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第5話 奴隷市に行こう!

俺がこの世界に生まれて六年の月日が経った。 今日は奴隷市に奴隷を買いに行く。この世界では奴隷の売買が認められていて、貴族社会ではいて当たり前の存在だ。まぁ俺は日本人で奴隷とは縁がないけどそろそろ俺も奴隷を買わなければいけないらしい。 「リュカ、ほんとに一人で行くのか?」 「お父様、僕の奴隷を買うのです。一人で大丈夫です」 「一応大丈夫だとは思うけど気を付けて行ってきなさい」 さて、どうしたら奴隷を買わなくてすむか考えないと。どうしても俺は日本人だからな。奴隷とか程遠い存在というか全く頭にないんだよな。でも奴隷を買って帰らないとお父様たちが心配しちゃうし、俺は今リュカ・ホールデンだしなぁ。 「あれ、この道だったっけ?なんかどんどん奴隷商から遠ざかってる気がする」 リュカは方向音痴とかじゃなかったはずなのに。もしかして俺のPSがないところが裏目に出てんの?ゲーム下手ってこういうとこまで影響出んのかよ。最悪だな。 「てめぇらわかってんだろうな!!逃げ出した奴隷の末路を!!」 ん?なんか近くから怒号が聞こえる。逃げ出した奴隷の末路って言ったよね。正直面倒事に首突っ込みたくないけど、奴隷商の場所も聞きたいしなぁ。この辺誰もいないし、この怒号の主達に聞くしかないもんな。 「あ、あの…すみません。少しお聞きしたいことがあるのですが」 「なんだクソガキ、こっちは今忙しいんだ。見て分からないのか?」 多分、逃げ出した奴隷二人と奴隷商ってところか。奴隷二人の状態は良くなさそうだし、日本人としては心が痛いなぁ。何とか出来ない、かなぁ。てかこの二人見たことあるぞ。どこだっけ。どこで見たんだっけ。絶対見た事あるはずなんだけど思い出せない。 「冷やかしならどっか行け!俺は今むしゃくしゃしてんだ」 「奴隷市の場所を聞きたかっただけです。迷子にはなってないんですけどここがどこか分からなくて。良かったら教えて貰えませんか?」 「それ迷子って言わないか?まぁいつもなら案内してやるが今日は虫の居所が悪いんだ。遠慮してくれ」 「…その奴隷が何かしたんですか」 「せっかく貴族様がセットで買ってくれる予定だったんだがな。こいつら要素を持ってないことを隠してやがったんだよ!」 要素、それはこの世界において大切な魔法。このゲームにももちろん魔法がある。火、土、水、風の主要素(四大要素)と光、闇の副要素(二大要素)。基本的に一人一要素を持っていて、稀に複数の要素を持っている場合もある。ちなみにリュカは水の要素持ちだ。そして極稀に要素を持っていない場合もある。要素を持っていない者はこの国において肩身が狭い。この国の絶対神である創壊神様の加護が無いとされるからだ。 「ったく、こんなゴミ持ってても仕方ねぇが。お前らのせいで俺は赤っ恥だ!いっそ娼館にでも売り飛ばすか」 「あの、もし僕が買いたいと言ったら売ってくれますか?」 「あぁ?お前がこいつらを買うってか?言っとくがな坊主、いくらこいつらが無能だったとしてもある程度の金はいる。しかも二人だ。こっちは最悪娼館に飛ばせちまえばいいしな」 「お金ならある程度ありますし、一応貴族籍なので信用もあります。第一、娼館に売り飛ばそうにもこんな汚れた子供が売れるわけないじゃないですか。しかも要素無しですし」 「それもそうか。なら二つで金貨40枚はどうだ?」 金貨40枚は日本円でおよそ40万円。目算二人で金貨2枚ぐらいだろうから足元見られてんな。貴族の何も分からないガキだと思われてるはず。どの道娼館に売っても銀貨1枚ぐらいにしかならないはずだしこっちもこっちでふっかけるか。 「金貨40枚は持ってないな。それに40枚だと少し多い気がする。金貨1枚でどう?」 「金貨1枚だと?おいおい勘弁してくれ。なんで40枚が1枚になるんだ。数字もわかんないようなガキに売る気はないね」 「なら娼館に売り飛ばせばいいよ。こっちは奴隷市に行くだけだからね」 「なら金貨20枚でどうだ?半額だぞ?」 「…おじさん、今なら金貨1枚で見逃すけど奴隷保護法違反で憲兵に突き出してもいいんだよ?おじさんはこの要素なしを手放せて、しかも金貨1枚の売上だよ?俺算学は得意なんだけどな」 まぁこれぐらいはしないとこのおっさんも手放さないよなぁ。あんまり脅しとかしたくないんだけど仕方ない。これで流石に折れるだろ。 「チッいいだろう。二つで金貨1枚だ」 よし勝った。金貨1枚を渡して奴隷契約の主を俺に移してもらった。これで晴れてこの二人は俺の所有物になった訳だが。元々奴隷用に金貨50枚貰ったのに50分の1になっちゃったな。お父様どう思うかな。 「でもほんとに良かったのか?吹っかけた俺が言うのもなんだが、こいつら創壊神様のご加護が無い奴らだぞ?それに特に上の奴は手が付けられない程の暴れん坊でな」 「大丈夫です。わざわざご忠告ありがとうございます」 奴隷商はそのままそそくさと走って逃げて行った。まぁ憲兵に突き出せば確実に捕まるだろうしな。さてと、買ったはいいもののどうするべきか。そもそも俺は奴隷なんかいらないけど、この世界は意外と奴隷で周ってたりする。奴隷を持ってるのも貴族の役目と言うぐらいだし。 「君たちはどうしたい?もし逃げたいのなら契約を解除してここでお別れ。ある程度ならお金もあげるよ」 「…なんで俺たちを買った」 「なんでって言われてもなぁ。同情かもね。俺日本人だから困ってる人見たらスルー出来ないの」 「ニホンジン?」 「あ、いや、なんでもないなんでもない!とにかく!君達はどうしたいかな?もし俺についてくるなら衣食住は保証するよ。ちゃんと仕事もあげるし二人とも自由にしていいしね」 一度奴隷の印が入った人間は、戸籍を取るのに苦労する。奴隷契約を解除したところで元奴隷なのに変わりはないし分かってしまう。そのせいで攻略対象も悩んでいてルートを攻略するの大変だったなぁ。 「なんでそこまでするんだ」 「だから同情だよ。可哀想だからだと思ってくれればいい。どうせ奴隷を連れて帰らなきゃだったんだ。それなら君達でもいいだろう?」 「俺達は無要素だ」 「だから何?別に君達が要素持ちだろうが無要素だろうが俺には関係ないことだよ。俺はただ、君達と友達になりたいだけなんだ」 …あれ、このセリフどっかで聞いたような。てか俺イタイやつじゃね?恥ずかしいな。キザなセリフ吐くとかどっかのアニメの主人公かっての。 「友達…。奴隷に友達っておかしい奴だな」 「なんだ、笑えるじゃん。君達かっこいいんだから笑顔なら更にかっこよくなるよ」 「へ、変な奴だな。まぁ契約破棄したって行く宛てないし無要素ならどこに行っても一緒だしな。俺と弟を一緒にしてくれるならついて行ってあげてもいいけど」 「勿論だよ!ただ、ついてきてくれるなら俺付きになるだろうから、ある程度は俺の言う事聞いてもらうからね」 「ある程度?」 「んー、お父様の執務室は基本入っちゃダメとか、危ない場所は立ち入り禁止とかかな?まぁでも基本的には自由にしていいし、よっぽどのことがない限りは怒ったりしないよ」 「もし喋れなくてもか?」 喋れない…?もしかして、弟の方は口が聞けないのか?そういえばさっきから口を開いてないし、ずっと兄の後ろに隠れてばっかだな。 「意思疎通が取れるなら喋らなくてもいいけど。頷いたり首振ったりは出来る?」 「それはできる」 「なら大丈夫」 言葉が喋れないこと自体はどうでもいい。喋らないNPCみたいなもんだし。意思疎通が取れるならそれ以上なんだから大丈夫だろ。とにかく家に帰ってお風呂だな。それから奴隷契約を解除して、うちで出来る仕事をあげよう。いや、その前にご飯だな。俺もお腹減ってきたし、みんなでお昼ご飯を食べないと。 「それじゃ、俺達の家に帰ろっか」

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