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第4話

 まさかの質問に、リリアナの笑顔が固まる。  マリアノワは瞬時に頭を回転させると、「少し、よろしいですか」と声を出した。 「リリアナの兄、マリアノワです。……仮に、公爵様の代わりにリリアナにそのような命が下された時には、同じ血が流れているこの私が代わりとなりましょう」 「お兄様……っ!?」 「──ほう」 「リリアナは女性です。……恐らく、そのような命が下る時は国王陛下に対し謀反を起こそうとした疑いがあった時でしょう。しかしながら、女性一人で、謀反などと、考えられない。ましてや公爵家であるエディセレン公爵閣下が王家に対して謀反も考えられますまい。それであれば、理由は私一人で充分かと」  公爵の表情に、少し笑みが浮かんだ。  マリアノワはそれに内心ホッとしたが顔には出さず、じっと彼を見つめている。 「しかし貴殿は他の貴族とも親しいと聞いているぞ? その者たちが仲間だと思われ、一斉に処刑されるのでは? それに関してはどうする」  たしかに、交流のある貴族たちは多くいる。しかし、彼ら全員とリリアナを天秤にかけても、間違いなくマリアノワはリリアナを守りたい。 「関係ありません。私はリリアナが生きていてくれればそれで構わない」  ハッキリと迷いの無い言葉に、公爵はついぞ「はっはっ!」と声を上げて笑った。  そうして立ち上がると、何故かマリアノワの方に足を進めてくる。  そして、──マリアノワの前で片膝を突くと、リリアナではなく、そのまま彼の手を取った。 「俺が望むのはそれだ。その忠誠心と頭の良さ。そして何かの為なら他を犠牲にしても構わぬという心。──気に入った」 「ぇ……」 「サロディアン男爵」 「はっ!」  黙って聞いていた父親が立ち上がり、公爵とマリアノワを見た。  母とリリアナは目を見開き、固まっている。 「嬢ではなく、こちらの勇敢な嫡男殿を戴こう」 「はっ!?」 「この者と婚姻する。性別なんぞ関係ないからな」  聡明なはずのマリアノワはしかし頭の回転が間に合わない。ぼんやりと取られた手を見つめていると、顔を上げさせられ、そこで──触れるだけのキスをされた。 「さあ、我が妃殿。部屋に案内しよう」 「……ぇ、え?」 「妹を犠牲にするか? いいや、そなたにはできまい」  そうして手を引かれ、家族と挨拶することもままならず、これから暮らす部屋に案内された。

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