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第1話
下級貴族であるサロディアン男爵家に生まれた嫡男──マリアノワ。
そんか彼は頭が良く、人付き合いも上手かったので、多くの貴族達と仲が良かった。
妹のリリアナがいつか望まぬ婚姻で傷つかなくて済むように、様々なことを勉強しては人の力になれるよう努力していた。
──しかし。
「嫌よ! 嫌! こんな男の妻になるくらいなら、首を吊って死んでやるわ!」
「リリアナ……!」
父と母が持ってきたリリアナへの釣書。
そこには確かに彼女には不釣り合いの男性の写真があった。
彼はコーディライ公爵。
噂に聞くところ、冷酷非道の男らしい。
見目は美しいがしかし、疑わしきは罰する。そのような男がなぜ、リリアナを受け入れようと言うのか。
マリアノワは彼に何か思惑があるのではないかと、疑わずにはいられなかった。
しかし拒否すると権力の弱いサロディアン男爵家はコーディライ公爵家により破滅を迎えてしまうかもしれない。
なんとか、そうならず穏便にお断りできないか、マリアノワは周りに相談しようとしたが、残念なことにコーディライ公爵の名前が出るとその時点で皆首を横に振った。
いよいよ、明日顔合わせを迎える。
リリアナは泣いて泣いて、すでに瞼もボテボテに腫れていた。美しい顔が可哀想に。化粧でもそれは隠せない。
「……リリアナ」
「っ、お、お兄様が、女だったら良かったのに……!」
「……すまない」
どうしようもできない現実に対して何を言われても、マリアノワには何もできない。けれど彼は謝って、泣き続けるリリアナの背中を撫でた。
力になれなくて済まない。助けてやれなくてすまない。
気持ちは溢れるばかりだった。
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