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第6話 来客なんて聞いてない! 01*

 まずいことになった。  愛想笑いを顔に浮かべながら、ユオシェンは目の前で繰り広げられる会話に話を合わせていた。 「雨宿りをさせていただくばかりか、お茶まで出してもらってすみませんね」 「いえ、『先生』にはいつもお世話になっていますから。……ユオシェン、どうした? 『先生』は信頼できる相手だから、そんなに警戒しなくてもいいだろう」 「え、うーん……アハハ……」  現在地は、シイナとユオシェンが居住する家のダイニング。急な客人として招かれ、椅子で茶を啜っている高齢の男性は『先生』。シイナの言う通り、警戒の必要はない相手だ。  『先生』は、シイナがひいきにしている闇医者だ。ユオシェンが『偶人』絡みの体調不良に悩まされている時も、深く事情を聞かずにただ診察してくれた。適正な金額さえ支払えば、たとえ拷問されたとしても患者の情報は漏らさない闇医者の鑑と言うべき存在である。  そんな彼とこの近辺で偶然会ったシイナは、通り雨の間だけでもと『先生』を家へと招き入れた。それについてユオシェンは文句を抱いていない。  自分も世話になった相手であるし、食えない印象ではあるがよぼよぼのおじいちゃんであることは確かなので、通り雨で体を濡らしたままにすることを心配したシイナの気持ちも分かる。  問題なのは、『先生』がやってくる直前、ユオシェンがやっていたことだった。 *  十数分前、ユオシェンは欲求不満を抱えていた。  ここのところ恋人のシイナは外泊続きで、帰ってきても遅い時間だ。当然、夜の営みを楽しむ時間の余裕もなく、ユオシェンは悶々とした日々を送っていた。 「ダーリンのバカ……。俺にも何か仕事くれればいいのにっ」  『偶人』としての戦闘力を取り戻した今、ユオシェンはただ守られるだけの存在ではない。だがシイナは過保護にも、ユオシェンを今まで通りただのヒモとして囲っている。  それが優しさから来る行動だと分かってはいるが、ユオシェンの中に徐々に不満は溜まっていた。 「それで結局、一緒に居られる時間が少なくなるとかホントやだ! ふんっ、もういいし。ダーリンのいない間、オナりまくって、オナニー中毒になってやるっ!」  たとえオナ中になっても、シイナが自分を愛してくれる自信があるユオシェンは、憤慨しながら玩具入れへと歩み寄り、その中のうちの一つを手に取ってベッドへと戻ってきた。  それは、一度電源をオンにすると、完全にランダムなタイミングで振動をオンオフさせる小型バイブだった。数分間、微動だにしないこともあるが、いきなり動き出したり、リズムをつけて震えては止まるのを繰り返すこともある。セルフで翻弄される気分を味わえる素敵な玩具というわけだ。  ユオシェンは下着を下ろすと、己の中にゆっくりとそれを挿入した。 「んっ……ふ、ぅ……♡」  親指程度の大きさしかないそれは、すんなりと内側に飲み込まれ、さっそく鈍い振動を始めた。 「あっ……ん、ぉっ……♡ 結構いいかもぉ……♡」  オートモードのオンオフができるリモコンを手の中で弄びながら、ユオシェンは一人身もだえをする。  玄関から鍵が開く音が響いてきたのは、その時だった。

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