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第3話

「待たせてすまない。コーディライ公爵家が主、エディセレン・コーディライだ」  恐縮さに勢いよく立ち上がる両親と、しかし落ち着き払って穏やかに立ち上がるマリアノワとリリアナ。ゆっくりと礼をすると「座ってくれ」との言葉をいただき、再び椅子に腰かける。 「堅苦しい話はあとにして、食事をしながら談笑しようではないか」  公爵が右手を挙げると、食事が運ばれてきた。視界までも楽しませてくれる美しい料理は、もちろん味も美味しい。 「あっ、」  隣で声がしてサッと横を見るとリリアナがちょうどフォークを落としてしまっていた。  マリアノワはそれを見て瞬時に代わりのフォークを差し出し、手を挙げて「失礼致しました」と代わりのものをいただく。 「……ありがとう、お兄様」 「大丈夫だ」  小さな声で泣きそうになりながら言う妹に、マリアノワはただ微笑むだけである。  彼女の粗相は全てこちらが受け入れればいいのだ。何一つ問題ない。  しかしこの時マリアノワもリリアナも、誰も気がついていなかった。  マリアノワが妹の犠牲となっていたことを、エディセレン公爵が見ていたことなんて。  そうして顔合わせという名の食事を終え、両親が緊張で汗を噴き出しながら公爵と話をしている。 「う、うちの娘と、婚姻いただけるなどとは、なんと、なんという光栄なこと──!」  父がそう言って、リリアナが恥ずかしげに微笑む。そんな姿を、公爵は黙って見ている。 「──リリアナ嬢」 「っ、は、はい!」  しかしある時、低いテノールの声が名前を呼んだ。 「貴女は私の代わりに『死ね』と言われ、その通りにする覚悟があるか」 「──え?」

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