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第2話

 そうして迎えた顔合わせの日。  馬車に乗りコーディライ公爵家に向かう。  リリアナは顔をあげることもできず、手をギュッと握って黙りこくっていた。  そんな隣に座るマリアノワは、相変わらず優しく声をかけながらその手に自らの手を重ねる。 「きっと、噂はただの噂で、本当はお優しいお方だよ」 「っ、うそよ」 「リリアナは美しいから、その美しさに公爵様もお優しくしてくださるはずだ」  リリアナの機嫌は最悪だった。綺麗に施した化粧が取れるんじゃないかと不安になるほどには、大きな目から涙を流しそうだった。  そうして着いた公爵家は、サロディアン男爵家との何倍もの大きさがあった。  豪華な門が開かれ、その中で停まった馬車。  先に入った両親の乗っている馬車から父が出て、母をエスコートする。  そして次にマリアノワが降りて、リリアナをエスコートとした。  馬車の前で静かに、それでいて無表情で立っていた従者と騎士が、深く頭を下げる。 「サロディアン男爵様、お待ちしておりました。ようこそ、コーディライ家へ。主は中でお待ちです」  手に重なるリリアナの手に力が入る。振り返り柔らかく微笑むと、悲しげに微笑んだ彼女は、しかし優雅に歩き出した。  案内された部屋はあまりにも広く豪華絢爛な場所であった。  先に置かれてある食器たち。作法に則って席に座り、主の到着を待つ。 「お兄様、失敗をしてしまったら、どうしましょう」  不安に揺れるリリアナの声。しかしマリアノワは柔らかく微笑み頷いた。 「全て、私の責任に。食器を落としてしまっても、私が落としたことにすればいい」 「でも……」 「心配しなくていい。リリアナは公爵様がどのようなお人で、何を望んでいらっしゃるのかを、よく観察なさい」 「……はい」  しばらくすれば開かれた扉。そこから現れたのは、感情の色を失ったような銀色の髪をした美しい男性。  顔の右半分、右目を中心に、頬まで掛かる高価そうな黒の仮面は噂で聞く姿そのものだ。

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