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第11話 歓迎

「鳳……雛……?」 オレが困惑していると、鳳雛は切断された自分の首を掴みながら笑った。 「やれやれ、我ながら酷い死に顔だ」 「どういうことなんだよ!」 オレが叫ぶと、鳳雛は自分の首をゴミでも捨てるみたいに放り投げて近づいて来る。 「分神とクローン技術を応用した、不死人の作成さ」 「分神……?」 オレの問いかけに伏竜が背中越しに応えた。 「精神力を切り分けるものだ。通常なら分神が撃破されれば、様々な問題が起こるはずだが……」 鳳雛が自分の頭を指で示した。 「それを鳳雛はクローン技術と共通脳チップで補っているがね」 鳳雛が言うには、奴のクローンは無数に居て、その全てが頭の中に埋め込まれたチップで記憶共有しているらしい。 伏竜が舌打ちした 「脳みそなくしてまで、生きてぇのか」 「ああ、生きたいね。生きてさえいれば研究は出来る。そこに倫理や道徳は最も必要ない」 ということは、鳳雛のクローン全部を倒さないといけないってこと!? オレは伏竜の背中を握りしめる。 伏竜にも緊張が走っているのがわかった。 でも、そこで鳳雛は明るい笑みを浮かべて手を差し伸べた。 「ようこそ! 朱雀門派へ! 鳳雛はキミ達の来訪を歓迎するよ!」 ……は? ◆◆◆ その後に通されたのは、豪奢な飾りつけをされた高級そうな店だった。 円卓につくように言われたので、一応座った。 赤で統一された店内は、ランプも薄っすらと紅い。 それが何だか色っぽくて、どぎまぎしてしまう。 そうしていると、女の人達がお盆を持ってきた。 その上には湯気が立つ料理に、見たこともない食べ物! 次々に運ばれてくる御馳走にヨダレが出そうになったが、伏竜に止められた。 伏竜が鳳雛を睨みつける。 「……どういうことだ」 伏竜の警戒に鳳雛はニコニコしたまま、嫌~なことを言い出した。 「キミらを拘束して研究するよりも、生きたまま観察した方が面白いと思ったのさ。鳳雛の首を刎ねる程の腕前だ。キミらがセックスし続けて、何処まで強くなるのかも気になる。」 ブッ! とオレが噴き出す。 鳳雛は髪をかきあげ、傍に控えている使用人みたいな人達を顎で示した。 「朱雀門派では性奴隷から霊力を奪うのが主だからね。心とかいう不安定なもので繋がる双修なんて論外さ」 「ひど!」 あまりにあまりな言いざまに声が出た。 しかしオレの言葉も鳳雛には届いていないらしい。 「何が酷いのか、鳳雛にはわからないのだが? 研究の役に立つのなら、朱雀門派は喜んで我が身を差し出す。その先に輝かしい未来があるのだからね」 すると伏竜が鳳雛を睨む。 「犠牲で積み上げた未来に輝きもクソもねぇよ。己の非道を美化して、罪悪感を殺してるだけじゃねぇか。インテリぶったクソ野郎が」 「罪悪感? それが一体、何を創造するのかな? 鳳雛には不要なものだ」 平行線の二人にオレは待ったをかけた。 「ま、待てよ! それより、なんでオレ達、歓迎されてんの? 観察したいってのは、わかりたくないけどわかったからさあ! 本題を早く言えよ! あと、料理、食べていい?」 焦らす鳳雛に言い放つと、伏竜に怒られた。 「こんなの食いてぇのか手前! 毒盛られてるに決まってんだろ!」 だってお腹減ってんだもん! 仕方ないんだもん! けど、鳳雛は優しい笑顔で告げた。 「いいよ、お食べ。毒が心配なら、鳳雛が毒見しよう」 と、スープに口をつけてから差し出してきた。 スープは黄金色の輝きを放っていて、美味しそうだ。 鳳雛はピンピンしている。 なーんだ、伏竜の考えすぎじゃん! とスープを(鳳雛が口つけたのは嫌だけど)飲もうとすると、伏竜に腕を乱暴に掴まれて止められた。 スープが太腿にこぼれる。熱! 「あっついなぁ! もう!」 オレが怒ると伏竜が「馬鹿野郎! 毒入りだ!」と言う。 え……でも、鳳雛は無事だし……と鳳雛を見る。 「なんだ、もうバレたのか」 鳳雛が舌を出すと、割れたカプセルがのっていた。 こ、こいつ! あらかじめ口の中にカプセル仕込んで、毒見の時に中身を入れたな! 「睡眠薬だよ。眠る人魚を観察したかったのだがね」 何がしたいんだよお前は! とオレが激怒すると、鳳雛は目を細めた。 奴は「……オークション会場の料理……」と、ぼそりと告げる。

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