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へっぽこインキュバスくんは譲りたくない(3)

「じゃあ、今度は相手を交代しようか」  セルジュとの二回戦を終えたカズマお兄ちゃんが、こちらも丁度タクマお兄ちゃんをイカせたところなぼくを手招いてくる。行ってもいいのかな? と思いながらタクマお兄ちゃんを振り返れば、タクマお兄ちゃんは新しいパートナーであるセルジュにすっかり意識を奪われているようだった。  ぼくら淫魔族は、人間に対して魅了の効果があるオーラを放っているらしい。らしい、というのは、ぼくはそのオーラが他の淫魔たちに比べて弱いらしいからなんだよね。セルジュに云わせると、「だからディルはいつもお腹を空かせてるんだよ」なんだって。ぼくが狩りが下手なのは、その所為だって云いたいみたい。  でもセルジュは違う。ぼくとそんなに変わらない容姿なのに、ぼくよりも人間を惹き付ける能力に長けていて、お腹を空かせているところなんて見たことがない。ぼくが「狩りって難しいよね」って云っても、全然ピンとこないみたいだ。  だからタクマお兄ちゃんもセルジュの方が魅力的に映っているんだろう。ご満悦な表情でセルジュとキスをしている。  ぼくはセルジュと入れ違いに、カズマおにいちゃんの膝の上に乗った。  四人がひしめき合うカズマお兄ちゃんのシングルベッドはちょっとせせこましい。早速、タクマお兄ちゃんの股間に顔を埋めてそのペニスを咥え始めたセルジュを向かいに、ぼくは背後から伸びてきたカズマお兄ちゃんの手に乳首を捉えられた。 「流瑠くんの乳首はぷっくりしてるね。今までいっぱいエッチなこと、してきたんでしょ」  二回戦を終えたばかりとは思えないぐらいに興奮した声。はあはあと息を荒くしながら、カズマお兄ちゃんがぼくの乳首を捏ね繰り回してくる。  時々、乳頭の先っぽに指を立てられては、凹んでゆくぼくの乳首。その感触が気に入ったようだ。えっちぃ乳首だね。と、カズマお兄ちゃんが頭上から囁きかけてきながら、乳首を弄り回していく。  乳輪を指でなぞったかと思えば、きゅっと乳頭を抓んできたり、爪の端で引っ搔いてきたり……タクマお兄ちゃんとの二回戦目で射精に至っていないぼくは、それだけでもペニスがじんじんと疼いて堪らない。うぅん。と甘ったるく喘ぎ声を放てば、カズマお兄ちゃんも嬉しいのだろう。より一層、乳首への愛撫を強めてきた。 「あぅ。カズマお兄ちゃん、そんなに弄られたら出ちゃうよぅ」 「流瑠くんは感じ易そうだもんね。ここだけでもイケちゃうんでしょ」 「イケるけど、イクならカズマお兄ちゃんと一緒がいい……ッ」  瞬間、カズマお兄ちゃんにきゅっと乳首を抓まれた僕は、ペニスに走った快感に腰を浮かせた。  乳首からペニスまで一本の線で繋がったような快感。これが始まると、後はあっという間だ。ぼくはカズマお兄ちゃんの膝の上で腰を振った。それで達せるとは思っていないけれども、ペニスに集中する切なさが、どうしてもぼくに腰を動かさせてしまう。 「カズマ、お兄ちゃん。やだぁ……ぼく、まだ、イキたくなぃよぅ……」 「こんなに腰を振っちゃってるのに?」 「だってぇ……」  甘えたな表情でカズマお兄ちゃんを振り仰ぐと、愉悦に浸りきっている表情が飛び込んでくる。  ぼくは演技の上手いセルジュと違って嘘は吐けない。感じ易いというのも本当だ。けど、セルジュがそうかはわからない。 「タクマお兄ちゃん、そこ、もっとクリクリってして……」  タクマお兄ちゃんのペニスが活力を取り戻したのだろう。いつの間にかタクマお兄ちゃんの膝の上に場所を移したセルジュが、ぼくと同じように背後から伸びた手で乳首を弄られている。 「あぅぅ。そこ、そこ、気もちいぃ」  うっとりとした表情を浮かべて身体を揺らしてはいるけれど、実はセルジュは食いつくし系だ。ぼくみたいに何人もの人間をキープするようなタイプではなく、気に入った餌はその場で命尽きるまで精気をしゃぶりつくしてしまう。だからあんまり性行為に溺れ過ぎてしまうと、逆に身体がもたなくなるらしい。 「トモダチだってあんなだよ。流瑠くんも、乳首でイこうよ」 「うう……でも、お兄ちゃんのおチンポでイキたい……」  ぼくがカズマお兄ちゃんの言葉にそう答えると、カズマお兄ちゃんがニヤリと笑った。 「さっきイってなかったでしょ? だから一回抜いておこうね」  どうやらぼくとタクマお兄ちゃんの性行為を見ていたようだ。図星な台詞に、ぼくは兜を脱ぐことにした。 「ちゃんとまたイカせてくれる……?」 「勿論だよ」カズマお兄ちゃんの右手がぼくのアナルに下りてくる。「ここでもちゃんとイカせてあげる」 「じゃあ、お願い。乳首、吸って」  ぼくは半身を返して、カズマお兄ちゃんに口付けた。  やや厚みのある口唇が、ぼくの口唇をきつく吸い上げてくる。ぼくは軽くカズマお兄ちゃんと舌を絡め合った。  カズマお兄ちゃんはぼくが達するところが早く見たいみたいだ。性急にも口付けを終えると、首筋と鎖骨に口唇を伝わらせてくる。  ぼくの身体にはタクマお兄ちゃんが付けた紅斑(キスマーク)がまばらに散っている。ぼくが喘ぎ声を上げるのが、刺激に弱いところを見付けたみたいで面白かったんだと思う。タクマお兄ちゃんは何度も何度も同じ箇所に口付けてきた。 「ここが感じるの?」  尋ねてきたカズマお兄ちゃんにこくりと頷くと、カズマお兄ちゃんはタクマお兄ちゃんが付けた紅斑(キスマーク)を消すように、ぼくの肌を繰り返し吸ってきた。 「駄目だよぅ。それ、イっちゃう。乳首、乳首でイキたぁい」  あぅあぅ喘いでいると、それも面白いと思ったみたいだ。カズマお兄ちゃんがわざとらしく乳首を避けて、ぼくの身体に刻まれた紅斑(キスマーク)を口唇で辿り始めた。やだぁ。ぼくは喘いだ。ちゅっちゅちゅっちゅと音を立てて、脇の下だの、臍の上だの、右腰だのを吸っているカズマお兄ちゃんが、ぼくの身体がびくびくと震える度にくすくすと笑う。 「流瑠くんは感じ易い身体をしてるんだね」  ぼくの反応でわかったんだと思う。特に弱い右腰をカズマお兄ちゃんはしつこく吸ってくる。  流石にぼくは限界が近くなった。 「イっちゃう……やだぁ……そこ、イっちゃうぅ……」  いつの間にか膝を折って仰け反る形になっていたぼくに、それでもカズマお兄ちゃんは右腰を吸うのを止めてくれない。  緊張感と快感で脚がぷるぷると震える。ぼくはカズマお兄ちゃんの髪に指を埋めて、必死になって快感に耐えた。背後ではどうやらタクマお兄ちゃんがセルジュに挿入したみたいだ。セルジュが甘ったるい声を上げて、立て続けに喘いでいる声が聞こえてくる。 「タクマお兄ちゃんのチンポ、先っぽが大きいぃ……気持ち、いいよう……ッ」  やっぱりセルジュもタクマお兄ちゃんのカリ太なペニスに気持ち良さを感じているようだ。わかる。抜けないペニスってめっちゃ気持ちいいよね。  けれどもそれを気にしていられ続けるほど、ぼくにはもう余裕がなかった。  直後、快感に飲み込まれる意識。ふと気を緩ませてしまったからだろう。急激に快感が右腰から全身に広がっていったかと思うと、ペニスの先端に突き抜けるような刺激を感じた。あ。と、思った時にはもう遅い。ぼくは右腰を吸われたまま、絶頂(オーガズム)を迎えてしまっていた。 「可愛い……可愛いよ、流瑠くん……サイコー」  ぼくの身体をベッドに横たえたカズマお兄ちゃんが、ぼくの脚を開いてくる。  力が抜けきったぼくの身体はカズマお兄ちゃんにされるがままだ。熱く滾ったペニスをぼくのアナルに突き立ててきたカズマお兄ちゃんに、達したばかりのぼくの身体が敏感に反応する。ああっ。顎を仰け反らせたぼくの上に、タクマお兄ちゃんが押したようだ。四つん這いになっているセルジュの身体が重なってきた。 「いいねえ、タクマ。いいことするじゃん。ほら、流瑠くんに湊くん。お互いの、咥えて。四人で滅茶苦茶気持ちよくなろう」  ぼくはカズマお兄ちゃんの言葉に従って、目の前にあるセルジュのペニスを口に含んだ。セルジュもやる気満々なようだ。ぼくの達したばかりで萎れているペニスを口に咥えると、凄い勢いで顔をグラインドさせ始めた。 「んんっ、んんっ」  負けじとぼくもセルジュのペニスを吸う。吸って、喉の奥へと、セルジュのペニスを飲み込んでいく。 「ああ、ああ、流瑠くんのお尻の穴、凄いね。締まってる。搾り取られそうだ」 「湊くんのお尻の穴も最高だよ。ちんちん吸われて気持ち良くなっちゃったんだね。凄く、締まってる」  それからぼくらは様々にお兄ちゃんたちに弄ばれた。  セルジュと横に並んで正常位で突かれたり、かと思うと後背位で突かれたり、正面に向き合ったセルジュとお互いの乳首にキスをし合いながら、背後からお兄ちゃんたちに代わる代わる突かれたり。既に二回射精しているお兄ちゃんたちのペニスはかなりタフで、セックスに溺れきらないセルジュはさておき、ぼくは二回も()かされてしまった。 「流瑠くんは本当に感じ易いんだねえ」 「そうなんだよ、カズマ。面白いだろ?」  ぼくとセルジュはカズマお兄ちゃんとタクマお兄ちゃんが喜ぶように振舞い続けた。何せ大事な食糧だもの。機嫌を損ねてもうセックスしない、なんてなったら精気が搾り取れなくなっちゃう。直ぐに相手が見付かるセルジュはともかく、しょっちゅうお腹を空かせているぼくにとっては死活問題だ。  その甲斐あってか、西に傾いた太陽が姿を消して大分経った頃。お兄ちゃんたちはようやく射精の時を迎えた。 「ああ、イク。イクよ、流瑠くん……ッ!」 「出すよ、湊くん。奥に出すよ……ッ!」  パートナーを交代、と云っただけあって、カズマお兄ちゃんはぼくの中で、タクマお兄ちゃんはセルジュの中で果てた。ぼくとセルジュが折り重なって、お互いの乳首とペニスを擦り合わせている最中のことだ。流石に三回も射精すると、大学生のお兄ちゃんたちでも疲れたみたいだ。壁を背にしてベッドにだらんと脚を伸ばしているお兄ちゃんたちに、ぼくたちは顔を見合わせた。  セルジュの瞳を見れば彼が云いたいことはわかる。  彼はふたりの精気を極限まで自分ひとりで搾り取りたいのだ。  食い尽くし系の淫魔はセルジュに限らず結構いる。特段珍しくもない指向だからこそ、ぼくはひとりで先に帰ることにした。 「じゃあ、ぼく先に帰るね。今日はありがとう、カズマお兄ちゃん、タクマお兄ちゃん」 「帰っちゃうのかあ、流瑠くん」  すっからかんだったお腹も充分満たされたし、何よりこうしてお腹が満たされたのもセルジュがぼくを誘ってくれたからだしね。カードショップという新たな狩り場も教えてもらえたし、受けた恩を返す為にもお兄ちゃんたちはセルジュにあげないと。 「また遊ぼうね」 「うん、またね」  ぼくは二度と会うことのないお兄ちゃんたちに笑顔で挨拶を済ませてからアパートを出た。そっとドアに耳を当てれば、早速セルジュがお兄ちゃんたちを誘惑している声がうっすら聞こえてくる。  ぼくはアパートの通路の奥まったところで擬態(モーフィング)を解いた。  蝙蝠のような黒い翼をはためかせ、空に羽ばたく。  これから暫くはカードショップ巡りだなあ。涼しい風を受けながら、そんなことを考えつつ、ぼくは淫魔界への帰途に就いた。

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