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(一)プロローグ
俺は痴漢だ。
ただの痴漢ではない。横の繋がりがある仲間たちの為に、奴らが目を付けた標的を堕とすのが俺の役割だ。
近頃はメディアが発達したこともあって、直ぐに晒しだなんだと小煩い。警察に突き出されるどころか、素顔をネットに上げられるリスクだってある。そんな中で、安全に痴漢をするにはどうすればいいか? 答えは簡単だ。そういったプレイを一緒に楽しめる相手を見付ければいい。
とはいえ、実際に見付けるのは至難の業だ。痴漢相手募集掲示板とて、数か月に一度書き込みがあればいい方である。
ならば、作ってしまえばいい。俺が思い付いたビジネスは直ぐに軌道に乗った。
報酬はひとり当たり三十万から数百万。これを高いと感じるか安いと感じるかは人次第だが、調教内容によっては数か月ほどかかるのだ。このぐらいはぽんと支払ってもらわなければ困る。
勿論、無策で出来ることではない。俺にはある特技があった。催眠暗示――大学で学んだ技術は悪用するなと教授から厳命されていたが、本能的な欲の前では、倫理などさしたる障害でもない。俺はこの技術を用いて、これまで何十人となくこの道に堕としてきた。これからもこの衝動の赴くがままに人間を堕としてゆくだろう。
今回の標的は小柄な眼鏡の男子高校生 。名前は向谷夏樹 というらしい。隠し撮りの写真を何枚か見たが、中々可愛い顔をしている。痴漢プレイに慣れてもらうのは勿論のことだが、後ろも使えるようにしてくれとは雇いの要望だ。
俺は早速、標的が電車に乗り込む駅に向かった。改札口の奥、トイレ前で人を待つ振りをしながら標的の到着を待つ。ややあって、改札口を抜ける標的の姿を捉えた俺は、距離を開けながら標的の後ろを尾いて歩いた。
濡れた黒髪に、長い睫毛。赤みを帯びた薄い口唇が魅力的だ。これは調教のし甲斐がありそうだ。標的に続いてホームに降りた俺は、定刻通りに来た電車に乗り込んで、標的の後ろを取った。
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