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第1話
「んん、ぅ…」
目が醒めるとあたりを見渡す。
眩しい…
真っ白の正方形の部屋。
天井の中心にはLEDの照明がひとつ。
僕には白のワイシャツに膝丈の黒いパンツ。裸足だからかちょっと寒い。
「ここはどこなの…」
壁には照明のスイッチと白い木製のドアだけで、風を通す窓もなかった。
とりあえずドアノブをひねってみる。
ガチャ、キィ―…
あ、開くのね
てっきり開かないと思ってた。
恐る恐る入ってみるとまた白い空間が広がっていた。さっきより空気が澄んでて気持ちいい。
ガチャン!!
とドアが閉まった。
「えっ?」
内心ビビリな僕はドアノブをガチャガチャとひねってみたけど開かない。
「ポルターガイスト…?」
やだやだ!!僕幽霊よりもポルターガイストの方が怖い!!!ここはどこなの!?なんでこんなとこにいるの!!?
僕は泣きそうになって部屋のドアを開ける。びゅうっと風が入ってきて僕の髪をかきあげた。
僕は声が出なかった。
そこは空だった。空のなかだった。
地面はなく、ただ水色の空間があるだけ。
そこに一人、宙に立っている男がいた。
まるで僕を待っていたかのように、微笑んで手を広げる。そして優しく僕の名前を呼んだ。
「朔夜」
「…琥珀兄…?」
その男は紛れもなく僕の兄である萩野琥珀だった。自然と涙がこぼれおちる。
ほんとの琥珀兄だ…!!
「おいで、昨夜」
「琥珀兄!!!」
僕は琥珀兄に抱きついた。
僕より20㌢以上背が高い兄はお日さまの匂いがする。ぎゅう、と抱きしめ返してくれるのが嬉しくてまた涙が流れた。
さらさらと僕の髪の毛を撫で梳いてくれる大きな手。ずっと会いたかった…!
「朔夜…」
耳元で名前を呼ばれた。
「…なあに?」
「ずっと朔夜を待ってるよ」
「琥珀兄…?」
掠れたような声を出した琥珀兄の顔を見ようと、体を離そうとするとより強く抱きしめられた。
そこに
ジリリリリリ…
とけたたましく鳴る音が響く。
な、なに?
気をとられてびっくりしているといつの間にか琥珀兄がいなくなっていた。
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