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第11話

玄関で、泣きながら始まったキスは どんどん深くなっていって だけど、南風を止める事なんて出来なかった さっきは、ただ可愛いと思ったけど 「紫月……紫月の家だから…紫月……紫月……」 俺の乗ってるエレベーター来るの、待ってたのかな 1人で居るの、寂しかったのかな 「南風…んっ…んっ……1人にして…んっ…ごめんね…んんっ!」 南風が、こんな風になるとは思わなかった もしかしたら、南風は こうなるの知ってて 此処で待ちたくなくて 何処かへ行こうとしてたのかもしれない 「んっ…南風っ……南風っ…」 「っ…~~~~っ…」 俺が、南風を抱き寄せると ようやく、キスを止めた 「ごめん…此処で待っててくれて、ありがとう。南風…頑張って、待っててくれて…ありがとう。1人にして、ごめんね」 「~~~~っ…紫月っ……~~~~っ…」 「うん...ごめん……ありがとう…ありがとう、南風…」 俺の不安を無くす代わりに 俺の我が儘を通す代わりに 南風は不安な中、1人で 此処で待ってたんだ 「南風…中入ろう?」 「…っ…んっ…」 ゆっくりと離れた南風が ようやく、靴を脱いで玄関から上がったけど 俺も靴を脱いだら 横から抱き付いてきて 「南風…よしよし」 横に引っ付いてる、南風の髪を撫でる 小さな子供みたいに 全然離れようとしない 「コート脱いじゃおうかな。部屋着に着替えて、もっとくっ付こうか」 「……ん」 離れてくれたけど 少し離れた場所で、待機してて 部屋着に着替えたら すぐに、くっ付いてきた 「南風…手洗ってきちゃうね」 「ん…」 もう、これ… 離れないつもりだ 洗面所行って うがい、手洗いの間も 南風は、ずっとくっ付いてて 「南風…ちょっと2人で横になろっか」 「ん…」 ベッドに辿り着いたら 南風が、くっ付いたまま、頭グリグリしながら押して来て… これは、一体… 「んん~」 「ん…ごめんね」 「んん~~っ!」 「うん...そうだよね」 なんか… 俺が悪いんだけど 申し訳ないんだけど グリグリしてくる南風…やっぱり可愛い されるがままに、南風に押し倒されたけど それでもまだ、俺の胸の上でグリグリしている 何か言いたい事あったりする? 「南風…我慢しなくていいよ。言いたい事言っていい。いっぱい文句言ってもいいよ」 「………んん~~っ!」 「うん...大丈夫。怒ったりなんかしないから、思った事言って?」 「…………」 ゆっくりと、俺の上に起き上がった南風が 「……セックスしよ」 そう言った南風は 初めて見た顔で 「………南風が…したいなら、しよ?」 怒ってるみたいにも見えるけど なんて言うか 冷たい…みたいな… まるで… 南風には似合わない顔だった 「んっ……はっ…んっ!……ぁっ…南風…」 「……………」 南風が キスも、ハグもしてないのに さっさと俺のものを咥えだした やっぱり…怒ってるんだろうか だけど、口に出せないものを こうして吐き出してるんだろうか 「んっんっ……南風っ……あっ!…まっ…」 なんか… 南風が、下の方…って言うか 裏の方って言うか… そんなとこ、触られた事ないから… 「南風っ……ね…そこ……ちょっと…んっ……なんかっ……ねっ…あっ!……待って、南風…押さなっ…っ!」 初めての刺激に、勝手に大きくなってく けど… 全然見てくれない 「南風っ…」 「……………」 あ… こっち見てくれた 「南風…キスしよ?南風にも、気持ち良くなっ…て……南風…」 少しの間 じっと俺を見ていた南風が 俺の上に乗って 挿れ始めた 「っ…待って…南風……ね」 南風が、それで気が済むなら 全然いいんだけど 南風…何処見てるの? 俺と…セックスしてる? いうもとは違って、激しくする時ですら 俺を見て、話してくれてたのに 今は、全然… いつでもイキそうなのに 南風の顔見ると、イケない イキたいのにイケない まるで、南風もそうであるかの様に 俺の上で、心配になる位動いてるのに イケなくて 南風… きっと、こんな気持ちじゃイケないんだよ そんな事、南風と以外は思わなかったけど 「っ……南風っ…」 少し苛ついてる様な顔が 泣きそうになってきて 俺は、堪らず 起き上がって、南風を抱き締めた 「南風……ごめん…口に出せないなら、殴ってもいい……他の方法にしよう?」 「………セックス…好きだから…」 「うん...好きな事…もっと、楽しい気持ちの時しよ?」 「……違う…どんな気持ちだって……どんなヤツとだって……セックスは気持ちいいんだ…」 苦しい… 内側から、喉を軽く抑えられてるみたいだ 「…そっか……でも、今の南風…辛そうな顔してたから…」 「辛くたって……すぐに笑える…どんなとこでも……どんな時も……すぐに笑える」 「無理して笑わなくたっていい…」 「うるさいっ!」 「っ…」 南風が 急に俺の腕の中から出た 「無理でも何でも、しなきゃいけないんだよ!何っにもないんだから!親も、兄弟も、家も、金も……何っにもないんだから……自分が壊れたらっ…終わりなんだから……壊れたって、誰にとっても、どうだって良くて……自分次第なんだから……自分がっ…もう止めるか…まだ頑張るか……頑張るなら…馬鹿みたいに笑ってなきゃ……泣いてたってっ…誰も生かしてくれない……終わりが近付くだけだ…覚悟がないなら…無理だってなんだって…笑ってなきゃ…保てないんだよっ…」 びっくりした 南風の、触れられない部分… 急に、こうして聞く事になるなんて 南風の… 本当の南風を 初めて見せてくれた 「俺が一緒に居る事は…南風が頑張らなきゃならない事を…助けるんじゃなくて、増やしてしまう事?」 「……違うから……今までの誰とも違う…だからっ…~~っ…分からないんだっ……紫月と離れた自分が…どうなるのか分からなくて……っ…だから…慣れたくないっ…まだ…俺は終わる気…ないから……誰と居たって…居なくたって…」 「俺と居る南風は…他の人と居る時と、全然違う?」 「違う……違い過ぎるから…っ…不安になるっ…」 「そっか……俺もだよ…南風と居る俺は…俺が初めて知る俺だ」 そう言ったら 俯いてた南風が、目を合わせてくれた 「紫月…も?……俺以外のヤツと居る時と…違うの?」 「違うよ。隣の部署にね…結構仲のいい同期が居るんだけど…南風と一緒に居る様になってから、変わったって言ってね…恋人が居るってバレてからは、よく色んな事聞かれたり、からかわれたりしてる」 「……え?…紫月…会社の同期に……俺の事話したりしてんの?」 「勝手にごめん…細かい事は、話してないし、写真も見せてないよ。あいつが聞いてくるのは、主に俺がどう思ってるか…みたいな事だから」 「…紫月……会社で…会社の同期に…俺の事…恋人の話として…話してるの?」 「…嫌だった?勝手に話して、ごめ……南風?」 俺を見たままの、南風の目から 涙が溢れてきた 「~~~~っ…だって…俺だよ?…いいのかよ?」 「だって…俺の恋人…南風だから…」 「~~っ…こんなんっ…紫月の恋人だって知られたらっ…紫月っ…会社中の笑い者だっ…」 「笑われないよ。羨ましがられる。だから、誰にも見せたくない。でも、もしも笑う奴が居ても…南風を知らない奴だから、関係ない。俺が南風と居て、幸せで……南風…南風も、俺と居て…そう思ってくれたら…それだけでいい」 そうして、南風を抱き寄せたら ぎゅ~~っと、南風が抱き締め返してきた 「やっぱ…紫月、変わってるっ……紫月の周りは…もっといいものが溢れてるのに…~~っ…俺なんか選んでっ…そんな事っ…言って…」 「俺の人生で、南風は一番いいものだよ……南風は…全然違う俺と居て…南風を分かってあげられない俺と居て…辛い事、多いかもしれないけど…今日みたいに話してくれたら…少しは近付けると思うから…南風の気持ちに気付かないで…苛つく事あるかもしれないけど…殴ってもいいから…だから……一緒に居て欲しい」 言っても、南風の中にある、大きなものには敵わないんだろうけど 好きになればなる程 急に消えてしまう事が怖くて 「俺を知ったら…知る度に……違い過ぎて…遠ざかるよ?」 「そんな事ない…だって、南風…出逢った時から、全然違ってたよ?全然違うのなんて、最初から知ってた…それから一緒に居て…全然違う南風見て…離れたいなんて思った事ない……南風が…急に居なくなってしまうのが…~~っ…居なくならないでっ…南風…」 「俺…何もないよ?ただの居候…絶対いつか、歪みが出て来る…そうなったら、終わりだ…紫月と離れる前に…離れる心構え…」 「ならない!終わらない!終わらせない…」 それが原因なら その原因を、どうにかすればいい 気持ちの問題じゃないなら それで、南風との終わりが来ないのなら 2人して、怯えずに済むのなら 「終わらせないっつっても…」 「南風を…」 これは 対等な関係じゃなくなる だけど 居候って思ってるよりは… 「紫月?」 「南風を雇う」 「やとう?」 「南風に、家事教えて…俺が雇う。そしたら、居候じゃない」 「え……俺が雇われるのに、紫月が家事教えんの?」 「だって…特に料理とか、南風あんまり出来ないし…ゴミ出しとか、アイロン掛けとか…細かい部分の掃除とか…」 「…っ…っ…~~っ…ぶはっ!…ぶっ…ぶはっ!…ひ~~っ!…無理っ!」 無理… やっぱ、家事嫌いなのか 分からないから、苦手なのかと思ってたけど そもそも嫌いなのか 「じゃあ、他には…」 「何処の世界に、雇い主が雇うヤツに教えるヤツ居んだよっ…はぁ~~っ…おかし過ぎるっ…」 「そっか…じゃあ、マッサージとか?あ…南風、頭洗うの上手いから…」 「やっぱ、紫月って変わってる」 「…そうなんだろね」 「ん…出逢った時からだ。気まぐれだと思ってたんだ。だけど、紫月は…あの時のままだ。いいよ。居候よりは、一緒に居ていい気がする。俺、家事覚えて、紫月に雇ってもらう」 気まぐれ… 南風も…俺の気持ちが、急に変わるかもって、思ってたのかな 何が正解なのか分からない この選択が、どうなのか だけど… 「じゃあ…明日から、いっぱい教えるね」 「ん…でも、その前に…やっぱ、紫月といつものセックスしたい。キスして?紫月」 「ん…いくらでも…」 南風と、一緒に生きてく為に 今の俺が出来る事 こんな、子供騙しみたいな事まで考えて 繋ぎ止めようとするなんて きっと、秋月が知ったら また、噴き出して笑うんだろうな

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