41 / 45

第41話 息を継ぐ間もない*

「ァ、あっ、ん、あ”っ……♡ あ”ー、ぁ、ッ、おっ、アッ……♡♡」 「少し疲れてきたか? 止めてやるつもりはないが」 「おっ、お”ッ……♡ ン、あ”、ぁ……♡ いっ、またいくっ……イク、ん、おっ、ぁ”ー……♡♡」 「抵抗も反応も出来なくなるぐらいイキ続けろ。そうしたら一番深いところに気持ちいいのをブチまけてやる。中出しされるの大好きだもんなァ?」 「あ”っ、ぁ、すきっ、すきすきぃ♡ ナカ、いっぱいっ♡♡ いっぱい、くださ、あッあっ、あ”っ♡♡」 「ふぅん、まだ余裕がありそうだな」 「あ”、ァァ、んぁっ、おっ♡ あ”ぁっ、アッアッ♡♡♡」  ユオシェンの意識が一時的に表に出てきて懇願したようだったが、シイナは彼の自我を敢えてシャッフルするように快楽を与え続ける。 「お”、お”……っ♡ あ”……ひっ、ん、ぁ”ー…………♡」  たっぷり数十分かけてナカへの愛撫を続けた結果、敏感になりすぎたユオシェンの全身はただ呼吸しているだけなのに常に僅かにイキ続けていた。口からは濁った嬌声が溢れ続け、何もされていないのにもう出るものもなくなった性器がぴくぴくと反応する。  シイナはようやく内側への刺激を止めると、トロトロに溶かされた恋人の肢体を改めて見下ろす。 「ユオシェン」  ぴくりと指先が動き、前が見えているのかも分からない視線がうろうろと動いてシイナを探す。 「……『偶人』」  少し躊躇った後、シイナはユオシェンのもう一つの名を呼ぶ。彼の体はガクンと大きく震え、明らかにいつもとは異なった平坦で冷たい眼差しがシイナを射貫く。  間違いない。完全に『偶人』が表に出てきている。  ユオシェンという名を与える前に何度も見たその目を、シイナは真っ直ぐに見据えた。 「お前を愛してやる。ドロドロに溶かして、快楽に溺れさせて、俺無しでは満足できないようにしてやる。だけど、もしそれでも、お前が俺に落ちなかったら――せめて、俺とユオシェンの間を邪魔しないでくれ」  お願いだから、と囁くようにシイナは付け加える。空っぽな『偶人』にこんなことを言っても意味は無いのだろう。だけど不安を拭えない心はどうしても何かに縋りたくて、シイナは祈りのような言葉を口にしてしまう。  それを受けたユオシェンは、何も返事をしなかった。うつろな目でじっとシイナを見つめ、命令の入力を待ち続けるだけの人形。その視線に耐えられず、シイナは顔を逸らす。  その時――ユオシェンの両腕はゆっくりと持ち上がり、シイナを招くように彼に向かって広げられた。 「だーりん、きて……?」  欲と愛しさで浮かされた瞳が薄く細められて、シイナを呼ぶ。シイナは目を軽く見開いた後、引き寄せられるように、彼に覆い被さっていた。  探るように唇を重ね、手を触れあわせ、優しく舌を絡め合う。僅かな刺激でも達してしまうユオシェンの体は、シイナが触れるたびに僅かに震え、助けを求めるかのように絡めた指に力がこもる。  慈しみの籠もった口づけを交わし合い、火照ったユオシェンの体を見下ろし、己のモノを緩みきった入口へとあてがう。 「入れるぞ」 「ぁ、い……ぅんッ♡ あっ、あっ♡ ア、ぁ、かはッ………はっ、ぇ…………?♡♡♡」  待ちに待った内側への大きな刺激に、ユオシェンは目を大きく見開いたまま、快楽で溺れそうになる息を必死に繋ごうとする。  口を開けたまま呼吸の仕方を忘れてしまったかのように硬直するユオシェンの肩をシイナは強く抱きしめ、浮いている背中を優しく撫でてやった。 「大丈夫、怖くないぞ、ゆっくり息を吸って、吐くんだ」 「……ッ、ぁ………っ、ひゅっ……だぁ、りんっ……ハッ………」 「俺はここにいるよ、ハニー」 「だーりんっ……けほ、かはっ、ダーリンっ……♡ はっ、ぁ……♡♡」  過呼吸気味になる体を押さえ込むようにぐっと抱き寄せ、互いの心音を聞きながら息が整うまでじっと待ち続ける。  内側に入っている熱を帯びた物体とナカの壁が一体化してしまったかのような感覚すら覚えるほど長い快感の波をようやく乗り越え、ユオシェンは通常の呼吸を取り戻した。 「はっ、はぁっ…あはっ……♡ シイナぁ……♡」 「……ユオシェン?」 「やばっ……すごすぎて、薬醒めちゃったかも……♡」  明らかにユオシェンとしての理性によって発言した彼に、シイナはちょっと驚いた後、難しい顔で考え込む。 「……それは困ったな。もう手元に薬はないんだが……」  一度行為を中断して薬を取りに行ってもいいが、この蕩けた状態のユオシェンを放置するのは流石に酷だ。それに、自分自身、早く彼の中に欲を吐き出してしまいたい衝動をそろそろ限界を迎えそうになっている。  一応現時点でも言い聞かせ自体はしたが、念には念を入れて中断すべきか。いや、それとも、しかし――  悩み始めてしまったシイナの顔を、ユオシェンは両手を伸ばして捕まえ、その鼻先に軽くキスをした。 「シイナ。薬の洗脳がなくても、俺はシイナの命令を絶対に実行できるよ。だってシイナとこれからもずっと一緒にいたいもん」 「ユオシェン……」 「だから早く続きしよ? それともこーんな状態の恋人を放置するほど、シイナは情けない甲斐性無しのダーリンなの?」  にやりと挑発的な笑みを向けられ、シイナはしばし押し黙った後、同様に悪い笑みを浮かべてユオシェンを覗き込んだ。 「ダーリンを侮るなんて悪いハニーだな?」 「まあね? ダーリンからの愛のある罰は、いくらでも欲しいし?」

ともだちにシェアしよう!