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5章【真相】-6 追憶のアネモネ編

それから、その日は何度も凌辱といって差し支えない行為で、郁を抱いた。  行為が終わった後、郁は汚された裸身のまま、ベッドの上でぐったりとしていた。  その目はうつろだ。 「郁、図書室に行くんじゃなかったの?」  郁は、黙したままだ。  正確には、言葉を発しようとしても、あ、とかう、とか吃音混じりの変な音しかでないのだ。  そんな人形じみた郁を目の当たりにして、ふう、と潮は大げさなため息をついた。 「精々、おれを楽しませなよ、郁。おれも……飽きたら、捨てちゃうかもね、薫みたいに」 「う、うう……!」  郁の眦に涙が滲む。  散々、泣き叫んだせいで、頬には痛々しい涙の痕が刻まれていた。 「もうお腹が空くのは嫌だろう? ひもじい思いもしたくないよなぁ?」  その言葉に郁は四肢から手を抜いて、ただ、涙を流した。 「そう、それでいいんだよ。お前は、もえぎを守らなきゃいけないんだから」  その言葉が全ての答えであり、郁の行動原理であり、この地獄を生きている理由でもあった。  郁は、ただ、涙を流すだけだ。 「ほら、さっさと身体を洗って、家に帰らないと。淫乱の真似事をして、施しを受けているなんてもえぎにばれたら、もえぎはおにいちゃんのことをどう思うかな」  その言葉にはっとして郁は、ずるずると身体を引きずるように、バスルームに向かった。  茫然とシャワーを頭から被りながら、郁の唇が動く。 「おれ、きたな、い」  自身を汚されても、それでも、細いカンダラの糸に縋る少年を、望月の赤い瞳が見つめていた。

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