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第1話 ご主人様と俺
新連載です!(*´ω`*)
エロエロ甘々な物語を目指しております~~とにかく攻めが溺愛執着しておりますので、お楽しみいただければ幸いです!
Rな回は主人公が18歳になってからになります(5話から)
よろしくお願いいたします~~<(_ _)>
~・~・~・~・~・~
「フレデリック、こちらへ」
甘い声で俺を呼ぶ。
目の前にいる人はクロード・ノンマルディー。
侯爵家のご当主で俺のご主人様だ。
光り輝く金色の長い髪を後ろで束ね、長いまつ毛に赤い宝石のような瞳が弧を描き、穏やかな微笑みをこちらに向けている。
「ご主人様、俺は使用人です。 使用人が主人の膝に座るなどあってはなりません」
いつものようにご主人様の執務室にお茶を届けに行くと、必ず膝に乗りなさいと声をかけられるので頑なに拒む。
もう9歳なのにいまだに子供扱いされる事に、少し不満を持ちつつ。
「フレデリック。 子供を可愛がって何が悪いんだい? 君を邸に連れて来たのは保護したかったのであって、使用人にする為ではないよ」
「ご主人様にとってはそうかもしれませんが、俺は何とかご恩をお返ししたいんです!」
やっぱり子供扱い……彼にとっては9歳という年齢は保護し、愛情を与えなければならない子供なのだろう。
このやり取りも、侯爵邸に来てから毎日繰り返される会話だ。
というのも俺は孤児で貧民街に住み着いていた、いわゆるゴロツキだった。
幼くて働き口もなく、仲間と金目の物や食べ物を盗んだりしてなんとかその日暮らしの生活をしながら生きていた。
あれは俺が8歳ぐらいの時――――いつものように盗みをはたらき、その日は少しヘマをして必死に逃げていた。
振り返りながら走っていた俺は、突如目の前に現れたご主人様にぶつかってしまう。
——ドンッ!!——
『いてっ! おい、気を付けろ!!』
逃走を邪魔されたと思った俺は、思い切り叫んだ。
でもすぐに身なりから相手が高貴な身分の人間だと分かり、血の気が引いていく。
どうしよう……絶対お貴族様だ…………凄い言葉遣いしちゃったし、ぶつかっちゃったし、捕まって殺されるかも……!
俺は俯き、何を言われるかをジッと待った。
でもご主人様は俺の顔を覗き込み、両手で頬を包み込み、なぜか瞳を輝かせている。
『にゃ、にゃにを(何を)……っ!』
『君、名前は?』
『はにゃせ(離せ)……!』
一向に両手を離してくれず、上手くしゃべることが出来ない。
しかも見た事もないほど美しい顔が目の前にあるので、照れるし追手が来そうで焦るし、どうしていいか分からない俺にご主人様はとんでもない事を言い始めた。
『君、追われてるの?』
『おまえに関係にゃいらろ……っ!』
『もし良かったら私の邸に来ない?』
『?!!』
最初は何を言っているのかと思った。
貴族の娯楽の為に俺を奴隷にしようとしているのかと……実際に公にではないけど貴族に買われている者もいるのは確かだった。
でも酷く扱われないなら奴隷として買われるのもありかもしれない。
どうせその日暮らしの生活で、いつ人生が終わるかも分からないのだ。
それに……なぜかご主人様を見た瞬間、嬉しいような懐かしいような、不思議な気持ちが沸き起こった。
一度も会った事がない人間なのに、どうして――――
よく分からない気持ちの答えが知りたくて、なんとなく頷いた瞬間にすぐに侯爵邸に連れて来られたのだった。
正直貴族だとは思っていたけれど、ここまでの大きな邸を持つ大貴族だとは思っていなかったので、邸にきたばかりの俺は何もかもに驚き戸惑う日々だった。
それよりも驚いたのが、ご主人様が俺を奴隷としてではなく孤児として保護してくれた事だ。
衣食住全てを保障してくれて、この邸で好きに過ごしていいと言ってくれた。
まだ幼かったとは言え、素行も悪い俺に対していつも優しく接してくれて、美味しい食べ物や温かい布団で寝かせてくれて……ご主人様には感謝しかない。
一生を懸けてこのご恩を返していきたいのだ。
そこで思いついたのが使用人として恩を返していく、という事。
未だにどうしてご主人様が俺を拾ってくれたのかは分からないけど。
でもご主人様のそばにいられるのなら、そんな事はどうでも良かった。
そんなこんなで今にいたるけれど——。
「まったく。 フレデリックは意地っ張りなんだから」
「当然の事を言ったまでです」
ご主人様の為に淹れたお茶を執務机の上に置き、その場を去ろうとした瞬間、腕を掴まれ、引き寄せられる。
「わっ!」
「一緒に飲もう」
そのまま抱きかかえられながらソファへと移動し、結局はいつものように膝に乗せられてしまうのだった。
もうこの邸に来てから1年が経ち、俺は9歳になったとは言え、軽々と持ち上げられてしまい何だか恥ずかしい気持ちでいっぱいにだった。
ただでさえご主人様は見目美しく、緩く束ねている金色の髪もつやつやでいつもいい匂いがしていて、そばにいると緊張してしまうのだ。
「ご主人様! 俺はもう幼子では……!」
「クロード」
「え?」
「クロードって呼んでごらん」
ご主人様の名前……ずっと呼びたかったけれど、俺ごときが口にしていいわけがないのは分かってる。
ご主人様に視線を移すと、赤い宝石のような瞳は名前を読んでほしそうにキラキラしていた。
「あ、えっと……」
「ほら、その可愛い口で私の名前を呼んで」
「……っクロード、様……」
「よく出来ました」
クロード様はご満悦といった様子で、俺の真っ黒な黒髪を撫でまわすので髪がぐちゃぐちゃだ。
「君の黒髪、とても綺麗だ。 空の色の瞳も美しくて好きだなぁ」
「…………っ、あ、りがとうございます」
クロード様はいつでも直球の言葉を言ってくるので、時々どう返していいか分からなくなる。
散々撫でて満足したのか、俺が淹れたお茶を一気に飲み干したのだった。
どうしてこんなに可愛がってくれるのだろう。
兄という存在がいたのなら、こんな感じなのだろうか。
大好きなクロード様が喜ぶ事を沢山してあげたい。
「今夜は俺がお背中を流しますね」
「フレデリックが? それは楽しみだな」
そうだ、これからの長い人生、この美しい公爵様に一生懸命ご奉仕して生きよう。
俺の人生をすくい上げてくれたこの人の為に……一生かかっても返せないくらいの恩があるのだから――。
~・~・~・~・~
その夜、宣言した通りクロード様が入浴する時、お世話係として一緒にお風呂場に入った。
背中を流す為に腰に布を巻き、クロード様の美しい肌を傷つけないように流してあげた。
ご主人様は侯爵だけど王太子殿下の側近でもあって、剣を持って戦う時もあるらしい。
美しい肌に薄っすらと傷跡がある。
なぜかその傷を舐めたい衝動に駆られる……変だな……猫でもあるまいし。
そんな考えを振り払おうとしていると、クロード様が何かに気付いたように突然振り返り、俺の太ももを掴んだ。
「クロード様?!」
「フレデリック……この痣…………」
薄い腰布を巻いていただけだったので、太ももの内側にある痣が見えてしまっていたようだ。
これは物心付いた時にはこの部分にあったから、きっと生まれた時からの痣なのだと思う。
少し恥ずかしい部分に近いのであまり人に見られる事はなく、他人に見られたのはクロード様が初めてだった。
あらためて指摘されると照れてしまうな。
それにしてもクロード様はよほどこの痣が気になるらしく、ジッと見つめたまま動かない。
どうしたんだろう?
不思議に思っていると、ご主人様はゆっくりと顔を上げ、誰かの名前を呟いた。
「フレディ?」
「え?」
その名前を呼ばれた瞬間、頭の中に沢山の記憶が駆け巡り、フッと意識が遠のいていく。
「フレデリック!!」
クロード様の声が遠くなっていく――――
沢山の記憶の中で、自分が生まれる前の記憶が流れ込んできて全身を駆け巡っていく。
なんで俺は忘れていたのだろう、自分を。
こんなに大好きだったご主人様を…………そうだ、俺は……フレデリックとして生まれる前の人生は、クロード様の飼い猫だったのだ。
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