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 一番手に選ばれたのは、タコさんウインナーだった。 「……これは、なんだ」 「タコさんウインナーだ!」 「タコ? 足が……四本だな」 「……仕様だ!」 「……」  オルキウスはレンには分からない不思議な表情をした後、タコさんウインナーをおそるおそる口に運ぶ。足から食べられたタコさんウインナーは、頭だけの無惨な姿になった。 「……うまいか?」  覗き込むと、タコさんウインナーを咀嚼しながら、オルキウスは静かに頷いた。 「……うまい」 「しゃあ!」  レンは思わずガッツポーズをしながら、達成感に笑みを浮かべた。ぎらりとギザ歯が光る。  その眩しい笑顔を見て、オルキウスはふっとまなじりを下げた。  指先を見てみると、レンの指にはいくつも絆創膏が不器用に巻かれている。 「うまいな……」  しみじみと同じ言葉をつぶやくオルキウスに、レンはにやにやが止まらない。 「だろ?!」  あー、頑張って良かった! そう思いながら、レンは思わず出そうになる大きいあくびを噛み殺した。  オルキウスが丁寧に食べてくれるので、レンは嬉しくなってつい詳しく味付けや飾り付けの解説をしてしまう。それでも、うんうんと最後まで聞いてくれるオルキウスに、レンはますます嬉しくなった。 「────あー、食ったな」  大量に用意していた弁当をすっかり食べ終えて、レンは大きく伸びをして腹に手を当てた。 「ごちそうさま」  静かにレンに礼を言ったオルキウスが弁当箱をしまう。レンはふわふわとした満腹感にぼんやりとしながら、うとうとと光る珊瑚礁の森を見つめた。 「……ピクニック、どうよ」  きらきらとした天の川のような魚群たち。絶景に囲まれながら、隣には学園の王子様がいる。 「……悪くないな」  ふっとオルキウスが低く笑う気配がした。レンは目を細めた。 「……レン」  ふと、レンを呼ぶ声が温度を含んだ気がして、レンはゆっくりとオルキウスを見た。  オルキウスの優しい笑みに、胸が小さく波打つ。 「ありがとう」  耳に心地よい、低い声。  レンはぷい、とそっぽを向いた。 「べ、別に……」  そっぽを向いたレンの耳たぶにはいくつものピアスが開いている。その耳が真っ赤になっていることに、レンは気が付かなかった。そして、その耳を見て、オルキウスがことさらに甘い笑みを浮かべたことにも。  ────本当は、こんなことをしている場合じゃない。  もうすぐ『主人公』が来る。  そうなれば、この穏やかな時間はきっと終わる。    ────そもそも、なぜこんなことになったのだったか。    レンはふと、ここに至るまでのことを振り返った。  

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