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会計するBLアイドル 02

「皆の者聞け、次の戦いは厳しいものとなるであろう!!」  ヴァンがそう言いだした時、俺達全員がこう思った。中二乙。でもヴァンの言っていることは真剣だった。 「前回はオリジナル限定の同人誌即売会だった、だから素人の俺達でも儲かった。でも次は違う。なんでもありの普通の同人誌即売会に出てもらう!!」 「それって何が違うんだ?」  俺がヴァンに質問した。ヴァンは前回作った吸血鬼の衣装を着たまま、大きくて手を振って俺の疑問に答えた。 「オリジナル限定ということは原作がない同人誌即売会ってことだ。しかし、今度は様々なジャンルが出てくる。つまり俺達が目立たない可能性が高い!!」 「目立たないといけないのか」  今度は虎之介がヴァンに質問した。ヴァンはくわっと目を見開いて吸血鬼の衣装をきたまま片手を上に突き上げた。 「もちろん目立つと言うのは重要だ!! 目立てば相手は興味をそそられ見に来てくれる、でも目立たなかったら売れない新刊を見てぼっーとしてなきゃならない。とにかく目立て宣伝しろ!!」 「僕は背が低いから目立たないよ」  ようじがそう言ってヴァンに意見する。その横では比較的背か低いジュンも同じように頷いていた。そこでヴァンはお茶をぐいっと飲むと説明を続けた。 「当日、ようじは俺が抱えて歩こう。これでそうとうに目立つはずだ。ただマリン、お前は目立つな。設定的にお前は生きることに飽きた元人間になっている。会計を担当して商品とお金を渡す時だけ少し笑え。虎之介とジュンは目立つはずだ。獣人は珍しいし、メイド服は神服だからな。だからお前らも目立て!!」 「商品とお金を渡す時だけ少し笑えばいいのか」 「獣人枠って目立つのか」 「僕はヴァンと一緒にいればいいんだね」 「まっかせて、僕のメイド服で目立ってあげる」  それから俺達はそれぞれの仕事にとりかかった。ようじとジュンは同人誌の作成にヴァンが中身の指示をしていた。基本的に前回の続きを描くらしい。俺は衣装係として前回の指示を守りつつまた少し違った服を作った。苦戦していたのは虎之介だ。それぞれ衣装を着て写真を虎之介がとるのだが、いやらしく絡むという構図が分からずにヴァンから指導をくらっていた。 「今だ、虎之介。シャッターチャンスだ!!」 「お、おう」 「次は虎之介と俺の絡みだな。マリン代わりに撮影してくれ」 「分かった」 「いくぞ、虎之介。もっと顔を近づけろ」 「悪い、なんか笑えて、ははっ」    こうして何とか同人とグッズは完成し、俺達は普通の同人誌即売会にでることになった。同人誌即売会は戦場だ。それは前回で分かっていたが今回は前回より大きくて規模が違った。だから俺達は最初は戸惑った。でも行くしかないので突入していった。 「コスプレし終ったらブースの飾りつけだ」 「血のような赤い生地のカバーとコウモリさん、蜘蛛さんそして手作り蜘蛛の巣」 「ようじがやってるとマジ天使」 「ブースは吸血鬼城みたいだけどな」 「この耳としっぽってどうやって動かしてんの?」  様々な疑問はあれど、ブースは完成したし俺は会計係として控えていた。後の四人は同人誌即売会が始まったら宣伝のためブースの周囲をうろうろしていた。 「これ五冊ください」 「一緒に写真いいですか?」 「新刊五冊ください」 「グッズのこれとこれをください」 「私は新刊とグッズをください」  やはり同人誌即売会は戦場だった。ヴァンや虎之介、ようじにジュンが客を集めてくるものだからまた同人誌が少しずつだが売れていった。前回ほどハイスピードでないので俺一人で対応できた。そして俺は商品とお金を渡す時に少しだけ笑った。するとなぜかお客さんが赤くなるのが不思議だった。 「マリンさんと写真がとりたいです」  こう言われた時は仲間の誰かと会計を交代した。俺はこの時ヴァンに少しだけ笑えと言われていた。だから笑ってるのかなというレベルで笑顔を作って写真に写った。お客さんは赤くなってありがとうとお礼を言ってくれた。  ヴァン達の目立ったコスプレ姿が客を呼んで、前回ほどの大黒字ではないが俺達は黒字で同人誌即売会を終えた。俺は楽しかった、準備期間を考えれば普通にバイトしたほうが稼げるかもしれない。でも仲間と何かを一緒にやるというのが楽しかった。 「よーし、下僕ども綺麗に片づけて帰るぞ」  ヴァンはそう言って俺達とブースの後片付けをした。売れ残った同人誌なんかは箱につめて自力で持って帰った。これでも皆18歳の大学生の男だ。重いと不満を言う者もいなかった。 「それでは今回の給料を渡す、今回と次回分の衣装代、印刷代、参加代を抜いてある。皆の者労働の対価だ、こころして受け取るがいい!!」 「普通にバイトするよか安いけど、皆で何かするのは楽しいな」 「俺、五人アイドルのブロマイドが一番売れたのに驚いた」 「僕もそれ思ってた。五人そろってるのがいいみたい」 「ようじがそう言うなら、またやってもいいかな」  俺達はそれぞれ給料を貰って今回の即売会での感想を話し合った。反省会もした、どのグッズや本が売れたかを統計を出して、続きを描くかどうか判断した。俺はBLアイドルという立場に慣れつつあった。

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