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第37話 番外編・伏竜の思い出4

それからは――獣みてぇに交わってた。 何故か墨星の尾びれが二本の足に変わっていたから、ここぞとばかりに抱く。 俺の男性器は驚くほどに猛っているのに、墨星の後孔は、ほとんど逆らうことなく飲み込み、射精を求めるように、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。 ぬるついた感覚で肉竿を締め上げる墨星の後孔は最高だった。 月明りだけの浜辺で、美しい墨星が俺のカラダで喘ぐのが、たまらない快感だった。 記憶は、ほとんど飛んでるっていうのに、墨星の肉体の魅力と、俺の魂に刻まれた思い出。 それだけで、お互いを貪りあってた。 人魚は淫乱だと聞いたことがあったが、墨星は俺の体にしがみついて、もっともっととねだる。 「伏竜~……」 甘えて媚びるような声が堪らない。 精液をぶちまけられても、美味そうに舐めとって、キスしてきた。 もしかしたら、こいつも俺のことが好きなんじゃないか――そんな幻想を抱くほどに墨星は俺を求め、背中に爪を立てる。 墨星を愛してる。忘れたくない――俺はその気持ちだけで墨星を抱いていた。少しでも離れれば忘れてしまいそうで……。 いや、実際、忘れてきていた。 手の平から零れる砂のように、墨星が脳裏から消えてゆく。 こいつと出逢ったのは、いつだったか? どうして俺はマフィアで地位を築こうと思ったのか? 俺はどうして砂浜でセックスしてるのか? 俺は――どうしてこいつのことが、こんなに愛しいのか――。 嫌だ! 忘れたくない! 他の何を忘れても、こいつのことだけは離したくない! そうして、俺はこいつのことを強く抱きしめた。こいつも俺を抱きしめ返す。 それが墨星との最後の記憶になったのだった……。 ◆◆◆ 目が覚めたのは、クッソ汚い小屋だった。 中立地帯の乞食の小屋らしい。 黄狗と名乗るじいさんは、俺の真横で寝てたワケのわからん小僧の為に俺を助けたと言う。 その小僧は、顔はこの世のものとは思えないくらいの美形だったが、頭はアホの極みだった。 人魚らしいが、全裸のまま二本の足をぱかぱか開いている。 黄狗のじいさんも居るってぇのに、恥じらいもクソもねぇのかコイツは! 何故か苛立って「止めろ!」と怒鳴ったが、それからも墨星というアホに振り回されっぱなしだった。 どこか聞き覚えのある名前に違和感を覚えつつ、俺は気づけば墨星ばかりを見ていた。 墨星の一挙手一投足から目が離せない。 そもそも、こいつはアホだが顔は人間離れした美形の為、人ごみで尻を触られたり、裏路地に連れ込まれそうになったりしている。抵抗しろアホがボケが! その度に不届きなクソどもを締め上げていたが、墨星自身に全く危機感がない。 地上は平和だとでも思ってんのか。おめでてぇな。 「月餅、食べたいな~」 と店の前でチラチラこちらを伺ってくる。たかる癖を覚えやがって……! 無視してりゃあいいんだろうが、うるせぇから買ってやると――。 「シャガガガガガガガガガガ!」 食い方が汚ぇ! ハムスターみたいに頬を膨らませて食う姿に、墨星に見惚れていた店の人間や通行人が残念そうに首を振る。何かスカッとした。 「伏竜! ありがとな!」 その笑顔に何故だか胸が熱くなったりもした。 そうして朱雀門派のアジトを目指した時だった。 「あ……」 墨星が鳳雛に捜魂を受けた時、あいつは蕩けた目をしてた。 鳳雛とのキスで腰が砕けたみたいになってるあいつを見て、俺の中の何かが燃え上がる。 鳳雛相手でも発情すんのかよ! 鳳雛を殺してやる! と魂が訴える。 それからも墨星は目を離せば、ティグルとセックスしようとしたり、自由奔放の極みだった。 俺が止めなければ、本当に最後までしていただろう。 人が寝てる傍でキスしやがって! 俺はこいつばっかり目で追ってるのに、何だか不公平にすら感じる。 淫乱極まりねぇクソ人魚が!! とワケのわからない苛立ちすら覚えていた。 でも――墨星が拉致され、青龍門派の奴らにレイプされてから、俺は深い後悔を覚えた。 もっと優しくしてやっていれば。もっと傍で守ってやっていれば。 もっと愛――いや、何考えてんだ俺!? それから俺は自分でもワケがわからなかったが、ずっと墨星を抱きかかえていた。 誰にも触らせたくねぇ。 それに一人にしちまうと、何処かに消えてしまう気がして。 自分でもわけがわからずにいると、墨星に袖を引かれた。 風呂の入り方がわからないらしい。 そりゃあ海にシャワーは無ぇか。 体を洗ってやると、無防備に肌を預けてくる。 改めて見ると、素晴らしく美しい奴だった。 肌は真珠のように滑らかで、手足の爪は色づいた珊瑚のようだ。 そんな墨星の股から、どろりとザーメンが零れる。 俺達が玄武門派で墨星の居場所を聞くまで、散々レイプされたからだろう。 俺は唇を噛んだ。 もっと早く向かえれば――いや、もっと俺が強ければ……! 後悔する俺に、あいつはセックスをねだってきた。 『伏竜だけが欲しい』と言いながら。

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