1 / 15

【第三章直前!これまでのあらすじ】〜これを読めば第三章からでも楽しめる〜

これまでのあらすじ  フロンティア不動産の新入社員、成瀬健一は、仕事で失敗を重ねながらも前向きに努力する青年だった。  営業部主任の高瀬臣は、獣人でありながら優秀な営業マンとして社内でも一目置かれる存在。  成瀬はクレーム対応をきっかけに高瀬の指導を受けることになり、その有能さと不器用な優しさに憧れを抱いていく。  しかし高瀬には、満月の夜になると半獣化してしまう秘密があった。  ある夜、忘れ物を取りに会社へ戻った成瀬は、苦しむ高瀬の姿を目撃する。  恐怖よりも心配が勝った成瀬は、震えながらも高瀬の背を撫でて落ち着かせた。  その手は高瀬にとって特別なものとなり、以来、成瀬は高瀬の満月の苦しみに寄り添う存在になっていく。  仕事では、高瀬から「相手を知る営業の話し方」を教わった成瀬が初契約を取ったりと、少しずつ成長をしていく。  一方で、獣人の店舗探しを担当したことで、成瀬は獣人が社会の中で差別や偏見にさらされている現実を知った。  高瀬や獣人の支店長神谷、バー『半月』のルルたちが抱えてきたものを知るうちに、成瀬は獣人の問題を他人事ではなく、自分の大切な人たちの問題として受け止めるようになっていく。  都会のマンションでは隣人もわからないと思っていた成瀬だが、ある日、玄関を開けたら隣の部屋に行く高瀬と鉢合わせた。  高瀬と隣人同士だとわかった成瀬は、仕事帰りや休日を共に過ごすようになる。  そして、急速に距離が縮まっていく。  高瀬は成瀬に名前で呼ばれることを望み、成瀬もまた高瀬をただの上司ではなく、特別な人として意識し始める。  成瀬に恋心を抱いていた地元の友人の雛子は、成瀬が高瀬の話ばかりする所から「高瀬のことが好きなんでしょ」と半ば投げやりに成瀬に言葉をぶつけ、成瀬は困惑する。  ルルにも背中を押され、成瀬は自分の気持ちが恋であることに気付く。  高瀬もまた、成瀬を失いたくないという想いを抑えきれなくなり、熱を出した成瀬の介抱のつもりがキスをしてしまう。  そんな時に高瀬の双子の兄、レオニアが来店し、貸店舗の物件案内に行くことになった。  レオニアは、神谷から成瀬の話を聞いていて、二人の仲を取り持とうとするが持病の発作を起こしてしまう。  結果的に成瀬を高瀬の実家まで連れてくる事になり、母のコレットとも対面させることができて、成瀬の恋心は育っていった。  しかし、二人の恋は簡単には進まない。  高瀬は半獣化を抑える抑制剤にアレルギーがあり、使用できないのだと知った成瀬。  高瀬は新しい抑制剤に願いを込めて服用を続けた。  それはうまく作用したかに見えたが、高瀬は満月の日に半獣化して暴走してしまう。  神谷が半獣化をして、獣人センターの職員たちと一緒に高瀬を拘束しようとする場面を見て、成瀬は「高瀬は怖がっているだけだ」と高瀬を抱きしめ、撫でることで落ち着かせた。  その日の満月の夜、落ち着きを取り戻した高瀬と、想いを確かめ合い、体を重ねようとする成瀬。  しかし、過去の恋愛で負った傷が突然フラッシュバックを起こして、高瀬との関係が壊れることを恐れてしまう。  高瀬もまた、成瀬に怖がられたのだと思い込み、二人は一度大きくすれ違った。  先輩の三浦や、レオニアが成瀬に寄り添うが、成瀬は離れた方がお互いのためだと自分を納得させる。  高瀬もまた、成瀬への想いを押し留めながら出張に向かおうとしていた。  ルルはそんな二人を見ていられず、高瀬の家に殴り込みに行く勢いで成瀬としっかりと向き合えと言葉をぶつけた。  高瀬が出張に行った後、バー半月で寂しさを紛らわすように成瀬は強い酒を飲んでいた。  そこに雛子が現れ、また、成瀬に説教をする。  「好きならちゃんと伝えなければいけない」と言われ、成瀬は自分の気持ちから逃げないことを選ぶ。  出張先で再会した二人は、互いの誤解を解き、「信じる」ことを約束して、正式に恋人となった。  しかし、思いが通じ合って、いざ愛し合おうとしたタイミングで、仕事の電話に邪魔をされる。  高瀬は子供のように拗ねるが、成瀬は笑って高瀬を送り出し、幸せな気持ちを噛み締めた。  その後、台風の影響で出張先から帰ることができなくなり、満月の夜まで足止めを喰らってしまった。  そんな時、成瀬が野犬に襲われ、高瀬は半獣化して成瀬を救った。  しかし満月の本能に引きずられ、勢いで成瀬を傷付けてしまう。  骨折しても高瀬を責めない成瀬と、二度と傷付けたくないと怯える高瀬。  二人は獣人と人間の夫婦である熊田夫妻から、怖くなった時に交わす二人だけの愛言葉を教わり、「mignon」という合言葉を決める。  その言葉を支えに、二人は初めて穏やかに満月の夜を乗り越えた。  宅建試験に合格した成瀬は、営業としても一人前に近づいていく。  恋人としての二人の生活は甘く穏やかなものになっていたが、クリスマスが近づくにつれて、高瀬の周囲には不穏な空気が漂い始める。  クリスマスは高瀬の父・朔夜の命日であり、高瀬は毎年実家で過ごしていた。  しかし高瀬自身は、毎年その日の記憶が曖昧だった。  成瀬は高瀬の事情を知らされず、恋人になって初めてのクリスマスだというのに一緒に過ごせないことに不満を募らせていた。  そこに、ルルの恋人龍樹が現れ、「会いたいなら行けばいい」と助言する。 出会った瞬間にルルとの濃厚なキスを見せつけられて、衝撃的だった龍樹だが、言っていることは正論だと、成瀬は高瀬の実家へと向かう。  高瀬の実家に乗り込んだ成瀬だが、レオニアとコレットに何かはぐらかされ、丸め込まれてしまう。  不審に思いながらも、そこで成瀬が見たのは、庭に現れた一頭の虎だった。  コレットが麻酔銃を構える中、成瀬は何も知らないまま虎を庇う。  虎は成瀬を襲うどころか、甘えるように身を寄せ、成瀬はその金色の瞳を見て、ありえないことだが、虎が高瀬なのだと悟る。  高瀬は十四歳のクリスマスに初めて完全獣化し、それ以来、毎年誰も傷つけないよう檻に隔離されていた。  さらに、父・朔夜を傷つけた過去から、父の死は自分のせいだと思い込み続けていた。  しかし朔夜の死因は、レオニアと同じ病気だった。  高瀬は長年、自分を許せないまま満月とクリスマスを恐れ、自分の心を守る為にクリスマスの記憶を封じていたのだ。  そんな高瀬を支えようと獣人研究をしている龍樹は、高瀬の過去の矛盾に踏み込んでいく。  成瀬は完全獣化した高瀬を恐れることなく、檻の中へ入り、そばにいたいと願う。  レオニアとコレットが動揺する中、龍樹だけは成瀬を檻に入れてみればいいと後押しをする。  檻に入ってきた成瀬に、高瀬は虎の姿で甘えだした。  レオニアもコレットも虎の姿の高瀬が人を受け入れることに驚き、同時に成瀬の存在に希望を持った。  だが翌朝になれば人に戻るはずの高瀬は、目が覚めても虎のままだった。  龍樹が過去の文献を持ち出してきて、永久に戻らないかもしれないという危険が浮上する。  成瀬は聞いた瞬間は絶望したが、どんな姿でも一緒にいたいと受け入れようとする。  しかし、レオニアはこの状況を受け入れた成瀬に甘える高瀬に対し憤りを感じる。  高瀬をもとに戻したいと、自ら檻の中へ入り高瀬に酷な言葉を言うと前置きをして「このままでは成瀬を檻の中に縛ることになる」と高瀬に訴えた。  高瀬に感情をぶつけたレオニアはそこで発作を起こしてしまうが、高瀬は虎の姿のまま助けようとする。  だが、虎の姿では何もできず意識を失ったレオニアを見てパニックになり、また不意に成瀬を吹き飛ばしてしまう。  騒然となった檻の中で、高瀬は龍樹に向かって自分を抑制する薬をくれとでも言うように檻に体をぶつけていく。  コレットは、そんな高瀬に涙ながらに麻酔銃を向けるが、成瀬は痛む体のまま高瀬を抱きしめ落ち着かせた。  場が落ちついて、成瀬は虎の姿のままでも良いと高瀬を受け入れていたが、やはり高瀬の声が聞きたいと涙を流す。  大切な人たちを守りたいという想い、父の言葉、成瀬の涙の願いが届き、高瀬はついに人の姿へ戻った。  自分の心と向き合って、高瀬は完全獣化中の記憶を取り戻し、長年の罪悪感から解放された。  クリスマスを乗り越えた二人は、年末年始に成瀬の実家へ帰省する。  龍樹は、なぜ成瀬だけが獣人を落ち着かせられるのかを調べるためルルと共に同行した。  成瀬の故郷では、祖父・仙吉が高瀬を獣人だと見抜きながらも自然に受け入れる。  さらに神社の伝承から、成瀬の力が「獣を鎮める子供」の神話と関係している可能性が浮かび上がる。  神社裏の祠で、高瀬は何者かに「成瀬を守れ」と命じられるような感覚に襲われ、満月でもないのに半獣化してしまう。  地元の人々は獣人である高瀬を拒絶せず、むしろ成瀬を守る存在として受け止めた。  高瀬はそんな人々の暖かさに触れ、成瀬の育った環境に感謝をした。  成瀬家の家系図の調査により、仙吉にもかつて動物や獣人を落ち着かせる力があったこと、そして成瀬の先祖にも獣人がいたらしいことが判明する。  力は血筋によって受け継がれるが、永遠ではない。いつか成瀬の力も消えるかもしれないという不安も生まれた。  さらに、仙吉の親友だった良吉という獣人の存在が明らかになる。  良吉は足が不自由な獣人で、満月の夜には仙吉がそばにいて彼を抑えていたのだという。  彼は彫刻家となり、神社裏の石像を残し、その作品の収益を獣人研究へ寄付する遺言を残していた。  龍樹たちの研究は、良吉の想いによって支えられていたのだ。  成瀬の家族や友人たちは、高瀬との関係を少しずつ受け入れていく。  仙吉もまた、最初は不機嫌そうにしながらも、高瀬へ稲わらの腕輪を渡し、成瀬を託す意思を示した。  高瀬は、たとえ成瀬の力がいつか消えても離れないと約束する。  東京へ戻った二人は、高瀬家や営業所で日常に戻りながらも、良吉から受け継がれた想いと、龍樹の研究の進展を胸に、新たな未来へ歩き出していく。 ※※※  ここ先、第三章の始まりです。  第三章は、新キャラの理央が現れ、二人の仲をかき乱します。  でも、可愛いです。  高瀬は第一章のごとくポンコツになりますが、強くなろうと頑張ります。  小さなことですれ違い、それでもお互いを想って、一緒に居たいから悩む高瀬と成瀬を見守ってください。  そして、私のお気に入りのレオニアが大活躍します。  レオニアの恋人は本編に出さないつもりでしたが、好きが爆発して出してしまいました!  今回、あまりギャグキャラになれない龍樹の代わりに、話が重くなりそうなタイミングでレオニアと恋人が良い空気を作ってくれていると思います。  あと、やっぱり理央、可愛いです!!!  第三章の更新は、もう暫くお待ちください。

ともだちにシェアしよう!