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第4話
ラブレグルス
「実はもう入学書類、提出したであります!」
「は?なに言ってるんですか?」
「制服もオーダーいたしましたわ」
「......へ?」
「あ、もちろん日輪様も行きたがってたからやよ?」
「............」
紅明は家の仕事で忙しい。
本当は日輪のすぐ近くにいて24時間一緒にいたいのだが、それは叶わないのだ。
その結果がこれだ。
また自分がいないところで話が進んでいる。
何かあれば自分にいってほしい、困ったことがあれば頼ってほしい、欲しいものはないか、したいことは?私と一緒にいて、楽しい?
何度も何度も繰り返し聞いてきたはずなのに、日輪がこの家に来てからもう5年がたつのに、自分は日輪の特別にはなれていない。
それがどうしようもなく、悲しかった。
「......名に恥じぬなんて、笑えますね。お偉い様からの依頼でどれだけの数の人間を葬ってきたか」
「やっぱりいつか、日輪様も......」
「......この家の正体を日輪に悟らせないでください。周りからの敵なんて、私がいくらでも処理してあげられますが、日輪本人がこの家を出ていくと言ったら、私は......」
始めは守る対象だった。
ほどなくして、大切な対象になって。
すぐに彼を愛してしまった。
日輪が自分のことを愛していなくとも、別にいい。
私はただ、日輪を幸せにするだけ。
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