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第3話 一夜明けて

 今日も風に揺れてざわめく木々と、さえずる鳥の声だけが響く静かなオスマンサス公爵家では、この家の当主、ラインハルト・フォン・オスマンサスがそわそわと、部屋の前を行ったり来たりしていた。  そこには今、『世界樹の客人』である、蓮見咲玖が滞在している。  実はこの部屋はラインハルトの私室と隣り合っており、本来、当主の伴侶の私室に当たる。ラインハルトが未婚であるため、長い間空室になったままだったその部屋は、中にあるドアでラインハルトの私室とつながっており、昨晩、そのドアの――伴侶のための部屋であることはもちろん伏せて――カギを咲玖に渡して自分の部屋からはこのドアは開かないこと、『何かあればいつでもこちらの部屋に来なさい』と伝えた。  残念ながらそのドアが開くことはなかったが、ラインハルトは、眠れているだろうか、具合を悪くしていないだろうか、もしかして、いなくなってはいないだろうか、などとそのドアの向こうが気になってほとんど眠ることなく夜を明かした。  朝、起きても問題のない時間になったことを見計らい、部屋の中にあるドアではなく、廊下側のドアから様子を確かめようと来ては見たものの、なんと声を掛けようか、何しに来たんだなどと言われたらどうしようか、開けてくれるだろうか、などとまたいろいろと考えてしまい、結局はノックする勇気を出せないまま今に至る。  そうこうしているうちに、咲玖の朝食をカートに乗せたオットーがやってきた。 「旦那様……、何をなさっているのですか」  オットーは明らかに挙動が不審なラインハルトに少し困ったような顔を向けるが、『仕方のないお方ですね』と言わんばかりに小さくため息をついてから、にっこりと微笑んだ。 「サク様のお食事をお持ち致しましたので、旦那様にお任せしてもよろしいでしょうか?」 「あ、あぁわかった」 「ありがとうございます。それにしても、旦那様の“考えすぎてしまうところ”は、おいくつになられましても、なかなか治るものではありませんね」  幼い頃からラインハルトを見てきたオットーには、ラインハルトがどうしてここにいたかなど簡単に察することができたのだろう。少しだけからかうように片眉を上げ、ラインハルトに一礼してオットーはその場を去っていった。  オットーにはきっといつまでも頭が上がらないだろうな、とラインハルトは思いながら、ふぅっと一息吐いて部屋のドアを叩いた。  トントントンッ――  ノックと共に高鳴る心臓の音がうるさいほどラインハルトの頭の中にこだましている。逸る気持ちを抑えながらそわそわと返事を待つが、少したっても返事がない。  ――まさか、いなくなって……?!  焦ってドアノブに手を掛けようとしたとき、それは小さな音を立てて動いた。  少しだけ開いたその隙間から、美しい純黒の髪と、不安げにこちらを見上げる黒い瞳が見えたことで、ラインハルトはホッと胸を撫で下ろした。 「おはよう、サク。昨晩は眠れただろうか? 朝食を持ってきたから、部屋に入ってもいいかい?」  なるべく優しく、明るい声で話しかける。すると、咲玖は小さく頷いてドアを開けた。  ラインハルトが食事の乗ったカートを押しながら部屋に入ると、咲玖は逃げるようにして部屋の隅に寄り、不安げな顔で立ったままラインハルトから距離を取っている。まだここへ来たばかりなのだから、警戒心が解けずにいるのは仕方がない。そう思いながら、ラインハルトは部屋にあったテーブルに手際よく食事を並べていく。準備を終え、まだ部屋の隅にいる咲玖に視線を向けると、ビクッと肩を震わせてすぐに目線を逸らされてしまった。その様子を見て、自分でも顔が緩んでいくのがわかり咄嗟に口元を手で覆った。  昨日からずっと警戒心をむき出しにして怯える咲玖を見て、ラインハルトがまだ幼い頃に中庭にいた、なかなか人に懐かない黒猫のことを思い出した。  もう空へと帰ってしまったその黒猫が、初めて近づいたときに警戒して毛を逆立てていた姿も、手ずから餌を食べてくれたときも、撫でた時に見せた甘えるようなしぐさも、その全てがたまらなくかわいくて、愛おしいと思ったことを覚えている。  人を、しかもおそらく世人に近い年の青年を猫に似ているなどと感じるのはおかしいと思うし、こんなに怯えられては、拒絶されているのかもしれないと本来なら落ち込むところだろう。それなのに、どうしてもその挙動の全てがかわいく見えて仕方がないのだ。  これでは余計に警戒されてしまう。ラインハルトは手で覆った口元を何とか立て直し、にっこりと笑顔を咲玖に向けた。 「サク、大丈夫だからこっちにおいで。冷めてしまう前に食べなさい」  ラインハルトの言葉に、咲玖はおずおずとテーブルへと近づき、椅子に座った。昨日よりも多少は警戒心を解いてくれているかと思うと、やはり顔が緩んでしまう。 「今日はサツマイモのポタージュスープとサラダと、なるべく柔らかいパンを用意したと聞いている。あと、これはリンゴかな? 食べられないものはないかい?」  咲玖は用意された一人分の食事を見てこくりと頷いてから、少し見上げるようにラインハルトへ視線を送った。 「……あんたは食べないの?」  その質問に、ラインハルトは小さくドキッと自分の心臓が鳴る音が頭に響いた。それを悟られないように、笑顔を取り繕って咲玖の正面の椅子に腰を下ろす。 「私のことは気にしなくていいよ。それより、昨日言っていたように私のことを『ライ』とは呼んでくれないのかな?」  昨日言った、『そう呼んでくれたら嬉しい』という言葉は本心だった。  両親は愛をもって育ててはくれたが、根底にある高位貴族としての厳格さからか、ラインハルトを愛称で呼ぶようなことはなかったし、この国唯一の公爵家の跡継ぎであったラインハルトを愛称で呼ぶほど気の置けない友人もいなかった。  『世界樹の客人』である咲玖はそれだけでも特別な存在なのに、特別な呼び名で呼ばれるような間柄になれたら、どれほど喜ばしいことか。  そんなことを考えながら反応を待っていると、咲玖はラインハルトの言葉にボンッと爆発したように顔を赤く染めた。 「……き、気が向いたら……」 「そうか、楽しみにしているよ」  恥じらうように下を向き、小さくちぎったパンを口に運ぶ咲玖があまりにかわいくて、ラインハルトは思わず身を悶えさせそうになったが、そこはなんとかグッと耐えた。  用意された朝食をうつむきがちに黙々と口に運ぶ咲玖を見ながら、ふと昨日のことが頭に過る。それは、咲玖に息を吹き込んだときのこと。  あの時咲玖から感じたものは、まぎれもなく『甘味』だった。  その時のことを思い出しながらぼーっと咲玖の口元を見つめていると、いつの間にか口内に溜まりだした唾液をゴクリと飲み込んでいた。それを無意識にやったことに気が付き、ゾッとした冷気がまた背を這う。  咲玖を前にすると失ったはずの“欲望”がなぜか湧き上がってくる。それは、決して“人”に抱いてはいけないものなのに。自分でも理解できないその衝動をきつく制して、なるべく明るい声と表情を咲玖に向けた。 「サク、昨日は聞きそびれてしまったが、歳はいくつだい?」 「二十一……」  正直十代だと思っていたラインハルトはつい驚いた顔をしてしまったが、目線を下に向けたままである咲玖はそれには気づいていない。密かにほっと息を付く。  それでも、やはりベラーブル王国の二十一歳の青年と比べると、咲玖は幾分か幼く見えた。  華奢な体格と、黒目がちで大きな瞳のせいでもあるが、何よりもその挙動が余計に幼さを際立たせているのだ。  突然知らない場所に来たのだから警戒心を抱くのは当たり前だとは思うが、咲玖はここが自分の住んでいた世界とは違う場所だという状況よりも、ラインハルトら人に対して強い怯えを見せた。  その様子はまるで大人から虐げられる子供のようで、もしかしたらもといた国でもずっと警戒が解けないような環境だったのではないだろうか。  おそらくそれは繊細な事柄で、いきなり深く踏み込んでは余計に警戒されてしまうだろう。咲玖のことを知るためには少しずつ、慎重に、話を進める必要がある。 「二十一だと、サクのいた国ではもう働いている年齢かな? 何か仕事はしていたのかい?」 「俺のいた国では二十一だとまだ学生の人も多いけど、俺は十七の時に学校辞めたから、ずっといろんなバイト……簡単な仕事して生活してた」 「……家族は?」 「母さんは十七の時に死んだ。父親は……いない」  咲玖はサラダを口に運びながら淡々と話していた。だが、二十を過ぎても学生である人が多い国の中で、十代のうちに親をなくした咲玖がどれほどの苦労をしたのか、この少しの会話からも察するに余りある。 「そうか、サクはがんばっていたんだな」  自然と口から出た言葉に咲玖はもともと大きな目をより丸めてこちらを見たかと思うと、すぐにパッと下を向いてしまった。  何か気分を害することを言ってしまったかとラインハルトは少し焦ったが、声をかける前に咲玖は視線だけチラリとラインハルトへ向けた。 「あんたは何歳……?」  その潤んだ視線にラインハルトは心臓に雷が落ちたのではないかと思うほどの衝撃を受け、思わず顔を覆った。  伺うような表情もかわいいが、何よりラインハルトに興味を向けてくれたことが嬉しい。だが、その様子に咲玖が不安げな顔をしたことに気が付き、すぐに平静を取り戻し、何事もなかったようにまたにっこりと微笑んだ。  さっきからもう全然とりつくろえていないような気がするが、不審感を抱かせることだけは絶対に避けなければならない。 「私は二十八になる。私の方が少し年上だね」  ベラーブル王国の成人年齢は十八歳。貴族であればその年まで親の庇護のもとで礼儀作法はもちろん、一般的な学問や馬術に加え、領地の経営学など、貴族として生きていくために必要な多岐にわたる教養を身に着ける。  高位貴族ともなると、その内容は膨大で難解なものばかりであったが、ラインハルトはそれを成人年よりも前に習得したため、成人になると同時に父親から爵位を継承し、両親はさっさと隠居してしまった。  それ以来、オスマンサス公爵家の当主として、なすべきことを必死に果たしてきた。そのせいもあり、本来であればとっくに伴侶を迎えていなければならない年齢だが、そんな余裕も、正直その気もなかったこともあり、この年まで未婚のままだった。 「もう少し、上かと思ってた」  そう、ぽつりとつぶやいた咲玖の言葉は、良い意味なのか、悪い意味なのか。もぞもぞと不安な気持ちが疼く。だが、それを口に出しては余裕がないと思われかねない。  そんな見栄をはってしまうほど、ラインハルトの頭の中は咲玖のことで埋まっていた。 「ごちそうさまでした」  ラインハルトが悶えているうちに、サクは用意された食事を全て平らげていた。  決して多い量ではなかったが、ちゃんと食欲もあるようだし、顔色も昨日に比べれば格段にいい。 「足りなくはないかい?」 「大丈夫。ありがとう」 ぺこりと頭を下げる咲玖に緩みっぱなしの頬をさらに下げながら、ラインハルトは部屋のベルを鳴らした。 「もし体調に問題がなければ屋敷を案内したいんだが、どうだろう?」  昨夜は眠れないついでに今日の分の仕事も終わらせておいたし、屋敷の使用人たちにも『世界樹の客人』が訪れたことを伝えるようオットーに言っておいた。  咲玖の警戒心を解くためにはまずラインハルト自身のことや、この家のことを知ってもらい、信じるに値するものだと思ってもらわなければならない。そう考えたラインハルトはまず、手近なところからと、使用人たちへの顔見せと、屋敷の案内から始めることにした。  だが、そもそも部屋から出たくないと言われたらどうしようか、とか、逆に出て行きたいと言われたらどうしようか、などと内心焦りを隠せないラインハルトは自分でも引くほど手には汗をかいていた。  若くして公爵としてこの国の要人たちと渡り合ってきたが、正直、どんな会議よりも緊張している。なんとか表面上だけは平静を装いながら咲玖の返事を待つ。  咲玖は少しだけ戸惑ったような顔をしたが、すぐに「大丈夫」と小さく頷いた。  その様子も胸を締め付けるほどかわいらしい。さっきから慣れない感情に身悶えるばかりで、こんなものが自分にもあったのかと驚いてしまうほどだ。  ラインハルトが心の中で自分の感情と戦っていると、部屋のドアを叩く音がし、オットーと二人のメイドが衣装ケースをもって入ってきた。 「サク様、おはようございます。お着替えをお持ち致しました」 「私が以前着ていたものだ。好きなものを選ぶといい」  すでに仕立て屋は呼んではあるが、到着は昼過ぎになる。それまで夜着のままでいさせるわけにもいかないからと、ラインハルトが過去に着ていた服のうち咲玖の体格に合いそうなものを用意するようにオットーに言っておいた。  どれも咲玖を着飾るにはいささか不足はあるが、きっと咲玖はどのような服でも似合うだろう。そう思っていたのだが、オットーたちがずらりと並べ始めた服を見て、なぜか咲玖は顔を引きつらせている。  どうしたのだろうか。少しだけ考えてから、はっとした。  用意した服はもちろん仕立てのよいものだし、丁寧に保管されていたから痛みも汚れもない。  だからと言って、人の着ていたものなど抵抗があって当たり前ではないか。  なぜ、こんな簡単なことに考えが至らなかったのかと、ラインハルトは自分の浅はかさを恥じた。 「すまない、世界樹の客人にお古など、配慮が足らなかった。すぐに新しい服を……」 「ち、ちがう! たくさんあってびっくりしただけだから! 新しい服とかいらないから!」  ラインハルトが脳内で大反省会を開こうとした矢先、咲玖は焦るように大きな声を上げた。これまでぽつぽつとしか話さなかった咲玖が突然大きな声を出したことにラインハルトは思わず目を見開く。側にいたオットーも珍しく驚いた様子だ。  咲玖はそんな二人を置き去りにして、焦ったように服を選び始めた。  しばらく悩んだ末に服を選び終えた咲玖は、「お手伝いいたします」というメイドたちの申し出を、その細い首がちぎれてしまうのではないのかと思うほど強く横に首を振って固辞すると、「一人で大丈夫だから」と部屋からラインハルト達に出るように言った。  まぁ確かに着替えるところを見ているわけにもいかない。  大人しく部屋から出てドアの前で待っていると、少ししてから咲玖がおずおずと顔を出した。 「あの…これで合ってるかな……」  どうやら、一人で大丈夫だとは言ったものの、着慣れた形の服ではなかったため、若干不安になったようだ。  念のためと先にメイドたちが部屋に入り、また少し待つと、開いたドアの中にいた咲玖は、首の詰まった白いシャツとひざ下までの長さの濃紺のパンツ姿。  その姿に『なんてかわいらしいのか』と咄嗟に思ってしまったラインハルトは、何やら自分の抱く気持ちがすごく邪なもののような気がして、咲玖の目を真っ直ぐと見ることができない。ごまかすように咳払いをして、また笑顔を取り繕った。  さっきから、こんなことばかりしている自分が情けなくて仕方がない。 「よく似合ってるよ、サク。これから着替えや食事の用意など、きみの身の回りの世話はこの二人がする。そこのベルを鳴らせばすぐにくるから、どんな些細な用事でも遠慮なく呼びなさい」  先ほど咲玖の服を準備したり、整えたりしていた二人のメイドを並ばせると、咲玖はまた戸惑った顔をしている。きっと、『世話なんてしてもらわなくても大丈夫だ』などと言おうとしているのだろう。だが、そういうわけにはいかない。咲玖がそれを口に出す前に、ラインハルトはメイドたちに挨拶をするよう促した。 「サク様、わたくしはアルマ、こちらはエリーゼと申します。サク様のお世話をさせていただきますこと、とても光栄に存じます。これからどうぞ、よろしくお願いいたします」  恭しく礼をする二人に明らかに困った様子のサクを見て見ぬふりをしながら、ラインハルトはさらに言葉を重ねる。 「サク、ここはきみがいた世界とはきっと勝手が違うだろう。きみには不便なく、安心して暮らしてほしい。だから、せめて手助けをさせてくれないか」    咲玖がいた世界がどれほどの文明を持つところかはわからないが、少なくとも身に着けていた服の作りから考えても、ここより発展したところであった可能性が高い。  そうでなくとも、この世界だって国が変わるだけでも随分と生活が変わる。それによって郷愁にかられ、心身を壊すなどということがあってはいけない。  ここにいたいと思ってもらえるよう、できることは何でもする。  ラインハルトの言葉に咲玖はまだ困った様子ではあったが、さすがに観念したらしくこくりと頷いた。その様子に何とも言えない満足感が広がり、自然と目じりが下がる。 「では話はこのくらいにして、早速屋敷を回ろう」  オスマンサス家は当時の王弟であったラインハルトの祖父が公爵位を叙爵されたことによって起こした家門で、その歴史は深いとは言えないが、領地として与えられたバーデルンの発展と共に一気に力をつけ、今ではベラーブル王国の三大貴族の一画と評される。  その住まいであるオスマンサス公爵邸は、贅沢を嫌い、質実剛健を絵に書いたような人物であった祖父が建てた邸宅らしく、華美さはないが、細かいところまでこだわりと配慮が行き届いたラインハルトにとって自慢の場所だ。  本邸は三階建で、一階は応接室や晩餐室、二階は執務室や資料室がある。家人の私室がある三階からは、この邸宅自体が小高い丘の上にあることもあり、バーデルンの美しい街並みが一望できる。  咲玖を連れ立って三階から順に案内を進め、二階から一階へとつながる階段の踊り場へと降りてきたところでラインハルトは足を止める。その階下に広がる玄関ホールにはオスマンサス公爵家に仕える使用人たちが勢揃いしていた。  高位貴族である公爵家の使用人としてはそう多くない人数ではあるが、それでも全員揃うとそれなりの人数にはなる。畏まった表情の大勢の人間から見上げられる状況に、咲玖は明らかに戸惑った表情でラインハルトと階下に集まる使用人たちを何度も交互に見ている。その様子に目を細めながらも、ラインハルトが階下へと目配せをすると、それを合図にして使用人たちは一斉に膝をついて頭を下げた。  それを見て青い顔で後ずさっていく咲玖の手を取り、踊り場の中央まで連れて行く。そして咲玖の前に跪き、握った指先にそっとキスをした。 「オスマンサス公爵家は『世界樹の客人』、ハスミ サクを歓迎する。突然のことに戸惑いも多いだろう。だが、安心してほしい。ここにいる全ての者たちがきみの味方であり、助けとなる。もちろん私もだ。私の持てる全てをもってサク、きみを守ると誓う」  誓いの言葉と共にまっすぐと見上げた黒い瞳は、先ほどまで浮かんでいた戸惑いとは違うもので揺れたように見えた。

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