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(四)砂漠の国フッサール王国の馬丁グンジャの証言

 あまり馬は嗜まないお方なんですよ。アスラン殿下は。  人に使役されている馬が可哀そうに感じられてしまうんだそうです。ただ、馬自体は嫌いではないようで、厩舎にも良く顔を見せに来られますぜ。飼い葉をあげるのが楽しいらしいので、他の連中の目を盗んでこっそりとあげさせたりしてます。  いいお坊ちゃんなんですよ、本当に。  俺らみたいな下の方の使用人まで声をかけてくださる。あんなにお優しい方はそういやせん。  だから、殿下には幸せになって欲しいんですよ。  でも、なんかあるんですかね? エルシャに殿下の話を振ると、気難しい顔になるんですよ。もしかして焼きもち……いやいや、そんなことはねえっすよね。アスラン殿下は男ですし、俺の気持ちはエルシャにまっしぐらですし。  え? フロリナ王国にお輿入れの話がある?  大丈夫っすか? その、アスラン殿下は男っすよ。  ああ、でもフロリナはそういう国でしたっけ。だったらいいのかなあ。俺としてはアスラン殿下が幸せになってさえくれるのであれば、フロリナ王国にお輿入れでもなんでもいいです。この国に居続けても、本当の意味では幸せになれないでしょう? 殿下、ご家族からあまりいい扱いをされていないように思えますし、だったらお輿入れの方が幸せですよね。  でも、他のお妃さまと寵を争わないといけないのかあ。それは嫌だなあ。  へえ、そんなに昔から殿下のことお好きだったんですね。そのハスラーム殿下って方は。  ならその方が幸せっすね。ひとりの人間をそんなに長く想い続けることはそうそう出来ませんよ。それだったらお任せしても大丈夫かも知れないっすね。ただ、アスラン殿下はお子さまだからなあ。自分に向けられている好意が恋って、あの方まだわからないんじゃないかって気がしますよ。

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