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BLアイドルの始まり 01

「なんか良い稼ぎになるバイトないか? 景虎」 「そんなバイトあったら自分でやってるつーの、真里」 「良いバイトみつけたら僕にも紹介してね」 「僕も、僕も」  俺は甘木真里、ハーフなのか先祖返りなのか瞳が産まれたときから青い、髪も薄っすら青みがかっていると言われる。今は友達同士で良いバイトはないかと話をしていた。  景虎は岩野景虎、髪は明るい茶色、目も濃い茶色。身長は170センチくらいでもっと伸びないかと嘆いているような奴だ。  紹介してねと言っていたのは竹原陽司、ふわふわとした金髪で目は緑のハーフだ。身長は155センチくらいしかなく、大学生になったのに小学生と呼ばれる。本人はその度に身分証で訂正するのに一苦労している。  最後に僕も、僕もと言ったのは悠木純一、こいつも身長は低い方で165センチしかない。長い黒髪と茶色い瞳で顔が良いから清純派アイドルに見えるような奴だ。なお男から女に間違われて告白されたこと数知れずという話だ。  そうやって四人でだらだらと部屋でくつろいでだべっていたら、この部屋の持ち主が帰ってきた。 「選ばれし五人の戦士よ、たった今、立ち上がるがいい!!」 「また有留の中二病が始まった」 「自ら中二病設定にするってなんでやねん」 「僕は面白いからいいと思うよ」 「あ~ん、陽司ったら見た目どおり天使」  俺達は草木有留の自らすすんでやっている中二病設定に突っ込みをいれた。陽司はそれを肯定した、見た目どおりふわふわの金髪といい緑の目といい純一が言ったら天使である。 「あー、違う違う。良い稼ぎ方を見つけたんだよ。名付けてBLアイドル作戦!!」 「びーえる?」 「あいどる?」 「さくせん?」 「それって何ですか?」 「まず絵が上手い陽司と純一には同人誌を描いてもらう、真里は洋裁が上手かったから衣装係だ。景虎はカメラが趣味だったから撮影係。そうして同人誌即売会で俺達がエロく絡み合っている同人誌を売る。資金は心配するな、俺が今までバイト貯めてた金から出す!!」 「その前にいいか? 有留?」 「なんだ、真里?」 「びーえるあいどるって何だ? 同人誌即売会って何をするところだ?」 「BLとは男同士で愛し合うという至高の世界で、同人誌即売会は文字通り同人誌を売る場所だ」  有留のその解答をその場で理解できたものはいなかった。でも自分たちが金を出さずに良い稼ぎ方ができるという話は気に入った。だからBLという意味すら理解できていなかったのに反対する者はいなかった。有留はさらに話し続けた。 「ちなみにそれぞれ芸名をつけた。俺はヴァンだ。吸血鬼でこの五人のリーダーという設定だ。真里はマリン、ヴァンの友人で永遠に死ねない命をもつ元人間という設定だ。景虎は虎之介だ。俺様のペットという扱いになる。そして吸血鬼の生贄として攫ってきたのが陽司ことようじだ。純一はジュンとして俺のメイド扱いになる」  有留はそこでお茶をぐびぐびと飲んで、更に詳しい設定を話し続けた。俺、マリンって芸名になるのか、まぁいいけど。 「最初の同人誌は最低五冊、ヴァンとマリン、虎之介、ようじ、ジュンがそれぞれBLしてる内容になる。そんな本をようじとジュンには描いてもらう。虎之介は撮影係だ、マリンが衣装を用意したらそれぞれ俺といやらしく絡んだ写真を撮れ」 「衣装か、それぞれの希望を聞いてから俺が作ってみよう」 「いやらしく絡んだ写真って俺、撮れるかな」 「ジュン、頑張って同人誌? ってやつ描こうね」 「ようじが言うなら僕も頑張っちゃう」  こうして俺達はBLの同人誌と衣装、ブロマイドなどのグッズを作ることになった。もう面倒だから皆を芸名で呼ぶがヴァンの希望はヴァンパイアらしくだったから、とりあえず赤と黒を基調としたスーツを作った。虎之介はペット枠なので虎耳としっぽをつけた服にした。ようじは攫われたきた貴族の子らしいので貴族っぽい少し宝石っぽい石を使った半ズボンの衣装にした。ジュンからはせっかくなら可愛くしてねと言われたので可愛らしいメイド服を作った。俺の衣装は無難に軍服を着崩したようなものにしておいた。 「俺とマリンはお互いに永遠の命を持ちながら両片想いでいこう!! 虎之介はペット枠だからな、可愛がっているうちに愛してしまうという設定で!! ようじも生贄だから今回は似たような設定だな!! ジュンはご主人様を愛しているヤンデレ枠で!!」 「同人誌って難しいけど綺麗な絵が描けておもしろいね、ジュン」 「あ~ん、ようじってマジ天使」 「衣装は大体できたぞ、虎之介撮影の用意はいいか」 「用意バッチリできてるぜ、いやらしく絡むってのがわかんないけど」  こうして俺達は初めて同人誌即売会というのに参加した、コスプレでの参加になるのでヴァンは短い黒髪はそのままに赤いカラコンを入れていた。あとは衣装を着るだけである。サークル名もそのまんまBLアイドルとなっている。ちなみにサークルカットは今回はヴァンが担当した。この五人はなんだかんだで顔はいいので衣装を着てみると意外と絵になった。 「いいか、同人誌即売会は戦争だ。既にPixivやXで同人誌のサンプルはあげてるから買いにきたら皆、愛想良くして丁寧な接客を心がけること。質問はあるか?」  俺達はBLの意味もよくわかってなかったが男同士が絡む漫画だということくらいは理解した。でもそんなに人がくるとは思えなかったので皆は黙ってヴァンの話を聞いていた。するとだ。 「新刊五冊ください」 「このブロマイドください」 「握手してください」 「一緒に写真をとって」 「ようじ君ってマジ天使」  これが予想に反して同人誌は飛ぶように売れた。俺達はとにかく丁寧にかつ己のキャラを崩さないように接客していった。結果として大黒字だった、ヴァンは衣装の布代や印刷代それに撮影代を除いて俺達に儲けを公平に分けてくれた。 「さて、諸君。BLアイドルやる気になったかい?」 「びーえる? とやらは分からないが俺はまたやってもいい」 「俺も俺も、ペット枠でもいいや」 「僕もお金になるならやるよ、ねぇジュン」 「ようじがやるなら僕もやる」 「よしっ、それじゃ今渡した金の中から次回の衣装代、印刷代、撮影代を貰うぞ」 「ああ、今回はヴァンに出させてしまったからな。当然だ」 「次回はもっと稼ごうぜ」 「僕もだすよ、異議ナーシ」 「ああん、ようじったら可愛い。僕もだすよ」  こうして俺達のBLアイドルとしての活動が始まったのである。俺は未だにびーえる?って何だっけ状態だったが、金になるならやることに不満はなかった。とりあえずBLアイドルとして頑張ってみよう。

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