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第1話
いま、まさに。
ずっと、醒めることのない悪夢の中にいる。
これは僕のイマジネーションが生み出した幻影だ。
疲弊しきった精神が、痛みと絶望に耐え切れず、こんな悪夢を見せているだけなんだ。
こんな現実が、存在するはずがない。
あり得ない。
あってはならない。
掌を濡らす、生温かな液体。
ぬめりを帯びたそれは腕を伝い、赤い雫となって床へ落ちていく。
手の中で握り締めたサイバーナイフは、まるで恒星の欠片を掴んでいるように灼けつく熱を放っていた。
視界は霞み、ノイズの走るホログラムのように揺らいでいる。
僕の目は、本当に真実を映しているのだろうか。
……分からない。
どうか……神様。
助けてよ。
誰でもいい。
この僕を、助けてくれ。
その願いに応えられるはずだった、たった一人の人が。
額に汗を滲ませ、
血の気を失った唇を、かすかに震わせる。
「……良かった」
その一言だけを残して。
どうして……。
何が、起きた。
こんなことは……あってはならない。
こんな結末になるはずじゃなかった。
僕の腕の中で倒れているのは、
命よりも大切な友人だった。
僕が刺したかった相手は――
こいつじゃない。
あいつだけだった。
ただ一人、
あいつだけを、この手で殺すはずだったのに。
突然の惨劇に、椅子から半ば立ち上がったまま、呆然と僕を見つめている男がいる。
違う。
お前じゃない。
ここに倒れているべきなのは、お前だった。
腕の中で崩れ落ちていく友の身体。
その重みが、少しずつ僕自身へとのしかかってくる。
感覚を失った頭で、それだけを理解しながら、僕は静かに瞼を閉じた。
……これは、夢だ。
目を覚ませば、すべて忘れてしまえる悪夢。
そうであってくれ。
お願いだから――
誰か。
僕を、起こしてくれ。
この悪夢から。
醒ましてくれ。
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