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「いけません王子!まだお稽古が終わっていませんのに!!」 「やっだね!あんなつまらない作法の稽古なんてやってられるか!!」 宮廷教師の目を盗み、窓から飛び降りようとする王子は、この毎日…なにも変わらない普通の日常にひどく退屈していた。 「王子! ここを何階だと……っ!!」 「2階!」 好奇心が強く器量もよく頭の回転も早い。次代の国王としては逸材ということは、王子がまだ幼かった頃から囁かれていた。 だがいかんせん、まだ育ち盛り遊びたい盛り(?)の14歳、宮廷教師はほとほと手を焼いていた。地道な作法の稽古などはすぐに飽きてしまい、集中力が途切れてしまう。 宮廷教師の悩みなど知ってか知らずか、王子は窓から飛び降りた。 「ったく、やーっと抜け出せた」 好奇心旺盛、器量良し、頭の回転良し…に1つ加えるとしたら、生まれもった天性の身体能力の高さだろう。剣術や武術など、教えたことはすぐにのみ込んでしまう。 「…っと、早くしねーと見つかる…。シャルキークは____」 シャルキーク。王子が10歳の誕生日時に、叔父から贈られた馬である。足腰の強い黒馬で、大の男2人を乗せても軽く峠は越えられる。 「……今日は、森にいってみるか」

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