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 人気投票一位だった。  最強。  めちゃくちゃ格好良い。  あの、レン。 「う……うおおおぉーーーー!!」  思わず叫んでいた。ビリビリと空気が震えるような咆哮が自分の喉から出たことにびっくりした。  慌てて口を閉じて周囲を見回す。学園の目立たない校舎裏だったから、他の人影はない。  ほっとして、それから、全速力で駆け出した。 「きゃっ!?」 「うわ、レンだ!」  全速力で走っていると、すれ違った生徒たちから悲鳴が上がる。  山田優太の時は五十メートル走は十秒台だった。トップレベルのビリだった。でも今は違う。びゅんびゅんと景色が後ろに流れていく。ついでに走るだけで他の生徒たちがさっと道を開け、恐怖の目で見上げてくる。  校舎に突撃し、男子トイレに駆け込む。そして、まっさきに鏡を見た。  銀髪の髪。男らしく整ったワイルドな顔。赤い吊り目。目の下から顎にかけての大きな傷。いー、と口を開けば、チャームポイントのギザ歯が光る。  鏡を見て目を見開いていると、入ってきた男子生徒がぎょっとしてバタバタと踵を返した。「今入んないほうがいい」と他の生徒たちに言っている。  しかし、そんな声も耳に入らず、レンは鏡を凝視した。  王立学園の制服をカスタマイズした、ギザ歯がモチーフの立て襟。ロングコートのような黒いブレザーには切れ込みが入っていて、サメ感が演出されている。大きく開いたシャツからは逞しい筋肉がのぞいていて、シルバーアクセとも相まって危ない色気がある。 「ガチでレンじゃん……。顔()……。足長……声良……」  茫然と呟いて、わなわなと震えながら顔をペタペタと触る。  (これが〝異世界転生〟ってやつか……!?)  憧れのシチュエーションに興奮するが、ふと、思い出した。  レンは人気ナンバーワンだが、悪役令息だ。裏ルートに入れば攻略対象として、ヒロインと共に王国を救う。  しかし、それはあくまで裏ルートに入った時のみだ。  それ以外。正規ルートでは、レンは────。  そこまで思い出して、レンは青ざめた。  ────正規ルートでは、漏れなくレンは力を奪われて断罪される。 「おぅふ……」  視界が揺れた。倒れるかと思ったが、杞憂だった。そういえば、HP(体力)がべらぼうに高かった。  レンは静かに決意した。赤い目が鏡の中で光る。    ────『主人公』のアクアを攻略して、断罪を回避しよう。    

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