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第2話
ラブレグルス
「おかえりなさい、3人とも。そして......ひ・の・わ...」
「ひぃ!」
屋敷である月宮家に4人が帰ってきたのを迎えたのは、月宮家跡取り息子でありこのばかでかい家の主で、メイド服3人の主人である、月宮紅明だった。
グレーの絹のような髪は少し長めで耳にかけているのがセクシーで、オーダーメイドのスリーピースのスーツはとても似合ってカッコいい。
髪と同じの色素の薄い瞳は紫色。
儚い雰囲気の、美人だ。
「みなっさーん......すみませんが、日輪と二人っきりにしてもらえますかぁ?じっっっくり話したいことがありまして......」
紅明はニコッ、いや。
ニイイィィィコココオオオオオォォォォ!!という満面の笑みで日輪を凝視した。
「ああああああぁぁぁ......お、俺、いやだ...」
「了解しまーしたー!うちらは家の仕事しとるんで、終わったら言って下さい☆」
「叶多!?やだあああああぁぁぁぁ!!」
絶叫する日輪が気に入らなかったのか、紅明はぷぅっとほうを膨らませ、「似合ってません!」という緑子の発言と共に、馬鹿力でほうを突っつかれ、危うく皮膚が破れそうになった。
「日輪ぁ?どうしました?昨日の夜のように、おれと仲良くしましょう......?」
破れかけたほうを押さえながらジリジリと日輪に近づく紅明は、端からみれば滑稽だ。
紅明の潤む紫色の瞳が情欲に濡れている。
あまりの美しさに日輪はぐっと息を飲み、動けなくなった。
ドキドキする。
心臓が、痛い。
息が、でき...なくはないけど、うん、それくらい苦しい。
いや、マジレスしてる場合じゃないけど。
そうこうしているうちに、紅明のしなやかで男らしい腕が日輪に絡み付く。
「ひぃ!」
「......可愛い声。昨日のこと、思い出しちゃいましたか?」
「ち、ちげぇ!」
「どーだか......」
甘い雰囲気だが、恐ろしいことに、メイド服3人はまだその場にいた。
ずっと見ていた。
そして思っていた。
ーー紅明様、手ぇ出しちゃったでありますなぁ
ーーむしろ遅いやん
ーーてか、出ていくタイミング逃しましたわ
「やっ......!きょ、今日はしないぞ!」
「えぇー?どうしてですか?」
ーー昨日したでありますな......
「日輪...日輪。朝、あなたがいなくなっていたのに気付いた私の気持ち、分かります?寂しかったし、怖かったし、なにより......悲しかった...」
「…...え?」
ーーあ、チョロい
「私とするの...嫌でした、か...?」
「いや!そういうことじゃなくて、普通、家族ってああいうこと、するのかって思って......」
「?当然するでしょう?」
紅明の言う家族→夫婦
日輪の言う家族→親子?もしくは兄弟
ーーあ、(察し)
ーーあ、(察し)
ーーあ、(察し)
「えええ!す、するの?」
ーーいや、しませんわよ?どんな地獄?
「しますよ!だから、ね?今日もしましょう?」
ーーそういや、日輪様ってどれだけ経験があるんでしょうかな?
ーーおっさん達に関係持ちかけとったんやぜ?
ーーかなりあるのでは?
「うぅ~一回だけだからな......」
あぁ、これはいよいよ部屋を退出しなくてはいけないのでは。
この二人が1回にどれだけ入れ込むかは知らないが、目の前でおっぽじめられてしまっては困る。
そう思い、3人が部屋を出ようとしたとき、
「紅明、ちょっとしゃがめ......」
「はいはい!」
「チュッ!ほ、ほら!これでいいだろ!?もう今日はしねーからな!!お、俺、昨日のが始めてのキスなんだかんな!?」
「日輪~!!」
熱い抱擁をかわす二人がいた。
「「「キスかぃぃぃぃぃ!!」」」
ちなみにおっさんに持ちかけていたのは(日輪的には)喧嘩だったらしいです。
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