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第1話

ラブレグルス 高級住宅街からそう遠くはない薄暗い路地裏に、柄が悪そうな男達が5,6人たむろしていた。 その男達に近づく小柄な少年。 「おじさん達、何してんの?」 「あぁ?なんだお前」 あからさまにどすの効いた声で男達が少年を睨み付けたが、少年はそんなことにも目もくれず、つかつかと男達の方へ歩み寄って行く。 薄暗くてなかなか少年の顔が見えずらかったが、近くにくると、なるほど。 この少年は可愛い顔をしている。 まだ成長途中らしい身長、薄い体、明るい髪色、そしてこぼれ落ちそうな大きな瞳。 身なりはきれいに整えてあるが、どこからか荒々しい雰囲気が溢れていた。 「暇か?ならさぁ、俺と遊ばない?」 しゅるり、と紺色のリボンが少年の首もとからほどかれ、白い坐骨が露になった。 男達の誰かが、ヒューと口笛を吹いた。 少年が何を言っているのか理解した男達は、まんざらでもないような感じで少年を取り囲み、そのあどけなさが残る顎に手をかけ、値踏みするようにじっとりと視線を這わせる。 「......いくらだ?それともただのストレス発散か?」 くすり、少年は笑った。 「何がおかしい?」 取り囲みの男達が少年の両腕を壁に押さえつけ、括れのある細い腰に腕をまわそうとした瞬間、 「ーー日輪様、発見であります!」 からすの濡れ羽色の艶やかすぎるツインテールの黒髪。 動脈血のような赤い瞳。 雪の白い肌に映えるモダンなメイド服。 見るもの引き付ける、美しい顔。 それらを身にまとった少女がいた。 少女の声が響いたかと思えば、少年の腰に手をまわそうとした男が、鈍い音を立てて宙に浮いた。 「......は?」 よく見ると少女の拳は固く握られており、反り血のようなものがまばらについていた。 まさか、このちっちぇ小娘がしたのか? でもあいつ、かなり飛んでたぜ...? 急な展開に、戸惑う男達に少女は宣言した。 「日輪様に触れたのはどいつでしょう?そいつら全員ーーーボコらせて頂きます!」 10秒もかからず、男達は床に沈んだ。 「緑子~終わりましたの?日輪様は?」 「おーけーであります!怪我的な意味でも貞操的な意味でもおーけーであります!」 「ほんま?良かったなぁ」 「お前ら!はーなーせー!!」 数人の男達が倒れている路地裏で3人の美しいメイド服の少女と1人の少年がいた。 じたばたと暴れまわる少年ー日輪を軽く羽交い締めする、同じく小柄な少女ー緑子はニコニコと答えた。 「ダメでございます、日輪様。紅明様がご心配されてるのであります」 「そうですわ。屋敷にお戻りになられてください」 下から言っているが、全力抵抗している日輪(16才)を力ずくでずるずると屋敷へつれていく様は、暴れん坊の子犬をしつけるドックトレーナーだ。 「だって!紅明が悪いだろ!昨日の夜、あんなこと、あんなにしやがって......!」 日輪は紅明といわく「昨日の夜」のことで喧嘩して、朝から行方不明だったのだ。 それに気付いた紅明は 『もしもし、 警察庁長官 ですか。ちょっと人探しを......え?誰がいなくなったか?妻です。えぇはい。彼が...日輪が見つかるまで、月宮家及びその傘下は仕事を完全放棄しますので』 親が警視総監と飲みともの里緒菜の携帯に慌てふためき、阿鼻叫喚となった警察のお偉い様の写真と、『今すぐ日輪様を見つけ出し、紅明様を落ち着かせろ!!』というメッセージが来て、3人が日輪捜索に駆り出されたのだ。 紅明は自分も行くといって引かなかったが、紅明が荒ぶったまま外出するなど、それこそ完全装備で小学校の運動会に出るようなもので、八つ当たりをして大きな被害(一方的)を作ってくるかわからない。 椅子に縛り付けてでも家にいてもらったのだ。

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