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(八)砂漠の国フッサール王国の王宮警備隊副隊長スルツの告白

 国王陛下からアスラン殿下の教育係としてのお話を伺いましたのは、フロリナ王国より、殿下をハスラーム殿下の正室として迎えたいと打診を受けた直後でした。正室として必要な教育をアスランに施してやって欲しい。国王陛下はロザック隊長と私を呼び出されてそう申しつけられたのです。  我々は意味がわかりませんでした。  正室としての教育であるのであれば、それは我々の仕事にはなり得ません。それ相応の人材を集めて施すことが必要になります。では剣を教えろということでしょうか。だとすればそれは無理な相談です。アスラン殿下はお心のお優しいお方であるが故に、剣をお取りになろうとされませんでしたから。  そのようなことを国王陛下に申し上げましたところ、陛下はこう仰ったのです。夜伽の技術を身に着けさせよと。  恐ろしいことです。  無論、我々はそのようなことは必要ないと申し上げました。  幾度かご訪問いただいたこともあり、ハスラーム殿下の人となりもある程度は存じ上げています。ハスラーム殿下であれば、アスラン殿下のように無垢なお方でも丸ごと受け止めてくださるに違いない。ロザック隊長がどう考えておられるかは存じませぬが、少なくとも私はそう考えていました。  しかし国王陛下のお考えは異なるようです。万が一、寝屋で失礼が生じて、アスラン王子が愛想をつかれるような事態になったらどうするのだとお引きになられないのです。  ご存じの通り、我が国は砂漠地帯のオアシスに王宮を構える国家です。貴国から輸入している穀物は、国民にとっては大事な食糧であり命綱でもあります。それだけに、国王陛下はアスラン殿下がハスラーム陛下の不興を買うことを恐れられているご様子でした。無論、男であるアスラン殿下が受けておられる教育には限りがあります。王女たちのような技術や知識は何ひとつ持っておられません。だから、なのでしょう。国王陛下は我々に『男にとって大事なのは寝所での振る舞いだ』と、滔々と説いて聞かせてくるのです。  恐らくは、ご自身の経験からのお言葉であったのでしょうが……。  我々は折れました。  戯れなどではなく、心の底から国王陛下がそうお考えであることが理解出来たからです。  フッサールの国民の為にも、今回の婚姻は末永く続くものでなければなりません。その為には、殿下に無垢であることを卒業していただく必要がありました。無論、ハスラーム殿下に先んじてアスラン殿下を抱くような真似はいたしておりません。ハスラーム殿下を受け入れ易くする為に、指や張型を使用して教育をさせていただいただけです。  具体的に、ですか。  乳首や陰部への愛撫の受け方に加えまして、口を使っての奉仕の仕方をお教えいたしております。  で、何を云いたいのか、ですよね。問題は。  覚悟を決めてお聞きになってください、ザナッシュ卿。  殿下に教育を施している際のことです。私は気付いてしまったのです。アスラン殿下の下の口は、誰かに弄られた形跡があると。  それが挿入を伴うものであるのかは不明です。ただやけに柔らかいのです。あまりにもすんなりと私の指が挿入(はい)り込んでしまったものですから、私はどう振舞えばいいのかわからなくなってしまったぐらいです。  殿下が、ですか? 自ら弄っておられる可能性、ですか……。  いえ、あのように純粋なお方です。性的にも未熟で、我々の下世話な話を耳に挟んでも、きょとんとした表情をするばかりなぐらいです。自慰ぐらいはもしかするとご存じかも知れませんが、下の口を使うような方法をご自分で編み出されるなどとは思えません。   ましてや、です。アスラン殿下はあろうことなかれ、普通は途惑いが先に立つところを、迷うことなく感じてみせたのです。  ということは、相手はかなりの期間、殿下の身体を弄んでいるということになります。  如何でしょうか、ザナッシュ卿。私の推理は間違っているでしょうか。

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