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第3話

ラブレグルス 月宮家。 始まりは平安時代とも言われており、あらゆる業界に精通している日常屈指の財閥の名家。 その筆頭傘下である、大路田家、結崎家、廣長家は一族ごと月宮家につかえている。 月宮家跡取りの月宮紅明の名前を聞いて驚かない奴は、ただの能天気だからね。 「つまり、その月宮家の一員である日輪様には、その名に恥じぬ教養をとかなんとか書いてあるでありますなぁ」 廣長緑子(ひろちょうみどりこ)の朗読が終わり、何も言わず聞いていた月宮紅明(つきみやこうめい)がゆっくりと口を開いた。 「その手紙は、あのクソジジイが?」 クソジジイーー月宮君のトップである月宮記明(つきみやきめい)をそんなふうに呼べるのは、紅明くらいだろう。 しごく嫌そうな顔をしている紅明に緑子の隣にいた結崎叶多(ゆうざきかなた)が「いや、政府の奴等が送ってきたんよ。記明様は良くも悪くも日輪様には興味ないやろ」と答えた。 「そうですね。たとえ日輪が死のうと、顔すら見に来ないでしょう」 まぁ、その方が気楽ですが。 氷のように冷たい美貌が歪んで、微笑みになった。 見慣れていない人が見れば小さく悲鳴をあげることだろう。 「ようは、人並みの教育を受けさせろってことですわね。学校に通わせては?」 「ダメですね。あんなに可愛い日輪が学校とか、逆ハー状態になって強姦されて終わりです。それを許容しろと?」 駄目だこいつ。 「それに日輪は...、今まで学校に通ったことがないでしょう。突然通わせては、失敗するのが目に見えています」 もっともな正論を言われたが、3人組はその可愛らしい顔を極悪人の指名手配写真の表情にかえ、いいはなった。

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