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第1話 普通の大学生なんですが

「リュカ、君は生涯僕の隣にいるべき人だよ」 有り得ないと思った まさか自分の最推しが目の前にいるなんて そしてその最推しが俺に愛を囁いているなんて 「お、俺は腐男子として壁に徹したいだけで、男が好きなわけじゃないんだっ!!!」 𓂃𓈒 ❅ * 「ねぇれーくん、お願いがあるんだけど」 俺の名前は鷹宮檸檬(たかみやれもん)。二十歳の大学二回生。どこにでもいる普通の大学生、のはず。 「ねぇれーくん聞いてる?お姉ちゃんの話聞いてる?!」 「聞いてるよ。でもりーちゃんのお願いは嫌な予感しかしないから」 りーちゃんとは三つ子の姉である鷹宮林檎(たかみやりんご)。もちろん二十歳の大学二回生。俺とはあんまり似てないけど大事な姉だ。ただ、とんでもなく意地悪で俺に無理難題を押し付けてくる常習犯。正直迷惑してる。 「嫌な予感ってなによ!れーくんはお姉ちゃんのことが嫌いなの?!ねぇー聞いてよー」 こんな感じでいつもお願いをしてくる。そして俺は断れない。絶対俺にとって良くないことなのになんだかんだ姉に弱いんだよなぁ。 「またれーくんに何か言ってんの?いい加減嫌われるよ」 「みーちゃん!そんなことないもん。れーくんは私の事大好きだからね」 みーちゃんとはもう一人の姉である鷹宮蜜柑(たかみやみかん)。こちらももちろん二十歳の大学二回生。みーちゃんも顔は似てないが性格は似てるとこがあると思ってる。 「んで?お願いってなにさ」 「マルリムルートをクリアして!」 「無理!俺がゲーム苦手なの知ってるでしょ?!」 俺達の共通点として、BLが大好きというのがある。あ、もちろん見るのが好きなだけで自分が入るのは地雷だから。姉ちゃん達はそう思ってないらしいけど。BLは観察してゲヘゲヘするのが幸せなだけで自分がその世界に入るとか気持ち悪くて死ぬ。 「あれ、りーちゃんまだマルリムルートエンディング見てなかったの?」 「どうしてもこいつ嫌いでさ。マルリムと主人公が恋するって考えたらBLでもちょっと鳥肌って感じ」 元々みーちゃんがハマって俺達に布教した、シナリオAI型オープンワールド恋愛RPGゲーム『Liberne Fate Online~運命が紡ぎし恋物語~』 国の中を自由に動けて、色んなクエストをすることができる。また七つのルートがあり、主人公と攻略対象が恋をしてエンディングに向けて会話を楽しむゲームになってる。しかも攻略対象との会話にはAIが搭載されており、プレイヤーによって会話の内容が変わるという機能がある。最新鋭のゲームなのだ。 「マルリムのどこが嫌いなの?」 「私そもそもクール系苦手。静かな自分かっこいいですって思ってるキャラ無理なんだよね〜」 「でも、マルリム様の顔好きそうなのにね」 「顔は好き。でも性格無理」 りーちゃんとみーちゃんは一卵性の双子らしい。詳しくは知らないけど。だから顔はそっくりなんだけど性格は全然違う。みーちゃんはおっとりしてて、りーちゃんはサバサバしてる。好みの顔やタイプも違うから、同じゲームでも好きなキャラや好きな顔は全然違う。ちなみに俺も二人の推しとは違う。 「あ、またリュカが邪魔してくる」 「悪役令息でしょ?どうせ破滅するんだから大人しくしてくれたらいいのにね 」 「ちょっとりーちゃん!リュカ様は私の推しなんだから悪く言わないでよ」 後ろで喧嘩しないで欲しいなんて言っても聞いて貰えないだろうな。なんなら、喧嘩なんてしてない!って逆に怒られそうだし。てか、りーちゃんのゲームやってんの俺なんだけど。下手くそなりに頑張って進めてんのに。やめてやろうかな。 「あ、そうだれーくん!コンビニ行ってきて欲しいなぁ」 「は?今りーちゃんのゲームやってあげてんの見えないの?無理でしょ」 「こんな夜遅くに可愛い女子大生を一人で放り出すの?れーくんは最低野郎なの?」 また始まったよ無茶振りが。夜遅くって言うけどまだ二十一時なんだよなぁ 「あ、私もコンビニ行かなきゃなんだった!せっかくなら三人で行こうよ」 「二人で行ってこいよ。俺はゲームしてるし」 「檸檬、来い」 結局俺は、姉に甘い。 「あ''ー''つ''ー''い''ー''!」 「うるさいよりーちゃん」 三人で近所のコンビニから家までの道のり。もう夜だってのに夏至が近いせいか少し明るさが残ってる。せっかく買ったアイスも溶け始め、あんまり美味しくない。そういえばラクトアイスって食べ過ぎると体に悪いんだっけ。太るしな。まぁでも暑いから結局食べちゃうんだよなぁ。 なんて考えながら大通りの横断歩道を通過中、嫌な予感がしてふと横を見ると、フラフラした様子のトラックが見えた。もしかしてアイツ居眠り運転か?こっち突っ込んできてないか?このまま来たら蜜柑と林檎を巻き込んでしまう。 「あぶないっ!」 怖かった、二人を失うのが。 怖くなかった、二人を庇うことが。 俺はそのまま突っ込んできたトラックに跳ねられ、意識を手放した。

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