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第24話
「妻とは……離婚するから」
疲れ果てて横になったベッドで、柴田が呟いた。
「何か、それって不倫してる男が女によく言うセリフってヤツじゃない?」
柴田の宣言に、光輝は少しムッとした様子だ。
「まぁ、事実お前とこんな関係になったら、不倫になるだろうけどな」
光輝に鼻をつままれた柴田は、ふと妻の顔を思い浮かべた。
自分の地位や名誉のために結婚した相手。
そろそろ、開放するべきか。
「ってか、もし離婚したら今の地位危ないんじゃないの?本当に、後悔しないの?」
「あぁ……そうだな……。妻や義父には申し訳ないが……お前がいるのに婚姻関係は続けられないからなぁ……」
過去の自分なら、患者を相手に抱いていたとしても、バレることなく婚姻関係を続けてきたのだが。
微睡(まどろ)みつつ優しく微笑み、柴田は光輝の髪を撫でた。
「龍二さん……」
「俺も、けじめつけなきゃいけないな……」
そう考えながら、柴田は光輝の腕を枕にして眠りに落ちていった。
光輝と思いが通じたとはいえ、柴田には悩み事があった。
普段から忙しくしている光輝と頻繁に会えないということもそうだが、大っぴらにデートなんてできないからだ。
『せっかく付き合い始めたのにな……』
そう思うが、相手が知名度のある俳優なら仕方がないことだろう。
それが分かっているから、何とかして関係を続けられるようにしたいと思った。
そこで、会う時はなるべく光輝の自宅にしようということになった。
芸能人たちも、この方法を使っているケースがあるらしい。
この方法を提案したのは光輝だったが、柴田は少し『つまらないな……』と感じた。
だが、自分が妻帯者であることもあり、仕方がないので受け入れた。
ただ光輝も忙しい身であるため、なかなか頻繁に会うことができない。
お互いの気持ちが通じ合った日の後からは、光輝に土日や夜の撮影も入ったことで暫く会えなかった。
一週間後の火曜日に、ちょうど医院の休院日と光輝の休みが重なり会うことができた。
「会いたかった……龍二さん……」
午後になり光輝の部屋を訪れると、リビングで柴田をきつく抱きしめてきた。
「俺も……」
想いが繋がったばかりなのに、一週間も会えなかったのだから当然だ。
柴田も光輝の背中に腕を回す。
「この一週間……凄く長かった……」
光輝が切実そうな涙声で言うから、より愛しさが増していく。
「そうだな……お前の顔を見られないだけで、こんなに辛いとは思わなかったな」
柴田がそう言うと、光輝は肩を掴んで身を離し、顔を凝視してきた。
「え、それ本当?」
「当たり前だろう。お、俺だってお前のこと……」
最後まで言い終わる前に、唇を塞がれた。
「じゃ、ソファに座って?」
柴田の胸をときめかせる笑顔で、唇を離した光輝が促した。
「あ、あぁ」
恋人の眩しい笑顔に鼓動を高鳴らせつつ、柴田はグレーの革張りのソファに腰を下ろした。
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