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第二十二話 紗生、狸をお世話する
(まだ俺、童貞のままなのに。トオルさんとベッドの上で触り合っただけで、体中びっしょり汗をかいてしまったんだが…)
紗生はじっとりと濡れた首筋に手を当てて、トオルを振り返り、断られると分かりつつも声をかけた。
「トオルさん、俺シャワー浴びて来ますけど、一緒に入ります?」
「あ、後で…」
トオルは近くにあった紗生の脱いだスウェットに手を伸ばして、乳首を隠した。あんな風に扱われる前までは、男同士でする仕草ではなかった。自分が紗生にイヤラシイ目で見られていることを完全に理解してしまったようだった。
紗生はそれ以上は誘わずに、ションボリと明るい照明の点いたバスルームへ、苦笑いを残して消えて行った。
紗生が寝室に戻った時も、まだトオルは裸でシーツの中に潜り込んで、ウトウトしていた。
紗生は、このままトオルの隣りにダイブして、寝てしまいたい気持ちを押し留める。タオルを濡らして固く絞ると、レンジで1分間温めた。そうして作った蒸しタオルをトオルの肌に当てがい、丁寧に胸元、脇、二の腕と上半身を拭いてから、自分のTシャツを着せた。
トオルは夢見心地で、誰かの腕の中に抱き上げられるフワフワとした感覚を味わっていた。
温かなタオルを持ってお世話をする手は紗生に違いない。トオルはされるがままに狸寝入りを決め込んだ。
紗生は次にトオルをうつ伏せに寝かし変え、太ももの内側、膝の裏、ふくらはぎを拭き清める。
(あっ、これじゃ、紗希くんからは僕のお尻が丸見えなんじゃ…、どうしよう)
トオルがそう思って戸惑っていると、紗生の手がトオルのお尻の膨らみをガシッと鷲掴みにした。するすると触り心地を楽しむように、ひとしきり撫で回してから、トオルの割れ目をゴシゴシと上下に拭き始める。
(ひゃっ…、ああん、お尻揉まれてるんだけど。こんなのやる必要あるのかな?
それに、終わらないよ?汚いから、念入りにされてるの?)
トオルは枕に顔を伏せたまま、目に涙を滲ませて、握りしめた拳がギュッとシーツを掴んだ。追い討ちをかけるように、トオルの双丘が割り開かれ、窄まりをじんわり温めたタオルでグリグリと責められる。
(あっ…あっ…。お尻の穴にプレッシャーを感じるよう。全身拭いてくれたけど、なんかここだけ紗生くんの熱が違うっ)
はぁはぁとトオルの息が上がる。
(ああ、ダメ。ヨダレ垂れちゃいそう!!)
(やっぱり、紗生くんココに入れたいんだよね?僕に出来るのかな。だって、紗生くんのすっごく長かったよ?)
うーん、うーんと思案して唸っている内に、トオルは下着もズボンも全部着せられて、すっかり布団の中に寝かしつけられていた。
自分を離すまいとするように抱き寄せた紗生の、高い体温が伝わってくる。すーすーと微かな音をたてる紗生の規則正しい寝息に耳を澄ませていると、トオルの心は安心するのだった。
紗生の腕の中で、トオルは自分の腹のすぐ前に熱く存在する、紗生のモノが果たして入るのか推し測っていた。普段はシャープな顔つきをしている紗生が、眠ると穏やかに幼くなる。
(紗生くんって、こんな可愛い顔して寝るんだ)
トオルは紗生の寝顔をじっと見つめながら、あれこれとシュミレーションした。
(前からは恥ずかしいかな、後ろからとか?
でも、怖いとか嫌だとは思わないな。紗生くんに信頼しかない)
目を閉じて安らぎの中にいる紗生は、自分の胸元でトオルの痴態の妄想が拡がっていることを知る由もない。
トオルに恐怖心を植え付けなかった。それが紗生の頑張りの一番の成果だったのかも知れない。
トオルは布団の中で手をモゾモゾと動かすと、紗生の手をきゅっと握り締めた。
「紗生くん、大好き」
眠りの浅い淵を漂っていた紗生の意識は、トオルの手に引き戻され、その声が耳に届いた。
(敵わないな、トオルさんには…)
これが、これから幾度となく繰り返されることになる、紗生の敗北宣言の最初の日だった。
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