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第13話

「今まで付き合ってくれて、ありがとう。やっぱり雨宮君、私の事好きじゃないよね?それなのに、付き合ってくれてありがとうね」 俺、好きじゃないと思われてたのか だったら、感謝なんかしなくていいのに 「ねぇ、なんで?!なんで分かってくれないの?!私の事、好きじゃないんでしょ?!」 そうなのかな だから、こんなにも気持ちに、温度差あるのかな だから どれだけ付き合っても 別れる事に、なんの未練も無いのかな 俺の人生は まるで、実験の繰り返しの様なものだ 恋人だけじゃない 趣味、習い事、勉強、スポーツ 大学、アルバイト、旅行、就職 何なら、俺は何かを感じられる? 何を選んだら俺は 何かを感じながら、生きていける? 「す~~……す~~……」 南風、寝ちゃったんだ 可愛い 南風と居ると いつも、何かを感じてる それは、生きてる実感があって ひどく安心する 好きとは、こういうものなのか 寝息すら、心地いい 寄せられる重みも嬉しくて 南風を、抱き締めたまま ソファーに横になる 「ん……ごめん…寝てた」 「起こしちゃった。まだ寝てていいよ。俺も、お昼寝する」 「…紫月…重いから……横に行く…」 「大丈夫だよ。重くないよ」 「……ん」 少しだけ、俺の上からずれた南風が すぐに動かなくなって また、寝息を立て始めた 赤ん坊を見るって、こんな感じなのかな いくら見てても飽きないって言うけど 南風なら、きっとそうだと思う 南風がずっと寝てるのを、ただ1日見てろと言われても 俺は、飽きる事が無く、見ていられるだろう 「…づき」 「ん?」 「…ん…へへっ…」 「ふっ…何笑ってんの?」 「…づき……いぃに…おぃ…」 「そ?頭じゃないけど、いい匂いなの?」 「……ん…いいよ……ふふっ…ん…」 会話出来てるのかと思ったけど 夢見てるのかな 南風の人生… きっと、俺が聞いたところで、南風の気持ちなんて分からないんだろな 母親の顔は、うろ覚えで 父親は、存在してない 親戚の家とかで、面倒見てもらったのかな それとも、施設とか? どっちにしろ、今現在 ずっと俺の家に居る南風を 心配して探してる人は、居ないんだろな 南風にとっての、特別な存在 それが俺である事が、こんなにも嬉しい 依存でも何でもいい 此処にしか、居られなくなればいい 「んまっ!トマト鍋んまっ!」 「ヘルシーだし、重くないから、結構食べれるよね」 「俺、初めて食べた。すっげぇ旨い」 「最後は、チーズとご飯入れて、リゾットにしようね」 「リゾット!絶対旨いヤツ!」 「鍋なら、適当に具材切って、買って来たスープ入れて煮込むだけだから、南風もすぐに作れるようになるよ」 「まぁ…こんな揃った形じゃない上に、時間かかるだろうけどな」 それがいいのに 俺と違えば違う程 南風が作ってくれた感があって、嬉しいんだけど 「何それ…馬鹿にしてんの?」 言い方を間違えると 人を不快にさせる事を 俺は、何度も学習済みだ 「紫月?」 「今度、葉物野菜の切り方教えるね」 「葉物…キャベツとか、レタスとか?レベルたけ~」 「攻略まで、無期限だから大丈夫」 「……ん、ありがと」 南風が、少し驚いた様な顔の後 嬉しそうに笑ってくれた 「し~づき~」 「あ…南風っ…ちょっと待ってってば」 ご飯を終え 一緒にお風呂に入ると、いつも通り南風がじゃれてきて 今日、しようって事になったら 髪を乾かしてる間も 歯磨きしてる間も ずっと、南風がイタズラしてくる 「ん~~…待てないじょ~」 「ちょっと…もう歯磨き終わるから。ベッドで待ってて」 「やだ~。紫月に、くっ付きながら待つ~」 「くっ付くのはいいけど…色々触られると、歯磨き終わんなくなるよ」 「紫月、頑張れ~」 「もう~…」 ちょっと困るけど その何倍も嬉しくて 多分、同じ様な事してきた人居た筈なのに 今、純粋に嬉しくて楽しいのが やっぱり、凄く嬉しくて 「紫月、つ~かま~えた~」 「捕まった」 「へっへっへっ。どうしてやろうかな」 普段と違う様子の時以外は 南風とのセックスは、面白くて楽しい 「俺、どうされるの?」 「ん~~…そうだな…仕事まだ休みだし…際どいとこまで、キスマでいっぱいにしてやろう」 「嬉し…いっぱい付けて」 「よ~~し。服を脱いで、横になるのだ!」 「ふっ…分かりました」 男同士だと、こんな感じだったりするのかな 友達の延長みたいなとこが、あるからなのかな 南風の金色の髪が動く度 南風の印が刻まれていく 「南風…いつから、この色なの?」 「ん?いつから…えっと~…3年位?」 「その前は、黒かったの?」 「そうだな…生きてく事に必要な物に、金使ってたから…」 「そっか」 それは… 3年位前から、少し余裕が出来たって事? 「…俺が、なんも知らなかった頃、色々教えてくれた人が居て…」 「うん」 「その人が、こんな色してて、いいなって言ったらさ…美容室連れてって、同じくしてくれたんだ」 「へぇ…いい人だね?」 「うん…自分が、こうしたいとか、こうなりたいとか思うのは、凄く大事な事だって。特に、目で見て確かめられるものは、優先的にそうした方がいいって」 「へぇ…」 3年位前には、何も知らなかった… その何もが、何を示してるのかは、分からないけど 髪の色…優先的にって… 俺には、考えつかない事だ 「その時は、よく分からなかった。だけど……すげぇ嫌な事あったり、金も食い物もなくなったり…なんか、こう……すげぇ落ち込みそうな時に、この髪が目に入るとさ…なんか、ちょっと元気になるんだよね」 「そうなんだ…」 「うん。自分が、いいなって思ったものを、身に付けられてるとか、憧れてたあの人と一緒で、その人の優しさ思い出したり……だからって、何も解決しないけど、まぁ…ちょっとだけ嫌な気分は、無くなるんだよね。だから、こういう事かって思った」 そういうの… 話を聞いても、到底理解出来ない 大変だったんだろうなとか 凄いなとか… 遠い世界の話の様だ 「…南風は…俺の事、どう思う?」 「ん?好きだよ?」 「ふっ…ありがと。俺も好きだよ。でも、そうじゃなくてさ……生きてる世界、全然違うから。南風が経験した様な事、分からないし……そんなのも知らないで、南風の事分かる訳ないとか…恵まれた環境に居るのに、そんな奴が悩んでたりとか…」 「紫月…」 会話しながらも、俺の体にキスを続けてた南風が 一度止めて、顔を上げた 「たいして苦労してない奴に、色々言われたりするの…ほんとはイラッとしない?」 「………してたよ」 「っ…ごめん」 「めちゃくちゃしてた。どうせ、俺の気持ちなんて、分かんないだろとか…お前らと一緒じゃないんだよとか…学校卒業するまではね」 「え?」 学校…卒業するまで って言うか… やっぱり…そういう気持ちで、いっぱいだったんだ 「学校卒業してから、俺と同じ様な気持ちの奴等に出会って…他の誰になんて言われても、分かってくれる奴等が居たら…あんまり気にしなくなった。そしたら、別にどうでも良くなった」 「……そうなんだ」 「けど、紫月は別格。なんで?って聞かれたら、分かんない。好きだからなのかな?何でも素直に聞けるんだ。だから…自分の気持ち次第だったのかなって、紫月と居ると思ったりする」 それは… 物凄く分かる 同じ事しても、同じ事言われても 南風だけ違う 「俺も、南風だけ違う。南風だから…今までとは、何もかも違う」 「……不思議だよな。全然分かり合えない筈なのに、そんな人…好きになるなんて」 「うん…良かった。ありがとう」 「ふはっ…なんか、紫月のさ。頭いいのに、時々俺レベルになるのが、可愛いくて素直で好き」 「?…よく分からないけど…南風が好きなら、良かった」 どんな小説も、映画も 運命なんてもの、空想の世界の題材でしかなかった だけど… あの日を、思い返す度に思うよ 運命って、ちゃんと存在するんだなって

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