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第18話 子離れは当分無理らしい

 翌日、散々抱かれて体が筋肉痛のような症状があるけれど、そろそろ仕事をしなくてはと思い、クロード様の腕から抜け出して仕事に復帰した。  ご主人様は最後まで離れたがらなかったけれど。  「行かなくていいよ~~行かないで――」  「ダメです! 昨日無断欠勤していますし、今日こそお仕事に行かないと!」  「リックが真面目過ぎてつらい」  「そこは喜ぶべきところですっ!」  「分かったよ……今晩も君をいただくから」  「………………」  さり気なく凄い事を言われたんだよね。  結局そのまま放置して出てきてしまったけど。  大丈夫、だよね?  若干不安に思いながらも邸の清掃に勤しんでいると、後ろからレイラ様に声をかけられる。  「リック、おはよう」  「あ、おはようございます! 昨日はすみませんっ! 無断でお休みしてしまって……」  「いいのよ。 あの(阿呆)侯爵様が無理を言ったのでしょう?」  「さっき何か不穏な言葉が聞こえたような……」  「おほほっ、気のせいよ。 体が辛くなったら休んでいいから」  「はい! ありがとうございます!」  それだけ伝えてレイラ様は去って行った。  やっぱりバレてるよね……恥ずかしい。  これじゃ皆の顔が見られないよ。ご主人様のバカッッ!!  そんなこんなで体がなまっているように感じ、お昼前にアーヴァン様に剣術の指南をしてもらおうとお願いした。  「はっ! やぁ!!」  カンッ! ギィンッ!!  剣がぶつかり合う音が裏庭に響く。  最初は木刀で鍛錬を受けていたけれど、成人してからは剣を使わせてもらえるように。  木刀の時と勝手が違うので慣れるまで大変だったけれど、今では普通に使いこなせるようになった。  「随分腕をあげましたね……!」  「まだまだぁ!!」  俺はどんどんアーヴァン様の懐に入り込み、斬撃を繰り出していく。  「くッ!!」  徐々にアーヴァン様を圧倒してきているかもしれない……!  このまま畳みかけたい、そう思っていたところで、足元がお留守になっていたのを見抜かれ、足払いされてしまう。  「うあっ!」  「リック!!!!」  倒れそうになる刹那、ご主人様が目の前に覆いかぶさった。  「旦那様……どういうおつもりでしょうか?!」  「ふぅ。 リックの危機だからな」  体勢を崩した俺を庇いながら、ご主人様が自身の小剣でアーヴァン様の剣を受け止めている。    「せっかくアーヴァン様に指南してもらっていたのに!」  「君の危機に駆け付けるのは当たり前だ」  「そういう問題じゃありません!!」  俺の抗議はまるで効いている感じはなく、ただニコニコ笑っているクロード様。  後ろからアーヴァン様の呆れた声が聞こえてくる。  「旦那様……甘やかし過ぎです」  いつまで経っても子供扱いだ……俺だって自分で何とか出来る。  そう思い、体勢を立て直してアーヴァン様にもう一度手合わせをお願いした。  「アーヴァン様、もう一度お願いいたします!」  「分かりました」  「クロード様は見ていてください。 絶対に動かないで下さいね!!」  「……は、はい」  ご主人様に釘をさし、約一時間手合わせを繰り返した。  そしてついに――。  「隙あり!!!」  最後の最後でアーヴァン様の隙をつく事ができ、首筋にピタリと剣をつける。    「強くなりましたね」  「やった!!」  「お見事~~」  俺は初めてアーヴァン様に勝つ事が出来て、喜びを爆発させた。  自分の成長を感じる……これで俺も一人前の大人に近づいただろうか。  いつまでも子供の時のまま、ご主人様や皆に守られてばかりではダメだから、少しでも役に立つ大人になりたい。  もう成人したんだし。  「アーヴァン様、ありがとうございます!」  「いえ。 あなたの成長を感じる事が出来て私も嬉しく思いますよ」  アーヴァン様はほんの少し微笑み、俺の頭を撫でてくださった。  優しいなぁ……アーヴァン様が微笑む事なんて滅多にないので、本当に認められたような気がして喜びが溢れてしまう。  そんなやり取りをしていると、クロード様がこちらに近付いてきたのだった。  「リックも成長したよね~~でも嬉しいような寂しような」  「旦那様は子離れするべきです」  「無理!! こんなに可愛いのに!」  「わっ!」  突然ご主人様に抱きかかえられてしまう。  アーヴァン様もいる前で……!  それに沢山動いて汗いっぱい出てるから臭いが!  「お、下ろしてください!!」  「そろそろリックにお茶を淹れてもらう時間だし、疲れただろう? このまま執務室へ行こう」    アーヴァン様の方を見ると、苦笑いしながら見送られてしまう。  そんな……この状態で邸を歩いていても、皆笑ってるか苦笑いしているかであまり違和感を感じていないようだ。  どうして?  そんなに俺はお子様枠なのか、という事実に打ちのめされる。  「そうだ、執務室の前にリックの部屋に寄ろう。 汗をかいたので着替えたいでしょ」  「はい、それはありがたいです」  「決まり」  そうしてそのまま俺の部屋へと連れて行ってくれた。  俺の部屋は使用人の方達が寝泊まりする棟とは少し離れていて、割とクロード様の寝室の近くの一室だった。  というのも邸に連れて来られた時が8歳だったので、何かあった時にクロード様が駆け付けやすいように、という配慮からだ。  自分の部屋へと入り、クローゼットの中から着替えを取り出していく。  「…………あの、クロード様」  「なんだい?」  「そんなに見られていると、着替えにくいのですが」  「どうして?」  「だって……」  昨日ずっとご主人様に抱かれていたので、体中に痕が付いているから。  それを見られながら着替えるのが何とも言えず、恥ずかしい。  「後ろを向いてていただけると嬉しいのですけど……!」  「分かった」  そう言って背中を向けたご主人様。  随分アッサリと承諾したような……自分でお願いしたくせに承諾してくれたら疑うなんて良くないよね。  とにかく着替えてしまおう。  汗でベタベタする上着やズボンを脱いでしまうと、新たなシャツに手をかけた。    「やっぱり沢山痕がついてるね」  「?! み、見ないでって、言いました!」  「そのつもりだったんだけど、こんなに可愛い子がすぐそばにいるのに、無理だよ――」  「な……なっ……」  言葉が出てこない俺に徐々に近づいてくるクロード様。  下着以外の服を脱いでしまったので、両腕しか隠すものがない。  ど、どうしよう。  焦る俺をご主人様が徐々に壁際に追い詰めていく……そんなに見つめないでほしい。  クロード様に見られると、恥ずかしいやら嬉しいやらで、心臓が痛いほどうるさくなる。  体に穴が空くのではというくらい視線が突き刺さり、全身が熱い。    「クロード様……」  「リック、隠さないで」  「………………っ」  「ココ、勃ってる」  「!!」  ご主人様が指摘したのは、俺の下半身だった。  自分でも分かっていたけれど、実際に指摘されると恥ずかしくて堪らない……!  でもご主人様に視線を移すと、恍惚とした表情で嬉しそうに舌なめずりしていたのだった。

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