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敗北と復讐
「クロウよ、いるか」
「は。ここに」
人間界への総侵攻を目前に控えた魔王は、一人の将を呼び寄せた。
玉座の前へ進み出たのは、小柄な少年だった。
漆黒の礼装には銀糸の刺繍が施され、頭上には高位魔族の証である二本の角が堂々と伸びている。その華奢な体格と幼さの残る可憐な顔立ちは、歴戦の将という肩書とはあまりにも結びつかない。
だが、この少年こそ魔界全土に名を轟かせる将軍――クロウである。
「我が軍の命運は貴様に託した」
「御意。敵の防衛線はすでに解析済みです。予定通りに軍を動かしていただければ、人間界は数日と保ちません」
魔王の低い声に、クロウは静かに膝をつく。
淡々とした口調には、一片の迷いもない。
戦場で剣を振るう武人ではない。常に冷静になって盤上を俯瞰し、敵も味方も駒として動かす軍略家。それがクロウだった。
数百年にわたる権力闘争を知略だけで勝ち抜き、魔界最年少で将軍の座に就いた天才。クロウの立てる作戦に、これまで敗北は存在しなかった。
「貴様が軍を導く限り、我等が敗れることはない」
「ご期待に応えましょう」
一礼すると、クロウは戦場へ向かった。
そして間も無く開戦。
すべては計画通りだった。
補給路を断ち、防衛拠点を包囲し、敵を分断する。人間軍は抵抗する暇もなく各地で崩壊し、魔王軍は着実に版図を広げていく。
勝利は目前だった。
少なくとも、クロウはそう信じていた。
――理不尽な「光」が現れる、その瞬間までは。
クロウの完璧な計算を覆したのは……信じ難いことに、たった一人の男だった。
爆煙に包まれた戦場へ、一筋の光が降り立つ。
白金の髪は陽光を溶かしたように輝き、色素の薄い青い瞳は、凍てついた湖面のように静かだった。
怒りもない。
高揚もない。
敵意すらない。
ただ、世界の歪みを正すためだけに剣を振るう存在。
その名は、エリシオン。
人類が最後に辿り着いた、切り札。希望の光を具現化させ生み出された英雄だった。
「……馬鹿な」
クロウは呆然と立ち尽くしていた。
自ら組み上げた包囲網は、たった一太刀で切り裂かれた。
陽動も。補給線も。魔術障壁も。数万の魔族兵も。積み重ねた戦術という戦術が、何一つ意味を成さない。
「あり得ない……」
戦略とは、相手が理屈に従うからこそ成立する。
だが目の前の男は違った。
圧倒的な力だけで、盤面そのものをひっくり返してしまう。
知略が通じない。
読み合いが成立しない。
そんな存在を、クロウは初めて見た。
……気づけば全ては終わっていた。
魔王は討たれ、魔王軍は壊滅していた。
土煙の中、クロウだけが茫然と膝をついている。
服は裂け、血に濡れ、泥に汚れ、それでもなお彼はエリシオンを睨み続けていた。
エリシオンは静かに告げる。
「魔界将軍クロウ、……魔王は討った。これ以上戦う理由はない。退け」
その声音に勝者の優越感はなかった。
敗者への憐れみすらない。
そこにあるのは、ただ役目を終えたことを告げるだけの無機質な響き。
それが、クロウには何より耐え難かった。
「……ふざけるな」
掠れた声が漏れる。
「俺は何百年も積み上げてきた」
拳を握る。
爪が掌へ食い込む。
「戦術を磨き、術式を磨き、魔界の頂点まで這い上がった!」
声が震える。
こんな屈辱は初めてだった。
「それを、お前は……」
視線の先では、英雄が剣を納めている。
まるで終わった仕事を片付けるように。
「そんな顔で終わらせるな……!」
怒号が戦場へ響いた。
「俺の努力を、俺の敗北を、その程度で済ませるな!」
エリシオンは何も答えない。
ただ、凛と背筋を伸ばして空を見上げていた。
その沈黙が、クロウの胸を焼いた。
「役目は終わった」
そう呟く声をクロウが認識すると、エリシオンの身体からゆっくりと光が溢れ始める。
輪郭が淡く崩れ、無数の粒子となって風へ溶けていく。
「おい、……消えるのか」
クロウは呟いた。
英雄は振り返らない。
静かに目を閉じてその時を待っているようだった。
使命を果たし、光へ還る。
それだけなのだろう。
(終わる……?本当に、何も残さずに?)
その瞬間、クロウは理解した。
自分は敗北したことよりも、この男が何事もなかったように消えてしまうことを許せないのだ、と。
自らが壊した魔界の住人達から恨まれることもなく、自らが救った人々から感謝されることもなく。
消えてしまう。
――そんな結末を認められるはずがない!!
「勝手に終わるな」
魔力が溢れ出す。
限界を超えた術式が、大地を黒く染め上げる。
「終わらせるか……!」
轟音とともに無数の闇の鎖が噴き上がった。
光へ還ろうとしていたエリシオンを絡め取り、強引に地上へ引き戻す。
「……?」
初めて、その青い瞳が揺れた。
「身体が……」
光が止まる。
崩れかけていた輪郭が、再び肉体として固定されていく。
「私の身体が、定着している……?」
「当然だ」
クロウは血を吐きながら笑った。
「お前は俺から逃げられない。」
鎖がさらに締まる。
英雄は静かにクロウを見下ろした。
「何を望む」
「決まってる」
クロウは英雄の胸倉を掴む。
すがりつくように。
「このまま消えるなんて認めない」
息を荒げながら、それでも笑う。
「これは復讐だ!お前は俺の所有物となる!その身に絶望と羞恥を叩き込んでやる」
しばし沈黙が流れる。
やがてエリシオンは、小さく目を閉じた。
「そうか」
その声に怒りはない。
恐怖もない。
ただ静かな理解だけがあった。
「お前が、必要としているのだな」
「……は?」
予想外の返答に、クロウの表情が固まる。
(どういうことだ……?)
しかし術式は止まらない。
黒い鎖は二人を包み込み、空間を歪ませる。
魔界への転移が始まっていた。
光と闇が交錯する中、エリシオンは最後までクロウから目を逸らさなかった。
その青い瞳には、敵意でも憎悪でもなく、小さな興味だけが宿っていた。
◇
魔界の奥深く、クロウの私邸最下層にある地下室。
光の届かぬ冷たい部屋で、エリシオンは四肢を闇の鎖で厳重に拘束され、石造りの台に仰向けに横たえられていた。
クロウは静かに近づき、妖しく発光するピンク色の小瓶を掲げる。
「……ここが、これからお前の世界の全てだ、エリシオン」
英雄の完璧な肉体はすでに鎧を全て剥ぎ取られ、無防備に晒されていた。
「人類の希望だった英雄が、全てを曝け出し地下室で鎖に繋がれている。……なかなか味わい深い光景だろう?」
エリシオンは静かに目を細め、色素の薄い青い瞳でクロウを見上げた。
その眼差しには、相変わらず怒りも屈辱も恐怖もなかった。ただ、淡々とした観察の色だけがある。
「不思議な感覚だ。役目を終え、光に還るはずだった私が……こうして、存在し続けている」
声は落ち着いている。まるで研究対象を観察する学者のようだった。
クロウの眉がピクリと動いた。期待していた絶望の表情がない。それが、逆に彼の支配欲を煽った。
「強がるのも今のうちだ、エリシオン」
クロウは台の横に立ち、瓶の蓋を開けた。
とろりとしたピンク色の液体を、英雄の逞しい胸板にたっぷりと垂らす。
冷たいローションが肌に触れた瞬間——
「っ……!」
エリシオンの巨躯が、わずかに震えた。
神経を直接灼くような、激しい熱が胸から全身へ広がっていく。
色素の薄い青い瞳に、初めて明確な困惑の色が浮かんだ。
「なんだ……この感覚は。体が……熱い……」
「魔界特製の媚薬だ。どうやら英雄様の身体でも、ちゃんと効くらしい」
クロウは薄く笑い、白く細い指を伸ばして英雄の乳首を摘まんだ。
最初は探るように、しかし次第に容赦なく指の腹で捏ね回し、爪で弾く。
「ん……っ、は……!?」
生まれて初めて与えられた刺激に、エリシオンの声が上擦った。
戦場で刃を浴びても微動だにしなかった肉体が、ビクンと跳ねる。
「く……これは……痛みとは……違う……」
眉を寄せ、必死に状況を分析しようとする真面目な表情。
しかし媚薬の効果は容赦なく、乳首を赤く充血させ、甘い痺れを全身に送り込んでいく。
クロウはさらに両方の乳首を同時に攻め、根元から肉ごと抉るように揉みしだいた。
ローションをたっぷり塗り込みながら、指先で執拗に転がす。
「はぁ……っ、んんっ……! あ……これは……っ」
エリシオンの息が乱れ始めた。
困惑が深まる。
自分の身体が、未知の反応を示していることに動揺しているのが見て取れた。
「なんだ……この疼きは。体が……勝手に……」
クロウは満足げに目を細め、今度はローションを英雄の腹筋から下腹部へ、半分ほど兆しを見せる形のいい巨根を伝わせて後孔へと流した。
細い指を窄まりに宛がい、ゆっくりとローションを塗り込め、つぷりと押し入れる。
「ぐ……っ!? そ、そこは……っ」
内壁を掻き回される異物感と、媚薬による焼けるような熱。
エリシオンの腰が鎖の音を立てて震えた。
「ひ……あ……っ! んお……っ」
指がある一点を擦るたび、脳の奥にまで響くような未知の刺激が走る。
真面目な英雄は、眉を寄せ、歯を食いしばりながらその感覚と向き合っていた。
「……これは……快楽、なのか……?」
やがて、痛みや違和感を超えた、甘く溶けるような波が彼を襲い始めた。
「はぁ……っ、は……っ! クロウ……お前の指が……中を……」
声が甘く掠れる。
快楽に目が潤み、眉が下がる。
クロウは指を一本から二本に増やし、ゆっくりと、しかし執拗に内壁をマッサージするように掻き回した。
媚薬を染み込ませ、敏感な箇所を的確に刺激していく。
「あ……っ、んんっ……はぁ、あっ……!」
エリシオンは完全に勃起し、先端から透明な液を滴らせている。
鎖に繋がれたまま、腰が小さく浮くように動いた。
クロウが嘲るように言った。
「どうだ? 気高い英雄様が、魔族の指で後孔を犯されて、こんなに感じているんだぞ。なあ、惨めだろう?」
エリシオンは荒い息を整えながら、潤んだ青い瞳でクロウを見つめた。
困惑と快楽の狭間で、真剣に考え、言葉を選ぶような間があった。
「……惨め、とは……違う。この感覚は……確かに、未知で……制御できない。だが……お前が与えてくれるこの熱は……」
彼は素直に、しかし真面目な声音で続けた。
「理解、できないが……役目を終えた私には、拒絶する理由もない……」
瞳には、穏やかな色が浮かんでいた。
「クロウ……お前が望むおかげで、私はまだ……消滅せず、ここに在れるのかもしれない……っ」
クロウの指が一瞬止まった。
「……おい」
予想外の言葉に、魔族将軍の表情が強張る。
エリシオンは鎖の音を立てながら、わずかに微笑んだ。
それは、感情を知らなかった英雄が初めて見せる、素直で穏やかな表情だった。
「私は……自分の存在意義を、もう一度考えなければならない。光に還るためだけに作られたはずだった私が……お前にこうして触れられ、快楽を与えてもらっている今……この身体は、何のために在るのか……」
熱に浮かされた瞳で、クロウを真っ直ぐに見つめる。
「少なくとも今は……お前が与えてくれるこの感覚が、私の存在を肯定してくれている気がする。
だから……もっと、教えてくれ。クロウ。私の身体が、どう反応するのか……どう変わっていくのか……お前が望むのなら、私は従うだけだ」
支配者であるはずのクロウは、言葉を失う。
「……違う」
クロウは唇を歪め、指をさらに深く、激しく動かしながら呟いた。そんな表情が見たいわけではない。そんな言葉が欲しいわけではない。
「……本当に、厄介な男だな、お前は」
クロウは英雄の素直すぎる反応に、苛立ちを覚えていた。
指を激しく動かしながら、舌打ちをする。
「勘違いするな……俺はお前に何かを教えたいんじゃない!ただ、壊すためにやっているんだ!」
そう言いながら、クロウは左手を掲げ、禁呪を唱えた。
「——来い」
床の闇が蠢き、複数の黒く艶やかな触手がゆっくりと浮かび上がった。
魔界深部に棲む、人間の性欲を増幅させる毒を分泌する触手生物。クロウの召喚に応じて、ねっとりと粘液を滴らせながらエリシオンの肉体へと絡みついていく。
一本の触手が左の乳首に吸い付き、もう一本が右の乳首を強く吸い上げる。
同時に、太い触手が胸板全体を包み込むように揉みしだき始めた。
吸盤のような先端が乳首を激しく吸引し、胸の筋肉を容赦なく揉みほぐす。
「ん……っ!? あ、あぁ……っ!」
エリシオンが大きく背を反らした。
さらに別の触手たちが股間に伸び、逞しい男性器を根元からキツく締め上げ、先端の尿道口に細く尖った先をねじ込みながら侵入を始める。
同時に、柔らかい触手が重い睾丸を優しく、しかし執拗に揉みしだく。
「ひ……ぐっ……!? そこは……っ、んおっ……!」
尿道の内部を直接這い上がる異様な感触に、英雄の青い瞳が見開かれた。
触手はさらに奥へ進み、直接前立腺を的確に刺激し始めた。
クロウは自らの指を後孔から一旦抜き、代わりに太く長い触手を導き深く潜り込ませた。
媚薬でぬるぬるにほぐされた熱い内壁を、触手が容赦なく掻き回し、媚薬成分のある毒を塗り込めながら刺激し始める。
「はぁっ……! あ、あぁっ♡ ……んんっ、おおっ……!」
エリシオンの甘い喘ぎが地下室に響き渡った。
全身の敏感な箇所を同時に攻め立てられ、英雄の理性が激しく揺さぶられる。
「く……はぁ……っ! クロウ……これは……強すぎる……っ!体が……おかしく……なる……っ♡」
エリシオンは素直に快楽を受け入れながらも、眉を寄せ、必死に息を整えようとしていた。
しかし——
「ん……っ? あ……何か……来る……っ!下から……熱いものが……込み上げて……くる……っ!」
何か重大なものが、腹の奥から一気にせり上がってくる感覚。
しかし、尿道を塞ぐ触手と、根元を強く締め上げるもう一本の触手が、それを完全にブロックしていた。
射精という現象をまだ知らない英雄は、ただ苦痛と焦燥に顔を歪めた。
「う……っ! あぁっ……! 出ない……っ!何かが……変、だ……!ああっ、あつい……っ!く、苦しい……っ! クロウ……!」
腰がガクガクと痙攣し、鎖が激しく鳴る。
巨根が触手に締め上げられたままビクビクと脈動し、先端は細い触手にピッタリと塞がれて一滴も零せない。
前立腺を前後から執拗に突かれ続けるたび、射精欲が頂点に達しては虚しく押し戻される。
「はぁっ……! あっ、あぁぁっ♡ ……クロウ、お願いだ……!これ、なにっ?なんだ……っ!苦しい、のに……気持ちいい……っ!ああっ♡ 助けて……くれ……っ!何か……熱いっ、出したい……のに……出せない……っ!」
エリシオンは涙を浮かべ、素直に助けを求めた。
瞳が潤み、誇り高い英雄の顔が、快楽と欲求不満に激しく歪んでいる。
クロウはそんな英雄の姿を、どこか満足げに見下ろした。
「ふふ……まだ射精も知らないのか。いいぞ、そのまま悶えてみろ。お前が俺に『助けてくれ』と懇願する顔……たまらない。もっと見せてくれ、エリシオン」
触手たちの動きが、さらに激しさを増した。
クロウは英雄の悶える姿を、妖しく輝く真紅の瞳でじっくりと観察していた。
美しく隆起した胸筋、引き締まった腹部、そして——触手生物に絡みつかれたままビクビクと脈動し続ける、立派で美しい男性器。
その完璧な形と大きさは、まさに神の最高傑作と呼ぶに相応しい。
それなのに。
(……このまま、一生射精を知らぬままというのも、悪くないな)
クロウの唇の端が、愉悦に歪んだ。
英雄として生み出された高潔で美しい肉体。
人類の希望の象徴であった男が、立派な男根を持ちながら、生涯一度も射精を許されず、ただ後孔でイキ狂うだけの存在に堕ちる。
それは、ただの肉体的な屈辱を超えた、尊厳の完全なる破壊になるだろう。
クロウは静かに決意を固めた。触手生物に指示を出し、動きを少しだけ緩めさせる。しかし決して止めることなく、エリシオンの反応をじっくりと味わうように調整した。
「クロウ……っ! あぁっ……! 苦しい……のに……頭が……おかしく……なる……っ♡」
エリシオンは荒い息を繰り返しながら、潤んだ青い瞳でクロウを見つめていた。
真面目な英雄は、未知の欲求に必死で耐えながらも、健気にもその感覚を言葉にしようとしていた。
「何か……奥から……熱い波が……何度も……込み上げてくる……!でも、んおお……っ! 触手が……塞いで……締め付けて……はぁっ……んんっ♡」
クロウは英雄の耳元に顔を近づけ、低く甘く囁いた。
「いいぞ、エリシオン。その立派なチンポは、生涯ただの装飾品だ。お前はこれから……メスの快楽でイくことを覚えろ。射精は許さない。男のくせに、チンポをビクビクさせながら、メスのようにイキ狂う……それがお前の、新しい存在意義だ」
「……っ?」
知らない単語の連続に、エリシオンが困惑したように息を飲む。
しかしクロウは構わず、触手の動きをさらに精密に、深く、執拗に変えていった。
前立腺を重点的に責め、尿道内の触手で内部から圧迫し、根元の締め付けを微妙に緩めたり強めたりしながら、射精に極めて近い、しかし決して達しない波を繰り返し与えていく。
「あ……っ! あぁぁっ♡ ……クロウ……!何か……来る……っ! また……来て……っ!んおっ……おおっ……!」
エリシオンの腰が激しく跳ね、鎖が激しく鳴り響く。
彼は素直に快楽を受け入れながらも、込み上げては熱く下腹部を疼かせる感覚に、顔を苦痛に歪めていた。
「出したい……のに……出せない……っ!苦しい……っ♡ でも、気持ち、いい……っ、クロウ……お前が……与えてくれるこの感覚は……確かに……私の身体を……変えていく……」
真面目な英雄は、涙を浮かべながらも、懸命に自分の変化を受け止めようとしていた。
クロウは満足げに微笑んだ。
触手たちは忠実に主の意志に従い、エリシオンの快楽を容赦なく、しかし巧妙に深め続けていった。
甘く切ない喘ぎ声を上げ続けるエリシオンの身体は、とうに限界を超えていた。
触手は容赦なく、快楽の波を高めていった。
「く……っ! あ……っ! クロウ……! もう……もう、限界……だ……っ!なにかが来る……っ! すご、くぅ……大きいっ、ものが……ああっ!」
エリシオンの声が悲鳴に変わる。
次の瞬間——
「——あぁぁぁっ!!」
英雄の色素の薄い青い瞳が、大きく見開かれた。
全身が、激しくガクガクと痙攣する。
鎖が激しく鳴り響き、逞しい肉体が弓なりに反り上がって大きく仰け反る。その衝撃で、左手首を拘束する闇の鎖に小さな亀裂が走った。
クロウは気付かない。
エリシオンも、それを見ようともしなかった。
初めて訪れた絶頂。
射精を伴わない、しかし脳髄を真っ白に灼くような、圧倒的な絶頂の波がエリシオンを飲み込んだ。
後孔が触手を締め付け、腹の奥が激しく収縮し、立派な男性器がビクビクと脈打つ。
しかし物理的に孔を塞がれ何も射出されない。
ただ、果てしなく深い快楽だけが、波のように彼を襲い続けた。
「あ……あぁぁっ♡……! い……く……っ!?これが……イく……という……っ!?あぁぁっ!!」
未知の快楽に、素直で真面目な英雄の理性が一瞬で吹き飛んだ。
白金の髪が乱れ、完璧な顔が涙でぐしゃぐしゃに歪む。
クロウは目を輝かせ、心の底から嬉しそうに笑いながら、拘束された英雄の頭に手を伸ばし、愛おしげにゆっくりと撫でた。
「よくできた。素晴らしい」
「はぁ……っ! あ……っ♡……クロウ……っ!」
エリシオンは絶頂の余韻に震えながら、掠れた声でクロウの名を呼んだ。
しかし——触手生物は一切動きを止めなかった。
むしろ、絶頂に達したことでさらに敏感になった身体を狙い、動きを激しく、容赦なく加速させていく。
「ひ……っ!? あぁぁっ!♡待っ……て……! まってくれ!ま、まだ……っ!い、いまっ、イったばかり……だ……っ! あぁぁぁっ♡♡」
エリシオンの身体が再び激しく跳ね上がる。
連続絶頂の波が、次から次へと襲いかかった。
「いや……っ! あっ、あぁっ! 降りて……こられない……っ!頭が……真っ白に……なる……っ! 許して……っ!クロウ……お願い……っ! もう……もう許して……くれ……っ!」
英雄は涙をぼろぼろと零しながら、泣き叫んで赦しを乞うた。
誇り高かった神の兵器は、今や鎖に繋がれ、触手に犯され、連続するドライオーガズムに翻弄される1匹のメスと化していた。
それでもクロウは、優しく、しかし残酷な笑みを浮かべて英雄の頭を撫で続けた。
白金の髪を指で梳き、額に浮かぶ汗を拭い、まるで愛するものを慈しむように。
「可愛い声だな、エリシオン。もっと泣け。もっと啼け。お前が俺に赦しを乞う顔……本当に最高だ」
触手たちは主の意志を忠実に受け取り、英雄の身体をさらに深い快楽の底へと沈めていった。
地下室に響く、甘く切なく、壊れゆく英雄の泣き声は、長い夜の間、決して止むことはなかった。
◇
夜も更けた頃、クロウは念のため扉に封印を重ね、地下室を後にした。地下室には、拘束されたままのエリシオンと触手だけが残る。
「は、あっ、……クロウは、わたし、がっ……んんっ逃げるかもしれないと、思っているのだな……っ」
闇の鎖が、かすかに軋む。
しかしエリシオンは、それ以上腕を動かそうとしなかった。
一晩中、地下室では触手が動き続けていた。
エリシオンは強靭な肉体と精神力をもって生み出された、神の兵器。
体力の限界で気絶することも、精神がすり減って壊れることもない。
ただ、終わりのない快楽の波に晒され続けた。
後孔を抉る触手、前立腺を直接刺激する尿道内の触手、乳首を吸い続ける触手、根元を締め上げる触手——それらが一晩中、休むことなく英雄の身体を犯し続けた。
エリシオンは何度も、何度もドライオーガズムに達した。
声は次第に嗄れ、涙と涎で顔はぐしゃぐしゃになり、白金の髪は汗で肌に張り付いた。
それでも彼は、ただ喘ぎ続けていた。
幸せそうに。
◇
翌朝。
幾重にも張られた封印の結界を解除され、薄暗い地下室の扉が静かに開く。クロウがラフな服装で姿を現した。
「ふん……どんな顔をしているか見物だ」
軽い足取りで拘束台に近づいたクロウは、しかし目の前の光景に言葉を失った。
一晩中絶頂し続けたエリシオンのその表情は——恍惚と、充足と、深い感謝に満ちていた。
「はぁ……っ♡ ……んんっ……あぁ……っ」
甘く掠れた喘ぎ声が、穏やかに響いている。
青い瞳は潤み、焦点が少しぼやけているが、そこに宿るのは狂気でも絶望でもなかった。
ただ、純粋な喜びと感謝だけだった。
クロウが近づき、声をかけると——
「……エリシオン」
「っ……!」
その瞬間、エリシオンの身体がビクンと大きく跳ねた。
「あ……クロウ……っ♡」
クロウの声を聞いただけで、再びドライオーガズムに達する。
全身を震わせ、鎖をガチャガチャと鳴らしながら、エリシオンは甘く啼いた。
そして、クロウの姿をはっきりと捉えた瞬間——
「クロウ……っ! あぁぁっ♡♡」
愛しさが溢れるような表情で、再び絶頂した。
後孔が触手を締め付け、巨根がビクビクと脈打つ。
それでも射精は許されないまま、ただ快楽の波に身を委ねる。
クロウが呆然と見つめる中、エリシオンはゆっくりと目を細め、一度「ふっ」と静かに息を吐いた。すると、
カチリ——
闇の鎖が、解除された。
重い金属音を立てて全ての拘束が外れ、エリシオンは台から優雅に降り立つ。
「?!!」
クロウは咄嗟に背後へ飛び退き、戦闘態勢を取った。
「っ……!」
警戒心が全身を駆け巡る。
あれほど強力な闇の呪縛鎖を、一晩中絶頂し続けた身体で、いとも簡単に解除したという事実に戦慄した。
しかし、エリシオンは触手を振り払うことも、攻撃の構えを取ることもなかった。
今もなお全身を犯し続ける触手をそのままに、全身を絶頂で小刻みに震わせながら——
ゆっくりと、優雅に、クロウの足元へ跪いた。
「クロウ……私の所有者よ」
白金の髪が床に流れ、完璧な裸体が恭しく頭を垂れる。
続いて与えられ続ける絶頂に身体はまだ痙攣しているというのに、その所作は美しく、気高くさえあった。
クロウは息を飲んだ。
(……馬鹿な)
この男は、最初から鎖など必要なかったのだ。
いつでも解除できた。
いつでも抵抗できた。
それなのに——
エリシオンは自らの意思で、最初からクロウに身を捧げ続けていた。
「…………お前は」
クロウの声がわずかに震えた。
エリシオンは跪いたまま、幸せそうに微笑み答えた。
「私は……お前に、所有されることを望んでいる。生まれて初めて……自分の存在意義を、はっきりと感じている。だから、どうか……これからも、私を……使ってくれ」
かつての英雄は、触手に犯され続けながら、自らの意志で、少年の姿をした魔族の足元に跪き続けていた。
クロウはしばらく言葉を失い、ただその光景を凝視していた。
従わせて、尊厳を奪って、壊したはずだった。
なのに、跪くエリシオンの姿を見て——
壊れたのは自分の方ではないかと思った。
胸の奥に、予想だにしなかった感情がしっかりと根を張っている。クロウは、エリシオンから目を逸らして、それに気付かないふりをした。
ただ、指を鳴らして触手生物を還すと、目の前に跪いたままでいるエリシオンの髪をさらりと撫でた。
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