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第7話 来客なんて聞いてない! 02*
「シイナだ!」
飼い主の帰宅に気付いた大型犬のようにユオシェンは跳ね起きると、いそいそと着衣を整えて玄関へと向かった。その腹の中には、例の玩具が入れっぱなしになっている。
「こっそり入れておいて、あとでバラすのもエッチでいいよね~」
呑気なことを言いながら、ウキウキと玄関に出迎えに行ったユオシェンを待っていたのは、急な雨でびしょ濡れになったシイナと『先生』の姿だった。
濡れて髪がしっとりしてるダーリンかっこいい……♡ じゃない! どうして『先生』がここに!? 来る予定なんて聞いてないのに!
「ただいま、ユオシェン。悪いがタオルを持ってきてもらえないか? 通り雨にやられてな」
「あ、うん……分かった……」
混乱しながらもユオシェンは言われた通りにタオルを取りに行き、バスタオルを二枚持って戻ってきた。それを受け取って髪を拭きながら、シイナは耳を疑う一言を口にする。
「雨が止むまで『先生』にはここで雨宿りしてもらうつもりだ。構わないな?」
嫌と言えるわけがなかった。拒絶すれば理由を問われるし、もしそうなったら腹の中にバイブを入れているからと答えるしかなくなる。
それを他人に言いたくないと思う程度には、ユオシェンにも羞恥心というものがあった。
「う、うん、もちろんです……」
引きつった笑顔で、シイナの言葉をユオシェンは受け入れる。
そういうわけで、現状があるのだった。
「先日の騒ぎは大変だったでしょう。『先生』のところにも余所からの探りが入れられたと聞きました」
「いつものことですよ。アナタ方の助力もあったから、何てことはありません」
シイナと『先生』が会話をするのを、ユオシェンは俯いて聞いていた。二人の会話に入れなくて気まずいからではない。己の中に入っているバイブがいつ動き出すか分からなくて焦っているのだ。
現在、バイブは動きを止めて沈黙している。だが一秒後にはいきなり動き出してもおかしくないのがこの玩具だ。電源を入れた直後はシンプルな動き方だったが、もし次の振動が緩急をつけたものだったら。さっきよりも強い出力でいきなり動き出したら。
完全に予想が出来ない未来の快楽に備えなければならない今の状況は、ユオシェンにとってはゴールの存在しない素潜りをさせられているようなものだった。
「……ユオシェン、どうかしたか? 顔色が悪いようだが」
「えっ? いや、なんでもなっ……!? ッ……!」
突然、ナカに入ったバイブが振動を始め、ユオシェンはびくんと体を震わせる。シイナは心配そうに彼の顔を覗き込んだ。
「大丈夫か? どこか痛いのを我慢してるんじゃないのか?」
「う、ううん! 違う! ちょっと……ッ、んっ、調子悪いみたいだから部屋に戻るねっ……!」
数秒震えては、数秒止まるのを繰り返すバイブに翻弄され、口から甘い声が出そうになるのを何とか飲み込む。
まずい。早く部屋に戻らないと、ここでイッちゃう。
引きつった笑顔で立ち去ろうとするユオシェンだったが、その肩をシイナは捕まえた。
「せっかく『先生』がここにいるんだ。体調が悪いなら診察してもらえばいい」
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