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第5話

鷹村累side  「チっ」  ぐったりとした朔夜をベッドに横たわらせ、部屋の隣にある風呂へと向かう。  クソ…  朔夜は昔から変わらない。琥珀兄、琥珀兄って少しも俺の方を見向きもしなかった。  朔夜と琥珀とは幼馴染だった。三人の中では俺が一番上で、その次に琥珀、朔夜。近所に住んでて、毎日のように遊んでた。本当に可愛くて女の子みたいな朔夜が大好きだった。  俺と朔夜だけで遊びたかったけど、当時の朔夜は超が付くほどの人見知りだった。琥珀が一緒じゃないと遊べない。いつも2人はくっついてて、俺が入る隙なんてないかのように見えた。  いや、アイツ…琥珀は、俺に見せつけてたんだ。  ある小学校からの帰り道、公園で遊んでいた琥珀と朔夜を見つけた。俺に見せたことない笑顔をアイツに見せていた。内心モヤモヤしながらも羨ましいと眺めていると、俺に気づいたアイツは悪魔みたいな微笑みで俺を見た。  ニタリ、って擬音がぴったりの笑顔で。  そのときちょうど転んで泣き始めた朔夜に駆け寄って、転んだ朔夜をよしよしと宥めながら抱きしめているアイツは、俺に向かって    『きえろ』    と、口パクした。    さっきとは打って変わって死んだ魚の眼をした真顔だった。  お前が来たからこうなったんだ。  と、言われているような気がして走って帰った。情けないな。  ま、俺は中学の時に他県に引っ越したから覚えてないのかもな。そんときは朔夜も小学低学年だったし。  そんときに大人になったら、琥珀から朔夜を奪ってやるって決めた。何がなんでも俺のモノにすると。  湯を張るためにタッチパネル式のボタンを押すと、すぐにお湯が出る音がしだした。  「もう逃さなさい…」  ポツリと独り言を口にして、朔夜をバスルームに運ぶ為にまた部屋へと戻った。

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