4 / 5
第4話 二人目の攻略対象
俺がこの世界に生まれて五年の月日が経った。
俺の最推しに初めて会ってから二年。苦しい思いをして最推しから逃げた。だって推しだよ?最高のイケメンだよ?ホントなら色んな角度から眺めたり、遠くから生態観察したりしたいのにさ。
でも、全ては俺の人生のため!もう二度と不幸で死にたくない!
「あ、リュカ!こんなところにいた」
「げっ、ぁ、レオナルド殿下、ごきげんよう」
やっべ、ボーッとしてたらレオに捕まった。でも顔が良過ぎるんだよなぁ。俺の好きな顔が目の前にあるんだよなぁ。やっぱイケメンはズルい。
「今日は君に紹介したい人がいて、連れて来たんだ」
「紹介したい人?ですか」
「あぁ、ラルム来てくれ」
らるむ?…え''っ''、ラルム?!ちょっと待って!ラルムってあのラルム・キアセラ?!レオに続き二人目の攻略対象じゃねぇか!
「リュカ様お初にお目にかかります。キアセラ侯爵家嫡男、ラルム・キアセラと申します。よろしくお願いします」
「ホールデン公爵家嫡男、リュカ・ホールデンです。こちらこそよろしくお願いします」
最悪だよ、会っちゃったよ。でもラルムもイケメンなんだよなぁ。男でも惚れるような顔立ちしてる。ほんとにレオと並ぶと絵になるよな。
二人目の攻略対象、ラルム・キアセラ。キアセラ侯爵家の嫡男で将来はレオの護衛騎士になる男。年齢は俺らの一個上でアルファである。
「ラルムは俺の護衛になってくれる予定だ。俺と一緒にいる時は君も守ってくれる」
「ありがとうございます」
「別に、ついでです」
そう言えば、ラルムは寡黙で堅物って設定だったな。小さい頃からそうなのか。ラルムルートはセシルとレオの恋を邪魔しなければ追放されないはずだから、やっぱりレオから逃げ続ければ良さそうだな。よし、逃げる対象が二人になったぞ。
「あの、リュカ様」
「どうしました?ラルム様」
「いえ、やっぱりなんでもないです」
やっぱりラルムってよくわかんないよなぁ。りーちゃんはよくわかんないラルムが好きって言ってたけど、実際会って目の前にすると、何考えてるかわかんないのって大変だな。せめて考えてることが分かれば対処の仕様があるのに。
「ラルムはこの通り静かな男だ。なにか気になることがあれば質問すれば答えてくれるぞ」
「気になること…」
そう言えば、どのルートでもラルムが主人公と結ばれることはなかったよな。ラルムが誰かと恋してるなんて描写はなかったはず。そう言えば、このゲームの作者のSNSで、実は小さい頃にリュカに恋してたけど、リュカの悪役令息ぶりを見て嫌いになったとかなんとか言ってた気がする。…え、俺?
「ラルム、お前はなにか無いのか?リュカに聞きたいこと」
「聞きたいこと…。リュカ様はレオの事どう思ってますか?」
え、直球かよ。これは俺どう答えたら正解?素直に顔がタイプです!とか言ったら怒られそうだし、かと言って全く興味ないです!なんて言ったらお父様に怒られそうだし。何が正解なんだよこれ。でも何も答えなくても怒られそうだし。仕方ない。
「そうですね、婚約者として相応しくないかもしれませんが、早くレオナルド殿下をお支え出来るように日々頑張っています」
よしっ!俺ナイスじゃね?正直ラルムの質問に対して答えになってないかもだけど、誰にも怒られない俺にも損がない正解だったのでは!
「大丈夫ですよリュカ、相応しくないなんて有り得ません。もしそんなことを言う奴がいたら死刑にしますから」
「レオナルド殿下、怖いです」
レオも大変だな。思ってもないことを口にして婚約者のご機嫌取りなんて。やっぱり王子様って大変なんだなぁ。
「リュカ様は凄いですね。幼い頃からレオを思いやってそれを目指して日々精進していらっしゃる。素晴らしいです」
「そんなことないです。まだまだ精進しないと、お父様に叱られてしまいます」
てか、そろそろ話し終わってくれないかな。あまり攻略対象に近寄りたくないんだけど。
「リュカは凄いですね。ラルムがこんなに話してるの初めてみた」
「そうなんですか?ラルム様は聞き上手なんですね」
「聞き上手...初めて言われました」
そういえばラルムは感情を表に出すのが苦手で、それが原因で親に見放されるんだったよな。ゲーム中でもそんな喋らないキャラだし、レオにも心を許してるのか最後までわかんなかったしな。
「リュカ様がレオの婚約者じゃなかったらいいのに」
「ラルム、それはどういうことかな?」
「別に他意はない」
そ、それは俺がレオに相応しくないってことか?まさかのレオの身内からの拒否だと?!いや、それなら好都合じゃないか?攻略対象から離れるチャンスだし!むしろ婚約解消してくれたらいいのに。
「リュカは俺の婚約者だからね」
「はぁ...」
解消してくれたらいいのに......
ともだちにシェアしよう!

