうのもあるけど、やっぱり甘いものとほろ苦いコーヒーは文句なしにピッタリな組み合わせだと思う。
ゆっくり食べているように見えていたのに、コーヒーゼリーが乗っていた皿はいつの間にか空になっていた。
北条さんが食べ終わったことに、全く気づかなかった。
「ごちそうさま」
北條さんは微笑みながら、スッと俺の顔を見上げてきた。
その眼差しに魅入られたみたいに、俺も自然と目を合わせていた。
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